白紙の詩人

 何も書けなくなってからが
 本当の詩人だと、誰かが言っていた

 僕は今、詩を書けていますか

 何も題材が無く
 閃きも無く
 日常に思うところも無く
 ただふすまを被って
 生きている僕は
 詩人ですか

 書けば書くほど
 ただ恥に恥を塗り重ねて
 書いたものを反芻はんすうしては
 慚愧ざんきが襲いかかる

 生きてるかどうかさへ
 怪しいこの身を引き摺りながら
 何かを探して
 何も見つからない

 書き始めたのなら
 書かなければならない
 だが、僕には何も無い

 謎の編集者が
 心だか頭だかに現れて
 書けと言ってくる
 だが、僕には何も無い

 「何も無い」が有るだけだ
 あとはいつもの布団に寝転ぶだけ

 僕には何も無い
 何も書けない僕は、詩人ですか

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