風刺にすら「正しさ」が介入するセカイ

苦痛を味わいにいくマゾスタイル

ちょいと暇ができたものですから、前にnote界隈やらエックスランドで話題になった映画を見てみました。

『バービー』と『クレヨンしんちゃんTHE MOVIE 超能力大決戦 とべとべ手巻き寿司』です。

正直言っていいですか?


二作品とも、目茶苦茶苦痛でした。

駄作だったとか言うわけではないのですが、興味全くない分野のアニメ見るのがこんなに苦痛とは思いもしませんでした。ぶっちゃけた話、脳味噌空っぽにして見るおバカな映画の方が好きなんですよね。
時間とお金がある人、もしくは社会批評を生業としている人間やネタにして嘲笑いたいインフルエンサーであれば仕事だと割り切ってしまえるんでしょうが。


ダブルスピーク技法『バービー』

まずは『バービー』ですが、これは完全にダブルスピーク映画ですね。現代的政治的正しさの作法に忠実なまでに従っているが、描写のあちこちで演出の嫌味ったらしさが滲み出ています。
調べたら、演出の方は英国人だそうで、流石はブラックジョークと三枚舌外交とダブルスピーク発祥地だと感心しました。

それはまさに「ぶぶ漬け、どうどす?」≒「そろそろ帰れや」の架空京都人伝説じみたものを感じてしまいます。
(京都市民の名誉の為に言及しておくが、このぶぶ漬け伝説はまことしやかに囁かれている都市伝説のようなものであり、実際にはそういう嫌味ったらしさはない。そもそも、そういう嫌味ったらしい人間は都鄙に関わらず一定数存在する。



同じテレ朝系なのに、どうして差がついたのか…慢心、環境の違い。『クレヨンしんちゃんTHE MOVIE 超能力大決戦 とべとべ手巻き寿司』

で、『バービー』の後に『クレヨンしんちゃんTHE MOVIE 超能力大決戦 とべとべ手巻き寿司』を見たのですが、第一感はこれでした。

「うわあ…野蛮だなぁ…。」

何故、野蛮と感じたのかというと、同じ現代版政治的正しさの作法に忠実に従っているものの、ダブルスピーク的皮肉をふんだんに盛り込んだ『バービー』と違い、こちらは直接的表現をこれでもかと盛り込んでいたからではないかと思います。
(こちらの方がより切迫感があった、というのも事実でしょう)

切迫感という意味では、『相棒』屈指の鬱回と名高い「ボーダーライン」の方が確実にできが良かった。

自分の加齢による感受性の低下なのだろうと思います。
しかしそれでも、2023年製作の劇場版アニメが、2010年製作のシリーズドラマの話の一つ以下の現状認識という切ない現実に、「13年前よりコンテンツ制作能力が下がったなぁ」「13年前から全く進歩してないのか…」という感想が出てきてしまいましたとさ、ちゃんちゃん。

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