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しみるデニムゥぅぅ!

 おはようございます!こんにちは!地元の広島県内をぶらぶらしているところ(ちなみに出身は広島県福山市)、尾道市にて、穿く度に想いをはせて力を貰えるようなデニムを扱っているデニムショップを見つけちゃいました。その名も尾道デニムショップお店に入って、店員さんの説明を聞きながらデニムを眺めた僕の胸の中で、これはしみるデニムだああああああああと叫びました。実際にも少しだけ叫びました。

 そして今回は、そんなしみるデニム…もとい、尾道デニムショップさんの扱うデニムのしみるポイントとその構造についてぜひぜひご紹介したいと思います!

尾道デニムってなに?

 尾道デニムとは、作り手のこだわり・想いが様々なダメージとして刻まれたUSEDの尾道デニムプロジェクトさんが生産・販売しているデニムのことです。(これをしみるデニムと呼ばずして何と呼ぶ!?!)ここで言う作り手とは誰か?それは、布を織って糸を紡いで縫ってデニムを完成させた職人の方々・最初にデニムを穿いた方々、の2種類がいるんです。そう、最初に穿いた人も作り手なんです!!!!どういうこっちゃ!?!?!!

尾道デニムを最初に穿いた人は、単なる購入者じゃありません(本当に「購入」していない。これは後述します)。彼らは、尾道デニムプロジェクトの協力者たちなんです。


そもそも尾道デニムプロジェクトってなにか?

というと、

広島県尾道市を舞台に、広島県東部に位置する備後地方で作られるデニムの魅力発信と、尾道の街の魅力発信を目的に2013年1月に「尾道デニムプロジェクト」をスタート。尾道の街で暮らし働く人々がデニムを実際に穿き込むことで、加工では表現できない、1本1本に豊なストーリーと個性を刻んだユーズドデニムを育てる世界初の取り組みとなる。(原文ママ)

なんです。なるほど、プロジェクト始まってもう5年目になるんですね(全然しらなかったああぁ…!)。このプロジェクトは、瀬戸内地域の街づくりを行う(株)ディスカバーリンクせとうちさんの事業であり、備後地域出身のDenime(デニムブランド)の創始者であるデニムデザイナー林芳亨さんが監修をしているようです。

尾道デニムのしみるポイント

 相変わらず尾道デニムのことはしみるデニムだと主張を続けたいと思います。そんな商品名は無いですが関係ありません…!
  話を戻すと、尾道デニムを最初に穿く人というのは、尾道デニムプロジェクトに共感して「尾道のためなら!」・「街に人を呼ぶきっかけになるなら!」・「タダでデニムもらえるなら」(そういうきっかけの漁師さんもいるみたい笑)、と思い、プロジェクトからデニムを受け取り、一年間作業着としてデニムを穿き続けた、様々な職業の尾道市民の方々なんです。そんな様々な方の仕事もようが刻み込まれているんです!例えば、居酒屋勤務の方のデニムには食器漂白剤のかわいい白いドット模様がついてるし、大工さんのデニムの膝小僧は激しい労働によってすり切れたのであて布がされています(下の写真)。

 特に印象的だったのが、一緒にお店に行った友人の「ここのデニム一本一本ストーリーとか話せたりするんですか?」という問いかけに対して、

(店員さんが一本のジーンズを前にして)、
「それはわかりますよ!例えば、このデニムの膝を見てください。これは左官(壁塗り職人)さんのデニムなんですが、膝の部分に白くダメージがついているじゃないですか。これは、毎日仕事の時に足元に膝をついているからできるんですね。これを見た左官さんが、『わしも年をとったのう、昔は膝なんてついてなかったんじゃがの』と仰っていて、ご本人も気付かない仕事の様子が刻み込まれているんですよ。」

です。ただでさえ、ひと穿きして、疲れて下向いてしまった時に、自分のまちを何とかしたいと思う職人さんが日々仕事をしている様子を想起できて元気を貰えるのに、職人さんの努力や必死さを表すダメージまであったらどれほど心強いか。はんぱなくしみるデニムじゃないですか?ねえ!


プロジェクト参加者は主に尾道市民。市長をはじめ、住職、農家、漁師、繊維業、大工、左官、大学生、保育士、デザイナー、カフェ店員、ラーメン屋、スウィーツショップ店員、飲食業など、世代を越えた様々なワーカー270人が参加。郷土愛が強い尾道市民だからこそ実現できたと言っても過言ではない。(原文ママ)

(めちゃくちゃさまざまな職業の人が参加してますね!巻き込み力すごい!)

