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感情ジェットコースター

月曜日

先週から始まった病院実習。自分が診てもらう以外で病院に行くことがものすごく苦手なこともあって、始まる前から憂鬱以外の何者でもなかったのだけれど、初日、終始フレンドリーかつウェルカムな雰囲気で始まったインダクションが終わり、配属先の教育係が登場した時点で雲行きはあやしくなり眠れない日々が始まりました。とにかく彼女と関わるのが苦痛でしかない1週間を経て、2週目初日のこの日。この教育係が代休だったので少しだけリラックスした1日でした。

火曜日

大学登校日。ヘルスケア関連の各コースが一緒になってグループワークを行うモジュールが始まりました。私のグループは、作業療法から2人、ソーシャルワークから2人、診断画像技術から2人、理学療法、カイロプラクティック、スポーツリハビリから各1人、あとは欠席だった人が数名、というメンバー。私のグループだけでなく、レクチャールーム全体で、年齢層の高い作業療法とソーシャルワークの生徒に比べて他のチームは礼儀もやる気も表に現れていない若者たち。あまりにひどくて逆に面白かったのですが、実際にグループワークが始まって、個別に話してみると、なーんだみんなシャイなだけでちゃんと意見も言うし聞くしで、結構いい子たちではありませんか。

作業療法士という仕事にはいまだ魅力を感じているものの、学校でのセオリーは後期が始まっても相変わらずなんだかぴんとこないし、病院実習は毎朝吐き気と動悸にみまわれるほど気が重いしで、ぼんやりとコース変更を視野にいれている今日この頃。なので自分の子供でもおかしくない年齢層であろう他のコースから来た子たちに「あなたのコースどんな感じ?」と質問しまくっています。ハイライトは、ものすごくいやいや出席している感を全身から放出していたカイロコースの子。そんな子がなんでまた人に関わるコース?とものすごく興味があったので聞いてみたら、「動物カイロになりたい、人間嫌い」だそうで、一気に親近感。笑

私のクラスメイトたちはこのグループワークを結構心配していて、そもそもいまいちなんだかよくわかっていなかった私は心配する間もなかったのだけれど、蓋を開けてみればこれまで受けてきた授業でこの日が一番楽しかったという。ソーシャルワークの2人がリーダーシップをとってくれていて、他の子たちはかなり受け身ながら振れば発言してくれるので、シャイな子たちとリーダーたちのブリッジングをする係に落ち着きそうな気配です。

水曜日

どうにも実習に戻りたくなさすぎて休みました。夜中にものすごく怖い夢をみて目が覚めたと思ったら、外は嵐で風がびゅうびゅうとする音に夢と現実がごっちゃまぜになって心臓がばくばく。休むことにしておいてよかったと思いながら眠りについたものの、休みの連絡を入れるべく目覚ましをかけていたのと、教育係と電話で話さなければならないこととで、再び吐き気&動悸。なにやってんだか。とりあえず午前中は仕事をして、午後は少しだけ課題に手をつけたものの、どうにも疲れたので、後はぼーっとドラマをみたり、気になる調べごとをしたり。夜も更けてから、翌日のSupervisonの書類をやっつけで作って教育係へメール。明日いきたくないなと登校拒否児の気分で眠りについたのでした。

木曜日

あまりに実習に行きたくなさすぎて、ぎりぎりまでベッドから起き上がれず。でも今いるところは今週で終わりだし、Supervisionをやらないわけにはいかないしと心に鞭を打って家を出ます。相変わらず無愛想で必要最低限しか話しかけてこない教育係に関しては、どうせあと1日半で移動するしと、このままではあわやメンタル崩壊状態の私は、どうでもいいやと思うことにしました。

午前中は、唯一私を気にかけてくれているスタッフ療法士とテクニカルアシスタントと一緒に病棟回診へと向かいました。と思いきや、緊急事態を知らせるアラームが鳴り、ドクターたちが続々と現れます。病棟内に緊張は走ったものの、ドラマで見るような叫び声が飛び交うような感じではまったくなく(ですよね)、それぞれがやるべきことを冷静にやっているという感じでした。居心地悪いし、嫌だと思い続けている実習ではありますが、現場の人たちの仕事ぶりには絶えず感銘させられているし、どうも私はレアな現場によく居合わせているようで貴重な体験をさせてもらっているようです。

