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【ビビビ。】過去のタップ

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クラフトビールバー「ビビビ。」で、過去に提供したタップをご紹介するマガジンです。
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記事一覧

【Tap04】あくら(秋田)

 秋田県秋田市のあくらは、造り酒屋を前身とする老舗ブルワリーです。蔵を改装して造られた施設であることから、名称の由来は「蔵」にあり。つまり、「a 蔵」=「あくら」というわけです。  1Fに醸造所、2Fにバルを備えた「ビアバールあくら」はJR秋田駅から徒歩15分ほどの好立地にあり、市内随一の歓楽街である「川反」エリアに近いことから、通年お客さんの絶えない人気スポットとなっています。  地域の原材料にこだわっているのも特徴で、日本酒酵母とビール酵母を掛け合わせて開発したオリジ

【Tap08】オビナブルーイング(山梨)

 甲府市下帯那町は、甲府駅から車で20分ほどの美しい山の中にある町です。この下帯那町にオビナブルーイングが誕生したのは、2022年のことでした。  オーナーブルワーのデイブさんは、大学教授を本業とする変わり種(テレビ東京「Youは何しに日本へ?」に出演経験あり)。帯那の自然に魅せられた彼は、自宅をDIY(!)で造り、ホップ畑を拓き、そしてもともとアトリエとして使われていた古い建物を自らの手で改装して、ブルーパブ(醸造所兼パブ)まで設けてしまいました。  自家栽培するホップ

Personabrewery(山梨)

 山梨県の県庁所在地である甲府市で、2020年の秋からクラフトビールの醸造を行っているPersonabrewery。東京生まれの女性オーナー・高橋添(そえる)さんが、夫の転勤に合わせて移住した甲府で、本業の傍ら立ち上げたブルワリーです。  甲府駅から徒歩10分強の好立地にあるブルーパブ(醸造所兼パブ)は、近隣のファンで大賑わい。それも大いに納得! IPAからポーター、サワーまで、あらゆるスタイルがまんべんなく高レベルで、きっと誰もが「こんな店が近所にあったらなあ」と切望する

【Tap07】VECTOR BREWING(東京・浅草橋)

 VECTOR BREWINGは2016年、東京都新宿区で産声を上げたマイクロブルワリーです。創業当時は当初は「Shinjuku Beer Brewing」の看板を掲げていましたが、後にVECTOR BREWINGと改称。現在も新宿に醸造所を残していますが、ここでは運営会社やメインの醸造所がある浅草橋として表記することにします。  ブルワリー部門の立ち上げからジョインしたブルワーの木水朋也さんは、もともと学生時代をホヤの研究に捧げた変わり種。木水さんは当時をこう振り返ります

タルマーリー(鳥取)

 ビールとは酵母(イースト菌)で麦芽を発酵させてつくるもの。実はこれは、パンの製法とよく似ていて、本場ドイツではビールのことを「飲むパン」と表現するほどです。  現在は鳥取県・智頭町に拠点を置く「タルマーリー」は、自家製酵母を用いたパン屋さんとして2008年に、千葉県で産声を上げました。その味とスタンスから、たちまち製パン業界で伝説的な人気を集めたタルマーリーはその後、より良質な環境を求めて2011年に岡山県真庭市に移り、さらに2015年に鳥取へと拠点を移します。 「酵母

AKARI BREWING(鳥取)

 鳥取市街から車でおよそ30分。県西部にある鹿野町は、因幡の領主・志加奴氏の名に由来する、古き良きふるさとのムードを残す町です。かの司馬遼太郎に「えもいえぬ気品をもった集落」と言わしめたのは、かつてここが城下町であった名残なのでしょう。  そんな歴史と風情の町にに、2018年5月に誕生したのがAKARI BREWINGです。  創業に向けて動いたのは、鹿野町で活動する地域起こし団体、「あかり本願衆」でした。  これは鹿野城址のライトアップや地域の名産の拡販など、地域活性化の

26Kブルワリー(東京・武蔵境)

 JR中央線の高架下、わずか3坪のスペースでクラフトビールを醸造する26Kブルワリーは、間違いなく日本最小のブルワリーでしょう。  およそ15年前まで、いわゆる“開かずの踏切”がドライバーを悩ませていたこの界隈。再開発によって線路が高架の上に移し、町並みをリニューアルする過程で、26Kブルワリーの構想はスタートしました。 「JRさんから、『テナントが空いているので何かやりませんか』とお声がけいただいたのが、ブルワリー立ち上げのきっかけでした。もともと広告制作の仕事を通して

