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夏は死んだ。わたしに生きる。

秋分の日。
故人、先祖をうやまい、偲ぶ日。

昨日のじぶんも、
今日のじぶんにとっては故人ともいえる気がするから、あっけらかんに明るく偲んでおこうとおもった。

ひとは、まいにちちいさく死んでは、
ぼちぼちと生きていく。

それは、またたく観覧車のように。
それは、いのちの残り香かおるせみのぬけがらのように。
それは、ひとひらの落ち葉のように。
それは、あのひとへのゆらぐ気持ちのように。

さがってはあがる。
あがってはさがる。
くりかえし、といかえし、ねむる。

日々は、たんたんと、でも続く。
幼いころにみた、あのどこまでも続けとねがったあたたかい日々のように。
続く、続く。続くかぎり。
空も、雲も、私も。
ひとつなぎに、たしかに続いていた。

空があまりにもきれいだったから、
あの夏の面影をさがしてみたけれど、
どこにも見当たらなかった。
もともと、さがしていなかったのかもしれない。
みつけたくなかったのかもしれない。

だから、夏が、きょう、
わたしの中でめでたく死んだ。
でも、わたしは生きている。
わたしを、生きた夏。
わたしに、生きる秋。
死が添えた、生のかがやき。

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