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2020年1月、17年越しにJagataraに出会えたという話、前編。

JAGATARA、その魅力

わたしがJAGATARA(じゃがたら)と出会ったのは、2003年。

当時聴き込んでいた大槻ケンヂ(オーケン)の作品のひとつでソロカバーアルバムの「Only you」に収録されてあった「タンゴ」「もうがまんできない」を聴いたのがそのきっかけだった。

JAGATARA(じゃがたら)は、江戸アケミを中心とする日本のファンク・ロックバンド。1979年3月活動開始。1982年にアルバム『南蛮渡来』を発売。1983年から1985年にかけては江戸の精神的不調により活動休止。1989年にはアルバム『それから』でBMGビクターよりメジャーデビュー。1990年、江戸の入浴中の事故死により、解散した。(wikipediaより抜粋)

わたしがカバーではないJAGATARAを聴いたのは2005年だから、ファンとしてはかなりの後追いである。

スタイリッシュでオシャレかつ陽気だけどどことなく(ときには完全に)ダークで儚げな歌詞に、まるで小さいオーケストラのような編成(こういう貧弱な表現しかできないのが悔しい)から織り成す、不思議で耳にいつまでも残り続ける曲。完全にトリコとなった。

えっ、何にそこまでハマってしまったのかって?

そりゃアナタもう、「食いかけのハンバーク」という強烈な印象の歌詞を持つ「タンゴ」はもとより、

・のっけから「アンタ気に食わない!」と突き放され「日本人て暗いね性格が暗いね」をこれでもかというくらい反復する「でも・デモ・DEMO」
「ベーイベー」「ただそれだけのことさ」と繰り返す「BABY」
なんだかアブナイ世界に引き込まれそうになる「クニナマシエ」
・名詞の後にすぐ指示語が来るタイトルがすごく新鮮で曲それ自体も「この」を繰り返す「ゴーグル、それをしろ」
「こころのもちようさ」を美しいコーラスとともに重ねていく至高の名曲「もうがまんできない」
今この時の大切さを説く「つながった世界」

その他多くの歌、力強く実直なMCパフォーマンス

それらは総じて、江戸アケミがこれ以上ないほどに築き紡ぎあげてきた歴史にきまっている! ただそれだけのことさ!

ジャンルとしてはファンクやアフロビートが主となっていると聞くが、私の感覚としてはそのいずれも含みながらけっしてそれそのものではない、たぶん「JAGATARA」というジャンルで正解なのだろう

後追いファンのつらさ

アケミの死による解散後は残存メンバーとゲストによる追悼ライヴなどが何度か行われていたが、伝説と評される1989年の寿町ライヴのようなJAGATARAの素晴らしい演奏を目の当たりにすることはもう出来ないかな…そんな諦めの感情が、わたしの全身を覆っていた。

そもそもが、何もかもが遅かったのである。

わたしがハマった2000年代前半はもう十数年も前だけど、JAGATARAも含めて数多のバンドが流行し、盛り上がったバンドブームは1990年代までの話で、それこそ歴史の現代史に載ってしまいかねないほど。遅すぎるJAGATARAブームであった。生まれてくる時代を間違えてしまったとすら思った。

カラオケのUGAという機種には、JAGATARAの曲が少しだけ入っている。それを知ったときは喜びいさんで歌ったものだが、わたしのJAGATARA好きを知っている友人にしても「なんだかまたマニアックな歌を歌ってんなあ」以上のものとはなりえず(それだけでもありがたいものではあるにしても)。

もっとJAGATARAについて突っ込んだ話がしたい! 

あの曲がいい、この曲はどうだ、アケミの生き様すごいよね、とか、とにかくモロモロのことを、わかる人と共有したい!

それこそ、

語り明かそう、日の出を見るまで

...である。

そう思っても、ここは裏九州とも評されることすらある大分県。ひょっとしたらJAGATARAを知っている人なんて、大分にはいないんじゃないかとすら思ってしまう(いくらなんでもそんなことはないだろうけど…むしろ、いてほしいと切に願う)。 

わたしは自分が生まれ育った大分が大好きだ。不便といえば不便なのかもしれない田舎暮らしの田舎育ちだが、それを不便と思ったことは一度もなかったし、それで出て行ってしまいたいとは思わなかった。たとえ進学や留学、就職などでどこかに住んでいても、必ずここに戻ってきた。

しかし、文化的な不便さだけはどうにもならなかったように思う。今でこそスマホから様々な情報を手軽に入手できるが、IT社会となる前は入る情報すべてが都市圏の後出しでしかなかったし、その入り口すら下手すれば出会うことがなかった。

そもそもが家の電話や近くの公衆電話から「14106(愛してる)」とポケベルに打ち込んでいたような時代では、どうしようもなかったのだと思う。

そして朗報

2019年の秋。

JAGATARAはJagatara2020として2020年1月に復活することとなった。

このニュースには本当にビックリした。でも、これはチャンスだった。

まともにどこかへ勤めていたなら有給が取れるかどうかもわからないけど、今はどうとでも融通がきく仕事。関東にはちょうど施術の勉強にも行きたかったし、タイミングとしてはバッチリ。

たとえアケミがいなくても、あの心が打ち震える音楽を是が非でも間近で聴き味わいたい。同じく聴きにやってくるであろう「みんなたち」とその熱狂の炎を共有し、騒ぎあいたい。

行くしかない。この機会を逃すわけにはいかないと強く思った。

奥さんの快諾も得られた(ここ、かなり重要だと思う)、完売してしまわないうちにとチケットを購入。

本当は翌日のトークショーまでの通し券が欲しかったけど、発売開始から30分後には売り切れてしまい、それはあえなく断念。

そして2019年末、待ち望んでいたチケットが到着。

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現存メンバーの堂々たる顔ぶれに加え、気になるのは「Many Guests」の文字。JAGATARAに影響を受けたバンドは多いからして、一体どんなメンツが当日に花を添えていただけるのか。

来るべきは1月27日。それは江戸アケミの命日であり、没後30年の節目。飛行機が大雪などで欠航してしまわないよう、ただ祈るのみであった。


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