Ep.5 マクドナルドの今日的問題?

 いまマクドナルドでこれを書いている。今回は客として。久々に朝マックでも食べようかと思って、店頭で並んでいる。かれこれもう25分近く待っている。馬鹿だ。
 どうしてまたマクドナルドに来ようかと思ったのか。それは、デリバリーで頻繁に訪れていることと関係する。デリバリーは、客からの注文コールが鳴らなければ商売にならないわけだが、鳴らない状況を救ってくることが多いのがマクドナルドなのである。そのくらいマクドナルドの注文はよく入る。このあいだ2日間で30件ほど配達した日があったのだが、数えてみれば半数がマクドナルドだった、なんてこともあった。そうして何度もピックアップするうちに、そしてその際にたくさんの行列を見ているうちに、さぞかしマクドナルドというものは美味しいのだろうなあなんてことを思うのである。それに、朝マックがそれなりに美味しいことは、以前このブログでも書いた。だから、この記事の時以来となるが、また行こうと思ったのだ。
 それにしても25分も待つなんて馬鹿過ぎる。軽い自己嫌悪すら覚える。とはいえこれも、ある程度織り込み済みなのだ。私はあえてこの苦行に自らを投げ込んだのだ。朝8時14分に列に並んだ瞬間からそれは覚悟していた。
 配達する側として、デリバリーの恩恵?にいちおう預かっている人間でありながら、私は勝手にあることを懸念していた。それは、デリバリーの注文が増えることで、店を訪れる客に対するサーヴィスの質が落ちるのではないかということだ。それでいま実際に、客として訪れた私に対するサーヴィスは明らかに損なわれており、やっぱり弊害というものはあるんだなということが確かめられた。
  私は今回、注文を取ってもらえるまでに13分、注文を受け取るまで16分は少なくともかかった。私が並んだ段階で、前に並んでいた人は8人だった。私が並んでいるうちに、賢明な2名が離脱した。前には6人しかいないのに、私の注文を聞いてもらうまでに15分近く費やされたのだ。どうしてかと言えば、来店客のオーダーを一人ずつ聞くそのあいだに、デリバリー(とモバイルオーダー)の注文を捌かなければならないからだ。レジ係がレジ係として、レジの前に居続けることができず、外から次々とやってくるデリバリーの対応までしなくてはならない。加えてデリバリーとモバイルオーダーの注文というのは、アプリからプッシュ式にやってくるものなので、来店客とアプリ利用者では、アプリ利用者が圧倒的に有利なのだ(ならお前もモバイルオーダー利用せーやというツッコミは、ここでは勘弁😉)。
 長いこと待った末、私はようやく、チキンクリスプとホットコーヒーのコンビを注文した。そこからだいぶ待つであろうことは、数字とアルファベットがずらっとならぶ左手のモニターの表示を見ればわかった。11分くらい待ったところで、店員に声をかけられる。曰く、チキンクリスプを新たに揚げなければならないので、5分ほどお待ちいただけないでしょうかとのこと。とりあえず「はい」とは言ったが、考えてみれば、店まで脚を運んだ身としては、デリバリーの注文者に自分に回ってくるチキンクリスプを奪われていたのではないか、というような疑念が生まれる。この疑念は確信に近い。目の前の顔の見える客よりも、スマホの前の顔の見えない客の方が優先されるという状況が生まれている。これを、日本マクドナルドの本社の人は、どう考えるのだろうか。
 とは言え、コ口ナ禍において、店内飲食は廃れつつあり、ファストフードを中心にお店で食べる文化が時代遅れになる可能性を考えれば、私の方がただの旧態依然の人間に過ぎず、企業からすればそういう人間は淘汰されていけば良い、と考えることはありえる。テイクアウトのみのお店、ゴーストレストランが増えているなかで、マクドナルドだってそういう方向へシフトしていきたいと考えているかもしれない。私はなんとなく、今が過渡期にあるんじゃないか、という気がしている。最後に、蛇足だが、これと同じ問題を抱えている他のチェーン店の筆頭は、スターバックスコーヒーである。


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