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【11/23-25 レポート】 鎌倉・浅草へ、農泊事業の先進地視察を実施しました!

こんにちは!びえい農泊DX推進協議会です。
現在、北海道の美瑛町で「農泊」の取り組みを進めているのですが、すでに日本には様々な農泊の取り組み事例があります。

「農泊」とは、 農山漁村地域に宿泊し、滞在中に豊かな地域資源を活用した食事や体験等を楽しむ「農山漁村滞在型旅行」 のことです。地域資源を観光コンテンツとして活用し、インバウンドを含む国内外の観光客を農山漁村に呼び込み、地域の所得向上と活性化を図ります。

農林水産省 HP「『農泊』の推進について」ページより

「農泊」という言葉で勘違いしがちですが、農泊は「農家に宿泊をする」ことではありません。上記の通り、農山漁村地域に宿泊し、滞在中に豊かな地域資源を活用した食事や体験等を楽しむ「農山漁村滞在型旅行」のことなので、農山漁村地域への旅行滞在で、食事や体験を楽しめば、それはほとんどが農林水産省が定義する「農泊」に当てはまります。

私たちは、11月23日~25日で、農泊事業にすでに取り組まれている宿がある鎌倉と浅草へ先進地視察を実施し、施設の管理者や地元の農家の方々にお話を伺いました。今回は、その様子の一部をご報告します。

訪れた宿

T-REEF Vacation House 琥珀-AMBER- [鎌倉]
https://www.treef-vacation-house.com/

写真:T-REEF Vacation House HPより

T-REEF Vacation House 翡翠 -JADE- [鎌倉]
https://www.treef-vacation-house.com/

写真:T-REEF Vacation House HPより

LacQuer House ASAKUSA [浅草]

写真:楽天トラベル LacQuer House ASAKUSA ページより

お話を伺った方

 T-REEF Vacation House 富永忠男さん、悦子さん

富永忠男さん
富永悦子さん(写真中央)

富永忠男さんは、1971年からプロサーファーとして活動し、現在もサーフボードを作るシェイパーとしても世界的にも有名なサーファーです。2013年に、ニューカレドニアより日本に帰国し、その後この T-REEF Vacation Houseの管理をご夫婦でされています。

古民家を改装したこの宿のリノベーションのお話や、清掃の仕方、清掃スタッフの確保、Webへの掲載について、ホテルコンセプト、クレーム対応の方法、そして行政との関わりなど、多岐に渡るお話をしていただきました。

その中でも、悦子さんが「最も大事なのはご近所さんとの付き合い」とお話しされていたのが印象的。鎌倉という土地柄、観光に来られる様々なジャンルのお客様が滞在するエリア。宿泊された方が、この土地に住んでいる周辺の方々に迷惑がかからないように最大限配慮し、迷惑をかけてしまった場合はすぐに誠意を持って対応する、ということを心がけられていました。どんな土地で実施するにしても、地元を尊重することが何より大切なことを、改めて感じるお話しでした。

そして、農泊の要素である「飲食、宿泊、体験」のうち、「宿泊」に関する部分については、隙間時間活用で地元のママさんたちが活躍していることも教えていただきました。農泊がもたらす効果は、地元の方々の仕事を作り出すこともできるのだと感じました。

山森ファーム 山森金雄さん

山森金雄さん

鎌倉の関谷というエリアで、西洋野菜など年間120種類以上生産する山森金雄さんに、地元の生産者としてお話を伺いました。山森さんが作る野菜は、「鎌倉市農協連即売所」(通称・レンバイ)で販売されています。

鎌倉市農協連即売所


レンバイでは、農家さんが対面で販売をします。1班〜4班があり、山森さんは4班に所属。私たちが伺った時は1班が販売されていました。

山森さんの野菜を求める人は、地元の方々だけではありません。県内外の有名レストランやホテルから、料理人が山森さんの野菜をめがけてレンバイに足を運ぶそう。美瑛とは違い、1年を通して美味しい野菜を生産できる鎌倉で、時期をずらしながら多様な野菜を栽培・生産されています。

山森さんにお持ちいただいた、色鮮やかな鎌倉野菜

山森さんは、現状の農業に強い危機感を抱かれていました。神奈川県では、20年間で4割の農家が辞めているらしく、「このままだとレンバイも10年持たないと思う」とのこと。山森さん自身も、様々な取り組みをしながら、農業が生き残る未来を探られています。

「農泊」としての農業体験のお話をさせていただいた時は、「土をいじって体験をしたい、という需要は非常に多い。土と農作物があるだけで、子供たちも含めてみんな大喜びする」と言うお話も。農業体験を通すと、子供たちが普段食べれない野菜が食べれるようになることもあるのだとか。それほど、土や野菜そのものが持つパワーは強いことを感じます。

大変な苦労しながら農業を続ける中で、山森さんの何よりの喜びは「美味しい」と言われること。「それだけで十分」とお話をされていました。日本、特に都市部では、なかなか生産者さんとお話しをする機会がありませんが、私たち農泊チームも、そうした機会をたくさん作ることを目指したいと思います。生産者さんに「美味しい」と伝える。それが、私たちの最大のミッションなのかもしれません。

空庭(ソラニワ) 中川美陽子さん

中川美陽子さん

最後に、大阪で唯一のオーガニックマーケット「ぐりぐりマルシェ」を開催されている、中川美陽子さんをお招きし、「ファーマーズマーケット」のお話をお伺いしました。

「ファーマーズマーケット」自体は、農林水産省が約10年前から推進しはじめた言葉だそう。生産者さんの支援を目的に、欧米のファーマーズマーケットを日本に取り入れました。

中川さんからは、現在のぐりぐりマルシェの取り組みのお話をはじめ、継続が難しいファーマーズマーケットの収益化、運営の実情などのお話を伺いました。ぐりぐりマルシェは現在、約30の出展者のうち、半数が農家だそう。
「雑貨」は集まりやすいが、農家・生産者と繋がり、どう出展に誘致するか?が重要とのこと。大阪の真ん中で、月に1回のファーマーズマーケットの実施を続けているのは、中川さんの丁寧な関係性づくりがあったからこそ。

美瑛でも、ファームズ千代田さんのどかな景色が広がる敷地を活用した、ファーマーズマーケットの開催を検討中。まずは、農家さんとの関係性を作り、生産者の皆様に喜んでもらえる場が何か?を考えなければいけません。

浅草で観光コンテンツを考える

視察2日目は「LacQuer House ASAKUSA」に宿泊しつつ、コンテンツも豊富で観光客も非常に多い浅草を巡ります。びえい農泊チームに浅草出身のメンバーに案内をしてもらいながら、観光コンテンツについて検討する時間となりました。

食も体験も、コンテンツに困ることがない「観光地・浅草」としてのパワーを感じる時間。私たちも何度も訪れたことがある浅草でしたが、今回は浅草生まれのメンバーが丁寧に案内をしてくれたおかげで、見え方が大きく異なるのだなと感じました。私たちびえい農泊チームも、美瑛のことを丁寧にお客様に伝えて、何度も来ていただけるようなガイドがしたいと改めて思います。

以上、鎌倉・浅草の3日間の先進地視察のレポートでした。

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