そして午後いちで教育係とのSupervision。何をみて何を習得したかの報告をし(そして逐一ダメ出しをされ)、最後にDay 2から続いている睡眠障害と過度のストレスについて話しました。そもそも何にストレスを感じているのか、何がトリガーとなっているのか、と聞かれたものの、「それはあなたです」とはとても言えないので、もにょもにょとお茶を濁します。卒業までにやらなければいけない実習の中で、一番期間が短くて一番何もしなくていい今回の実習なのに、今からそんなにストレスを感じていたらこの先どうするの?的なことも言われましたが、そもそも苦手な病院と言う環境で、各種サポートをしてくれるはずの教育係に半ば無視されていることに苦痛を感じていて、それゆえにパニック状態に陥っていると思われるので、知らんがなです。

半分は、次の配属先でも苦悩が続くようであれば、本格的にコース変更も考慮した上で、この実習は辞退しようというのが今の心境です。

金曜日

今朝も相変わらず私の中の登校拒否児がいやいやしていますが、午後は2週間に一度の自習タイムなので、この午前中を乗り切ればとりあえず今の配属先からは解放されることを励みに、駅近くのコーヒー屋さんへ向かうところで見つけた朝の月。しかも満月です。月を見るとどうしたって笑顔になります。

今日の実習はまず、朝イチで診療科の勉強会に参加。これがとても興味深いトピックで気持ち的には身を乗り出す勢いで聴いていました。これに参加できただけでこの2週間ドロップオフしなくて良かったと思うくらい。結局私は、興味がある分野に関しては難しい話でも英語でちゃんと理解ができるので、今やっているコースでのセオリー授業でも手こずっている=実は興味がないのでは?という疑惑が浮上してきました。やりたいことはいつだって明確で、決断だって得意のはずなのに、大学が始まってからというもの、自分でもなにをやっているんだかわからない感が一向に収まる気配がなく、どうにもこうにも気持ちが悪いのです。

最後の半日は別の療法士と一緒に患者さんを回ったので、リラックスした気分でたくさん質問もできたし、平和な最終日を過ごせました。最後に教育係からサインオフだけ受けて、一応お礼を伝え、ひっそりとオフィスを後にしました。もちろん心の中では打ち上げ花火が年越し並にあがってたのだけれど。笑

なんだかんだと心の拠り所だったテクニカルアシスタントにどうしても最後にお礼を言いたくて、帰る前に、彼女がいつもひとりでランチをしている場所へあいさつに向かいました。来週から別の病棟に移るからその前にお礼をいいたくて、と言うと、「あなた今まで来た生徒の中でもすごく良くできた生徒よ」と思ってもいなかった言葉をもらい、平気なふりをしながらいっぱいいっぱいだったのも手伝って、涙腺決壊。「全然平常心を保てなくて、もう辞めようかとさえ思うくらい苦戦してたから、まさかそんな風に言ってもらえるとは思ってもいなくて」とぽろぽろ涙をこぼしていると、「ハグとかいる?」と(ちゃんと私の承諾をとってから笑)ハグをしてくれました。卒業して資格とったら戻ってくるよね?と言われたので、うーんそれはどうかな、とお茶を濁す私。

感情ジェットコースターに頭がついていかないまま、とりあえずいったん家に荷物をおいて着替えをして、すぐにお馬のみなさんに会いにボランティア先に向かいました(自習タイムは?)。お馬のみなさんには私の揺れ揺れ感情がお見通しなのか(もしくはランチ代わりに食べたりんごとぶどうの匂いがするのか笑)、みんな近くに寄ってきてはむにゃむにゃとじゃれてきます。いつもは連れない態度のお馬までもなんか今日は優しい。

馬たちはもちろんのこと、屋外肉体労働もしみじみ良いなと思います。今日は天気もよかったので余計に。福祉作業所的な役割もしているこのスクールで作業をしている”生徒”のみなさんも、スタッフのみなさんも、いつだって歓迎してくれる場所があるおかげで、私はなんとか崖から落ずにいられるんだなあ。


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