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カタカナの罠

先日自転車やさんで、私の言った「トートバッグ(Tote Bag)」が全然通じなくて、その場はとりあえずジェスチャーで乗り切ったものの、こんなシンプルな単語が伝わらないなんて、しかもLもRもVもBもない単語なのに、、、と気になって調べてみたら、トウトバッグだったという。そりゃ通じないわ、口の形がまるで違うもの。そもそもカタカナ読みは基本的に疑ってかかった方が正解なことが多いのだけれど、まさかこんなところで。確かに普段はそうそう使う単語じゃないけれど、なんだか油断して歩いてたら落とし穴に引っ掛かった感が拭えません。

英語が毎日の主なコミュニケーション言語となって結構な時が経ちました。
対面だろうが電話だろうが文書だろうが、伝えたいことは伝えられるように、知りたいことは知れるようにはなったけれど、手持ちのあまり豊かではない語彙力と適当な発音と勢いでなんとかなってしまうという力技に、思いっきり寄りかかってきてしまった感もあります。

ずっと気になりながら、ずっとなんとかしたいと思いながら、発音矯正のレッスンは高価だし、時間もなんだかんだとないし、と言い訳をしてきましたが、ヨガの指導をオンラインでするようになって、マイクを通して耳に入る自分の言葉を聞いていかに自分が曖昧な発音と発声をしているかを目の前に(というか耳に)突きつけられて、このままでは流石にまずいと思い始めたのです。

そして今取り組んでいるのが、きちんと発音するということを身体の動きという面から捉えてみるということ。身体の筋骨格に関わる勉強をしてきて、それをヨガ、バレエ、乗馬を通して動きに落とし込むということをずっとしてきたので、身体を動かす時に何がどうなっているのかを感覚として捉えるのが得意になりました。あと、意識をして練習し続ければ、身体や動きの質は必ず変えられるということもなんども経験してきました。

例えばヨガでやる、フリースタンドの倒立。これは腕力というよりもコアの力、さらに言えば、筋肉のパワーというよりも筋肉の動きの協調です。なので、力みのない美しくまっすぐなフリースタンド倒立をするのは、女性の方が多いように思います。男性は力があるので、多少他の身体の部分が連携できていなくても腕の力でなんとかなりますが、多くの女性の場合、全体重を腕だけで支えられるほどの筋力を望めないことが多いので、積み木を一つづつ丁寧に積み重ねるように、体全体の協調力を駆使していく必要があるから結果力みのない美しい倒立になるのだというのが私の持論です。懸垂や腕立てはへっぽこな私でさえ、身体を内側から観察し練習を重ねた結果、これが得意ポーズになったくらいです。

そしてふと、発音もヨガやバレエ、乗馬のトレーニングと一緒なんじゃないかと思ったのです。口や舌を動かす筋肉と神経の回路=コーディネーションを鍛えて身体が覚えれば正しい発音ができるはずだと。というか、そもそも口や舌の筋肉がきちんと使えなかったら、いくら気をつけてもできない発音はできないまま。18年前、ロンドンに来てすぐに通っていた英語学校の先生に、リンゴをかじる時のようにもっと口を大きく開けて話しなさいと言われたことを思い出しました。

そんなこんなで何か発音矯正や単語力を強化する方法やヒントはないかとインターネットで調べていた時に、日本語ではなくて英語で頻繁に使う口の形を作るための筋トレ的なものを発見。その口の形というのが、口角を上げたまま口を上下に開くというもので、それこそ私が日本で英会話イーオン(今もまだあるのかしら)に通っていた時、アメリカ人講師が話すのを見ていつも、この人の口はよく四角くなるなと思っていた形だったのです。確かにこれは日本語にはないし、そもそもこの口の形、結構口周りの筋肉がキツい。

これがきっかけで、口周りの筋肉の使い方に意識するようになりました。あと舌も。ほうれい線を消すエクササイズとかでも知られている舌のエクササイズ、唇と歯茎の間を舌でなぞるように何周も動かすのをやった後だと、英語の発音がしやすくなることにも気づきました。

あと、日本人的には一緒に聞こえるんだけど、実は全然別物の、イヤー:年(Year)と耳(Ear)とか、アンクル:足首(Ankle)と叔父さん(Uncle)とか。間違えがちなあるある案件という認識はあっても、実際ちゃんと発音分けできている自信がまるでなくて、それこそ勢いと相手が文脈から察してくれるのに頼って来ていました。ヨガの指導でよく使うおへそ(Belly Button)も、いまだに気をつけないとベリーのおしり(Berry Bottom ?!?!)と言ってしまいそうになります。

そこでホワイトボード。元々は、やることリストを作ってもそれを見ることすら忘れるからと購入したのですが、今は、ここに発音がごちゃ混ぜになりがちな単語や、本などを読んでいて何度も調べているのにいまだ覚えられない難しい単語、仕事で使う解剖学や病理学系の単語でよく混同しがちなもの、などを書き出して、いつでも目に入るようにしています。てか、何で今までやらなかったんだ自分。

あと英語アプリのELSA。これも調べてて知ったのですが、なかなか良いです。アメリカ英語ベース?のようなのでそれが最初は気にかかっていたものの、今のところあえてアメリカ英語に寄せなくても認識してくれているので、仕事が再開できる目処がたったら、有料版にアップグレードしようかなと思ってます。とはいえ、無料版でもかなり細かく発音分析をしてくれていて、それを見てああ確かにと思い当たる節がありすぎ。痛いところをじゃんじゃん突いてきます。反面、嬉しい気づきは、日本人にとっては聞き分けづらいタイプの音も、割とすんなり聞き分けられているということ。聞けないと言えないので、とりあえず聞けるということは、筋肉と神経回路を鍛えれば言えるようになるはず。

そんなわけで英語の話もこれから時々書いてみようかなと思います。
先日、友達がTwitterでつぶやいていた、似たような意味を持つ2つの単語の使い分けについて、辞書は教えてくれない文化背景を含めた部分を説明するのがちょっと楽しかったのでそういうネタなども。お題提供大歓迎!なんてね。


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