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ロンドン賃貸事情

実際のところ何がどうしてそうなったのかいまだに真相は闇の中なのだけれど、とにかく今住んでいるフラットを5月下旬までに出なければならないということが決定したのが、3月下旬。

家族もパートナーもいない低所得個人事業主にとって一番きついのは、仕事量が不安定だったり、病欠や休暇が収入減に直結するということよりも、新たに引越し先を見つけなければいけないことだと思うのです。

同じくらいの収入でも、雇用されているのと、自営業なのとでは、社会的信頼度が雲泥の差。今のフラットに移る時も、その前に8年ちょっと借りていたフラットより家賃が若干下がる上に、家主からのリファレンスもあったというのに、家賃支払い能力を疑われ、ぶつけどころの無い悔しさとやるせなさ、このままじゃホームレス?という不安に押しつぶされ、それはそれはストレスフルな数週間を過ごし、人生初のパニック発作が勃発したほど。

そして今回。何もかもが週単位で値上がりを続け、留まるところを知らないインフレ。それに加えて、賃貸物件が売り手市場ということで、とにかく物件が出てこない。最初はまだ時間もあったし、なんでかな?とオンラインの物件検索サイトを時々覗いては頭を傾げていたのだけれど、あれよあれよと1ヶ月が過ぎていき、流石に焦り始めて、手当たり予算内の物件があれば不動産屋に内見を申し込み始めたのがイースター直後。

実は私は、東京でもロンドンでも不動産業界で働いたことがあって、賃貸に関してはそこそこ理解しているつもりだったのだけれど、これが今のトレンドなのか単に不動産会社によってやり方が違うだけなのか、どうも思ってたのと全然違うのです。

まずは、内見するにもこちらの都合ではなく、あちらの都合(全部が全部というわけではないのだけれど)。サイト上にある物件を問い合わせるとすでに契約済みというのは、ある意味お決まりなので驚きもしないけれど、内見を申し込んでも、何日の何時に内見会をします、都合が悪いのなら縁がなかったということで、くらいの勢いだったり、ようやく内見予約ができても、内見前にさっき借り手が決まったのでと、内見をキャンセルされたり。

そんな中、ようやく先週末に内見ができた物件が、ロケーションこそ希望エリア外かつ交通の便が悪い割に家賃も安くはなかったものの、フラット自体はそこそこ良かったのと、この賃貸市場の状況に不安があったのとで、とりあえず即決。私の認識では、申し込みをした時点でエージェントが大家さんに連絡を取り、合意が取れたら、まずは予約金を払って、仮押さえ、その後書類申請で正式契約というのが流れだと思っていたら、なんとまさかのコンペティション制という。内見希望者は10組以上、最終的にコンペティションに申し込んだのが5組。それぞれの基本情報を大家さんに見せて、大家さんが気に入った組から順に、入居審査を受ける権利が渡されるという、どんだけ売り手市場なの?という強気さ。言われるがままに、書類提出。給与明細がない私は、朝3時までかかって来年1月が期限の確定申告書を作成して提出。

この件で私たちは、ロンドン賃貸状況が思っていた以上に深刻だということに気づく。下手したら物件が見つからないまま退去日を迎えてしまうかもしれない。。。

返事を待つ間も、ネットでめぼしい物件を見つけては不動産屋に連絡を取り、フラットを一緒に借りようとしている友人(厳密には現フラットメイトの1人)が平日は仕事で内見にいけないということで、時間に融通が効きやすい友人の彼と私が手当たり次第内見予約のできた物件を見に行くという作戦に出た1週間でした。月曜日に見た物件は、ロケーションこそ良かったものの、明らかに便乗値上げ的な物件で、こんな状況でなければ即却下なものの、この状況だと「もうこれにしちゃう?」と弱気にもなります。それでも友人の方が、コンペティションに申し込んだ物件いたく気にいていて、その結果を待ちたいということで、とりあえず保留。

そうこうするうちにもう一つ内見予約を取れたのが、少し前から私がメールでやりとりしていた不動産屋の物件で、昨日の朝、今日見に来れたら是非と連絡が入り、急遽私1人で内見してきました。

ロケーションはもともと私たちが希望していたエリアのひとつ。交通の便もいい。家賃はほんの少し予算オーバーだけどなんとか目をつぶれる程度。中を見せてもらうと、ほんのり地中海風内装の個性ある物件で、キッチンとバスルームは小さめだけれど、部屋の広さは十分。私はとっても気に入りました。唯一の難点は、家具付きだということ。ベッドは今持っている自分のを使いたかったんだけどな。

直後に内見時のビデオを友人に送り、仕事中の彼女と怒涛のWhatsAppチャット。そしてここに決めたいという意思を不動産屋担当者に伝えました。もう1組同日夕方に内見があると聞いていたので、すぐに予約金を払って仮押さえしたかったのですが、先方が、まず大家に連絡して、私たちがオファーした家賃(先方が希望価格として提示していた額)で了承を得てから予約金の支払いについて連絡する、ということで、一夜明けてすでに夕方に差し掛かろうというところで、まだ先方からの連絡待ち。←今ここ

こちらの人々の場合、どこで誰が流れを止めてるのか、誰も彼もが怪しいし、日本人的ペースでせっつくとうざがられるし、ほっとくと忘れられかねないので、その辺の塩梅がなかなか難しい。

かと思えばコンペティションに参加していた物件の方から、内見から5日も経っていたので諦めていたところに、あなたたちが選ばれました、と連絡が入りました。よくよく検討した結果、やっぱりどうしたって交通の便が悪すぎて仕事に支障をきたすということで辞退したのですが、これが週の頭だったら即決だったかも。そう思うと、タイミングって大事だなと思います。

そして今、連絡待ちをしている方も申込金を払うまでは何の確約もないし、さらに審査を受けて、契約完了するまでは安心できないので、今週末に予約した他の物件の内見予約もキープしたまま。心配は何の助けにもならないので、しないようにはするものの、どうしたってしちゃうよね。夜もよく眠れてないし、すでに気力も体力もほぼ限界。

最終的には、収まるべきところに収まるはずだし、収まらないものは元々収まるべきじゃなかっただけのことで、後で振り返れば全てが起こるべくして起こっているのを確認するはず。今までだってずっとそうだったし。

それでもついつい渦中にいると、不安に流されそうになってしまうのは、まだまだ修行が足りないのでしょう。とりあえず今夜は久しぶりに大好きな先生のバレエ・レッスン。ブロンプトンをかっ飛ばして、行ってきます。

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