バタフライブルワリー(愛知)

 いつか音楽を聴きながら美味しいビールが飲める空間をつくりたい――。愛知県春日井市出身の入谷公博さんが、プロのフルート奏者であった妻の光江さんとそんな夢を語り始めたのは、今から数年前のことでした。  ところが、実際にブルワリー設立を目指して準備を進めていた2020年の秋。光江さんは病床に伏し、帰らぬ人となります。  突然のことに大きな悲しみにくれた入谷さんでしたが、2人の幼い愛娘を抱える身ゆえ、前に進み続けるしかないと自らを鼓舞。コロナの影響で設備の到着の遅れるなど、予期せ

オーロイブルーイング(香川)

 クラフトビールをつくるマイクロブルワリーには、「ファントムブルワリー」という形態があります。これはファントム、つまり実体を持たない醸造所のことで、他社の醸造設備を使って製品をつくる形態を意味しています。  いわゆるOEM(受託生産)と異なるのは、自前の設備はなくてもブルワーが存在していること。そのため、ファントムブルワリーにはしっかりとつくり手の個性が表れます。  香川県高松市で人気を博すオーロイブルーイングは、代表の渡辺仁史さんが2022年にファントムブルワリーです。

【Tap06】横浜ビール(神奈川)

 神奈川県横浜市はマイクロブルワリーが密集する、全国有数のホットスポット。なかでも最古参である横浜ビールは、日本のクラフトビール元年と言うべき1994年に設立された日本地ビール事業研究所株式会社を前身とする、長い歴史を持っています。  「ヨコビ」の通称で親しまれる横浜ビールの拠点は、「驛の食卓」というビアレストラン。アルトやヴァイツェン、ペールエールといった伝統的なスタイルを醸す一方で、地域の農家との連携を大切にしながら多種多様なビールをつくり続けてきました。  他方では

門司港地ビール工房(福岡)

 明治時代のレトロなムードを色濃く残す北九州・門司港エリアで、1998年からクラフトビールを醸造している老舗が門司港地ビール工房(門司港レトロビール)です。  歴史的な建造物を多く残し、観光地として大いに賑わうこの街で、黎明期から存在感を放ち続けてきたこのブルワリーを僕が初めて訪ねたのは、かれこれ15年以上も前のことでした。2020年になって閉鎖のニュースを耳にした時にはなんとも残念に思ったものですが、一昨年、小倉の街を散策中に偶然の“再会”を果たしました。  諸事情により

宮下酒造(岡山)

 岡山県で1995年からクラフトビールを醸造している宮下酒造は、1915年創業の清酒蔵。100年以上の時を経て、現在は日本酒だけでなく焼酎やジン、ウイスキーなど、何でもつくる総合酒類メーカーに成長しました。  そんな宮下酒造のクラフトビールブランドが「独歩」です。信念あるビールづくりに独立独歩、邁進していこうというのがネーミングの由来なのだそう。  同社を取材させていただいた際、とりわけ印象的だったのがヘッドブルワー・伊藤泰信さんの次のコメントでした。 「酒は厳密に言えば

【Tap01】本庄銀座ブルワリー(埼玉)

 コアなクラフトビールファンにとっては伝説的な人気を誇った、栃木県のブレストンエールブルワリー。同社が2020年3月に惜しまれて閉業した翌年、醸造担当として本格派のイングリッシュスタイルを学んだ中田翔さんが故郷・埼玉県本庄市で新たに興したのが、本庄銀座ブルワリーです。  その確かな出自に基づく腕前に加え、本庄市特有の硬水で仕込むことで、「モルトの良いところが引き出され、飲み応えのあるビールをつくることができるんです」と中田さん。  さらにもう1つ、すべてのビールに本庄市内で

【Tap02】久福ブルーイング本島(香川)

 瀬戸内海に浮かぶ人口257人(※2023年現在)の本島(ほんじま)。ここに夫婦2人で営む新たなマイクロブルワリー、久福ブルーイング本島がオープンしたのは、2022年11月のことでした。  仕掛け人は島の対岸にある坂出市で暮らしていた久保田さんご夫妻で、きっかけは、旅行会社に勤務していた夫の宏平さんが独立を思い立ったこと。妻の真凡さんもこれに賛成し、では2人で何がやれるかと想像を膨らませていったところ、さまざまなご縁が重なり、クラフトビールに白羽の矢を立てました。  ユニ