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日本酒『Tsuchida99』について語る。

つい先日に飲んだ日本酒『Tsuchida99』について語っていく。
土田酒造さんのお酒で、この酒造は米麴にこだわっている様子。
中でもこのお酒は、その集大成といえるような仕上がりになっている。
日本酒の入門としても良い逸品なので、気になった人はぜひ!
では、紹介していこう!

うじゃうじゃ99な風貌

まずは、見た目を見て欲しい。

土田酒造『Tsuchida99』720mL

・・・999999999999999999999999999999。
色々なフォントでの99が羅列・・・随分と攻めたパッケージに見える。
とにかく「99」の部分を伝えたい、という気持ちが表れている。
実際、これを見てジャケ買いしたので、まんまとやられてしまった。
・・・有名な「No.6」と被らないようにした、って意図もあるのかな?

土田酒造『Tsuchida99』720mL

注いでみたらこんな感じ。
少し黄色がかった濁りで、その中でも濃い部類に見える。
ふわっと、日本酒特有のフルーティーさを思わせる香りが広がる。
しかし、精米歩合を見ると70%で、大吟醸はおろか吟醸ですらない。
では、どうしてこんなにもフルーティーな香りなのか?

びっくりするほど米麹

頭の悪いタイトルからスタートするけど、まさにこれに尽きる。
このお酒は、なんと99%が米麹でできているのだ!
『Tsuchida99』の99とは、つまり白米と米麹の比率を表している。
この数字が如何に異常かは、スーパーで片っ端から日本酒を見れば分かる。
どれも20%そこらで、白米と逆転してるじゃん!・・・どころじゃない!

それもそのはず、この土田酒造さんは、米麹にこだわってるっぽい。
他のラインナップでも、高い米麹の割合を楽しめるお酒が多い。
中でも恐ろしいのが、「麹グラデイション」シリーズのセット販売だ。
米麹の割合が、それぞれ99%、77%、55%の3本がセットとなっている。
米麹の割合による違いを楽しめるセットとなっているのだ。

日本酒の味わい・香りは、様々な要素で変化する。
白米・麹の種類、精米歩合、精製方法・・・えとせとら。
ひと言に日本酒と言っても、まったく違う・・・それが魅力といえる。
そんな中、この土田酒造は、唯一の「麹の歩合にこだわった酒造」だ。
他の日本酒では味わえないこの違いを、ぜひ味わってほしい。

白ワインのような甘味

麹の歩合が大きいと、どんなお酒になるのか?
答えはカンタン、甘くなる。
麹が多いことで、糖化が急激に速まるので、日本酒特有の甘味が強くなる。
加えて、酸味も強めの味わいに仕上がるのだ。
甘くて、酸味も強いお酒・・・そう、白ワインのような味わいになる。

ここまでは座学のような話だが、実際にひと口飲んでみると、驚かされる。
とんでもなく甘いのだ。
通常、甘い日本酒というのは、純米大吟醸のようなお酒を指す。
お米を削る割合を増やして、お米の甘味を前面に出すのだ。
しかしこのお酒は、それらのどれにも類さない、特有な甘味を出している。

たまに、米麹の代わりにワイン酵母で仕込んだ、という日本酒を見かける。
ワインをメインとしている酒造の逸品で、探すと以外に多くて驚かされる。
その味わいは、まさに日本酒とワインの相子で、どちらの良さも楽しめる。
・・・このお酒は、ワイン酵母仕込みを超えるほど、甘いのだ。
数々の日本酒を飲んできた僕が驚愕した、それがこのお酒だ。

日本酒の入門にもオススメ

これだけ白ワインに近いと話しているから、日本酒の入門編としても良い。
日本酒は、その特有の香りや味わいへの"慣れ"がネックとなる。
その点このお酒は、日本酒の風味はあるものの、かなり抑えられている。
白ワインに日本酒の風味付けした・・・そう表現するのが合っているかも。
日本酒を飲みたくて、白ワインが好き、そんな人に飲んでほしい。

逆に、日本酒好きからすると、少し物足りなく感じるかもしれない。
日本酒特有の風味は少なく、あれが好きで飲む人には、オススメできない。
しかし、日本酒好きの人にも、「物珍しさ」では飲んでほしい。
「同じ日本酒なのに、こんなに違う!」が日本酒の良さだと思っている。
その点このお酒は、完全に甘味に振り切っている、頂点のような日本酒だ。

1つだけ注意してほしいことは、酸味もかなり強いことだ。
他の日本酒と比べても酸味が強く、まさにワインのような酸味だ。
ワインが苦手な人には、日本酒好きであっても、合わないかもしれない。
また、後味というか、口に残る風味も、かなり甘ったるく感じる。
後味スッキリが好き、という人にも、オススメできないお酒だ。

合わせるツマミ

このお酒に合うツマミは何か?
・・・答えはカンタン、白ワインに合うツマミを考えればいいのだ。
相性としては、「重めの白ワイン」と大差ない。
定番としては、チーズや生ハムが挙げられるが、絶対に合う味だ。
他にも、イタリアンの食前・食中に楽しむお酒としても、いけるだろう。

むしろ、日本酒としての切り口で考えると、かなり難しい。
日本酒の定番としては、やはり味濃いものや揚げ物だ。
別に飲めないわけではないけど、マッチはしていないように思う。

日本酒として分類するなら「濃醇甘口」あたりだが、そことも少し外れる。
「濃醇甘口」なら、甘味もある、甘じょっぱい系の料理が合うことが多い。
特に日本食とは相性が良く、すき焼きなどに合わせると良い。
しかし、その日本食とすら、ベストマッチとは言えないように思う。

日本酒であって、日本酒ではない。
それくらいの接し方が、ちょうどいいのかもしれない。

あとがき

ということで、白ワインのような日本酒『tsuchida99』を紹介した。
余談だが、このnoteを書く上で、米麹について少しだけ調べた。
日本酒で麹の歩合を増やすと、一般的にはどんな味わいになるか?
それを分かりやすくまとめてくれているのが、SAKE Streetさんだ。
他にも、日本酒についての知識がつまったサイトで、オススメする。

そんなこの記事で、なんと、土田酒造さんの日本酒が紹介されていた。
麹の歩合での味わいを追及しているのが、ここくらいなんだろう。
サッと調べて、一番わかりやすかった記事に、たまたま載っていた。
ちょっと良い店に行ったら、そこに友達がいた、みたいな気恥ずかしさだ。
いずれにせよ、麹の歩合での味わいを楽しむなら、土田酒造さんだろう。

日本酒好きな僕でも、初めて飲む味で、まさに唯一無二。
日本酒に入門したい人、日本酒好きな人、どちらも一度飲んでほしい。

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