尾道デニムプロジェクトの構造

 尾道デニムの魅力伝わりましたか?伝わったよね!?もうしみるデニムって呼びたくなってきたでしょう??まだの人は読み返して、それでも伝わらなかったら僕に抗議してください。しみないぞ!って。しみる情報追加しますので。 

 僕がこの尾道デニムプロジェクトに感動したのは、デニムのすばらしさだけじゃなくて、このプロジェクトの人の巻き込み方・進め方が画期的だったからなんです。プロジェクト内には、4属性の人々と3種類のコミュニティがあり、それぞれに適した施策がとられているんです。まとめると、

【四属性の人々】
①ディスカバーリンクせとうち
②尾道市民の協力者
③全国各地の協力者
④購入者

【三種類のコミュニティ】
1.①と②のコミュニティ
2.①と③のコミュニティ
3.②・③と④のコミュニティ

です。詳しく見ていきましょう。

 まずは、1.と2.のコミュニティの構造についてみていきましょう。上でちらっと言及しましたが、実は最初に穿く尾道市民は、無料で高品質デニムを2着もらえるんです。が、そもそも最初に穿く人ってのは、尾道市民じゃない人もいるんです!それはどんな誰か?①新品の尾道デニムを購入する②尾道デニムプロジェクト参加権を購入する(総額約30000円)ことができる③一年間作業着としてそのデニムを穿き続けられる人は、全国各地どこにいても、尾道デニムの作り手になれるんです。

 つまり尾道デニムを最初に穿く人は二種類に分けられます(下図)。

  そして、種類を問わず協力者は、
・尾道デニムプロジェクトからデニムを受け取る
・1年間穿いて働く
・尾道デニムプロジェクトへ返却する

の3手順を踏みます(詳細は下図)。

協力者の居住場所の違いはなにか?それは、デニムの受け取り方・返却の仕方が違うのです。下の図をご覧ください。

 最大の違いは、尾道市民の協力者がデニムを受取り・返却する際に金銭は全く発生しないのに対して、全国各地の協力者がデニムを受取り・返却する際には金銭が発生する点です。

 この違いは、協力者それぞれのインサイトをググッと掴んでいると思うのです。尾道市民の方々が協力する理由は、実利よりは①まちづくりの想いに共感②購入者が尾道や自分を訪れる可能性がある③無料で高品質のデニムを穿けること、だと思うのです。実利ではなく可能性を①②で提示できていることがポイントな気がします。
 全国各地の方が協力する理由は、①自分独自の味あるデニムを作る喜び②1年間通算で定価の30%で高品質の尾道デニムを穿けるお買い得さ、だと思うのです(実際、毎年1年ずつデニム買って委託販売して70%お金もらってまた買って…と繰り返しているお客さんがいるらしいです)。彼らのインサイトの本質は作り手側というより購入者側であることがポイントな気がします。

 最後に、3.のコミュニティの構造について見ていきましょう。概要は下の図で見てみましょう。

 ポイントは、本来の目的である尾道市民の協力者・全国各地の協力者の間の訪問が可能である事に加えて全国各地の協力者・購入者間の訪問が可能である事だと思います。

 全国各地の協力者・購入者通しの交流を可能にすることで、プロジェクトに関わる人の範囲と数をグッと増やしていけます。しかし、このUSEDデニムの販売自体は尾道市内の旗艦店のみで購入可能ですので、作り手が尾道市民でなくても街に人は訪れるのです。プロジェクトの風呂敷を大きく広げながらも当初の目的に繋がっているこの施策はめちゃめちゃすごいです。

最後に

 僕がmocchiという会社を共同創業するのは、食の作り手と食べ手をもっと近くにしたいからです(『もっとちかくに』を縮めてmocchiなんです)。mocchiのこのビジョンを尾道デニムプロジェクトに当てはめて考えると、食自体(お料理・お野菜等食材)がデニムに、作り手(料理人の方・生産者さん)がデニムを最初に穿く協力者に、相当します。
 mocchiの事業において、現在、作り手と食べ手の距離を縮めるという大目的からズレることなく、サービスやプロジェクトを多くの人に・大きく展開できるのが理想だけど、難しい…とまさに壁にぶつかっている所なんです。この尾道デニムからは、たくさん学んでいこうと思います。


 ちなみに今回は、クレイジービール博士(@S_donky4444)(写真左)・副業で地方を元気にする丹後の星(@yutasusi)(写真右)と一泊二日で、広島県福山市・尾道市のまちづくりを見に行く会ということで、いってきました。感想は、尾道市も福山市もデニムをはじめとして数々の取り組み・特産品がしみるマチだな、ということです。

 ここまで読まれた皆様については、広島に来られる際には、ぜひ尾道で途中下車して街をぶらりとしがてら尾道デニムショップさんに立ち寄られることをとてもとてもおすすめします。(尾道市内に新幹線停まりまっす!こだまだけど新幹線は新幹線!)

 それでは、非常に長文となりましたが、お疲れ様でした!

※参考
漁師が1年はいたデニム、価格2倍に… 人気の秘密は?(朝日新聞:https://www.asahi.com/articles/ASJDV320XJDVPQIP001.html)
ONOMICHI DENIM PROJECT (ディスカバーリンクせとうち:http://www.onomichidenim.com/)


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