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miss you/Mr.Childrenにおける回帰と融合要素と「桜井和寿」らしさ

 どうもべっちょです。


本当にこのアルバム飽きないわ


■脳内だけで再生していると不思議な現象が起きる

・メロディ面

気付いたのは「I MISS YOU」をプレイヤーではなく頭ん中で再生していたときなんだけど…

これ、サビに「Mirror」の一面があるじゃないですか。
そこまではなんとなくわかってたんだけど、音楽的には「羊、吠える」があって…何か不思議な浮揚感の中で「貴方に逢いたい」という想いを紡いでいる感じだったんだけど、優しいメロディの「Mirror」と陰鬱なメロディの中でサビだけ激情的になる「羊、吠える」が混ざり合って、それが氷解したら「I MISS YOU」に繋がるという何とも不思議なことが起きて…これ、意識してるのかなぁと考えたんだけど…

・歌詞面

「Mirror」は「ただ貴方へと想いを走らせた単純明快なラブソング」で、「羊、吠える」は「虎の威を借る狐」ではなく、開き直って「狼の血筋じゃないからいっそ羊の声で吠える」。
両方とも優しさに溢れている…というか「つよがれない」共通点もあるし、サビで「Love」を何度も繰り返すMirrorと「I miss you」を何度も繰り返すI MISS YOU。ここも共通点。
「何が嬉しくて」繰り返しているのか、「誰に聞いて欲しくて」歌っているのか、「貴方」の対象が変わっただけで、聴いて欲しい人がいることには変わりない。
「それが僕らしくて」「殺したいぐらい嫌い」、ここは「少し憎みながら、深く愛しながら」と同じ意味。要するに照れ隠し。


■ひねくれていた時代の告白

・「二十歳前想像していたより20年も長生きしちまった」

ここ、色々な推測が出来ると思うんだけど、
「REFLECTION」内の「FIGHT CLUB」、そして「Thanksgiving25」の「1994年、夏、沖縄」での語りで言っていた『ノストラダムスの大予言』と「POPSAURUS 2001」の頃の心境も合わせた歌詞かなって。当然尾崎豊へのメッセージという意味合いも含まれていると思うけど。

・全体的にうっすら感じられる「桑田佳祐への劣等感」

これは特定の歌詞云々ではないんだけど…
桑田佳祐って「クソ真面目にクソふざけ倒してる」ところが唯一性かなと思って、本人達も「奇跡の地球」で競演してるし、同じプロデューサー(コバタケ)。
なのに、「下品になりきれない下品さ」のMr.Childrenと「とことん下品になりきれる下品さ」の桑田佳祐。どれだけ卑猥な言葉を使っても使いこなせないってところがあるから、それに対する劣等感ってあるのかな…ってこの曲全体を通して感じた。これは完全に的外れかも知れないけど。むしろ、なぜこれを感じたのか自分でも解らないんだけど…


■歌詞全てに通じている「自己肯定感の否定」

・桜井イズム全開

もう、なんというか、「桜井和寿」という人間を形成しているから仕方ない部分で、Innocent worldの「様々な角度から物事を見ていたら自分を見失ってた」とか、そういう「自信の無さ」が皮肉なことに「対比として他のものの素晴らしさを讃えるMr.Childrenらしさ」になってるから残酷だなぁって。
「イミテーションの木」、これがそういうタイプの極致だと思うので是非聴いて欲しい。優しいメロディで「ハリボテ」の素晴らしさを本心から歌えるのは本当に皮肉だし、ちょっとメンタルに来る。

※非常に重要なことですが、人間は必ずしも「成功体験」で「自己肯定感」が上がるとは限りません。ここがMr.Childrenの曲を分解する上で非常に重要なことです。


■おわりに

この曲、難解とかじゃなく「単純明快なネガティヴソング」って部分が大きくて、リード曲がこれでいいの?って思うんだけど、「Q」も「深海」も「BOLERO」もそうだったなと思うと、さもありなんって感じで、逆に「エソラ」とか「Your Song」とかが異色なだけなんだよな…

明るいMr.Childrenを好きな人には重いだろうけど(エソラとか蘇生とかシーソーゲームとか)、ある意味、重いMr.Childrenを受け止め切れたら、他の曲にも食指が動くし、ちょっと挑戦してみるといいかもね。

…先に「Mirror」を聴いて耳をクリアにしてしまうと受け止めきれないかも知れないのでこっちを先に聴いてください…


ではまた。

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