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日本語教師日記37.擬声語・擬態語(2):ちょっと違うだけ


先日、地元のカフェでテーブルについたら、
夫がそのへりに両手をかけ、少しガタガタするのを確かめてから、

ねえあのあれ、あれやってよ。ゴロゴロ。

と、日本語で言いました。

ゴロゴロ?
嬉しくて喉を鳴らすやつ?
布団や畳やソファで寝転んでやるやつ?

😶😐😐・・・ちょっとわからなくて、

なぁに?

と訊いたら、

ほら、ガタガタしているから、君の上手なやつ。あれやって。
ゴロゴロ。

ーーゴロゴロ?

そうゴロゴロ。

ーーゴロゴ・・・あっ、グルグル?

そうそれっ。わかるでしょ、テーブルなんだから。

と言っています。


ちょっと説明いたします。

テーブルによっては、脚の底部にグルグル回る円盤がついていて、
テーブルががたつく時に、そこを、床にびしっとくっついて
ガタつかなくなるまで回せばよいということを、
普段あまり考えないでいる皆さんは多いと思います。
私はちょっとでもガタガタしているテーブルにつくと、
さっと下に消えて、グルグルして、直すことが結構多いです。

夫は、

テーブルががたついて嫌なので、いつものように床につくばって、
ガタガタしなくなるまで、あのディスク状のものを
ぜひ、貴女に回して欲しい

・・とこう、私にお願いをしていたのでした。


彼は、

文脈によって「ゴロゴロと言ってもグルグルだという意味」、
だとわかるはずでしょう?

と憮然としていましたが、わかりませんでした。

ちなみに、私も「あれ」の名前を知らなかったので、

「テーブル脚回転金具」

という、でっち上げたキーワードで検索したところ、見事にヒットしました。

その大切さや名称をまだ知らない皆さんとシェアします。
これです。
安い!
素晴らしいですね。

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さて、不思議ですが、ちょっと違っただけで通じなくなることはあります。

また夫で恐縮です。
漫画ネタにもしたことがあるのですが、夫がときどき、

「ほらあれ、え〜と、誰だっけ・・・あっ、たらさん!」

と言うことがあります。

もう何回目かで、言いたいことはわかってるので話は長くなりませんが、
最初言われたときは、わかりませんでした。

ーーたらさん? たら、ちゃん、でしょう?
  そうでしゅ〜、っていう子でしょ?

「子供じゃありません。大人です」

ーー大人のたらさん? 誰だ?

「ほら、オークランド大学の日本ウィークのとき、一緒に見たでしょ」

ーー見た?

「ほら、トラベリング・セールスマンの、たらさん」

ーーたら・・・あっ、とら? 寅さん?

「そそ、とらさん。なんでわからないの? 同じようなものじゃない」

ーーぜーんぜん違いますYO?

たぶん、タラちゃんも寅さんも有名なので、
言い間違える人には会ったことがなく、
それでことさらに、わかりにくかったのかなと思います。


生徒も、上級者でも擬声語・擬態語・擬音は難しいと言います。

じろじろと見る・じーっと見る・きょろきょろする

この辺は、はわかると言う人が多いです。

しんねりと嫌そうに見る、は 正解は一人もありませんでした。

画面越しに少しでも伝わるように、いろんな目つきをして見せます。
教師も、顔筋が疲れてしまうわけです。

あるひとは話の途中で急に、

「ぎらぎらでした!」

と言いました。訊いてみました。

ーーすみません、何が ぎらぎらでしたか?

「ぎらぎらOKでした」

ーーあっ、ぎりぎりっ?

「そうです。そう言いませんでしたか?」

ーー言わなかったみたいですよ😅
  それを言うなら、「ぎりぎりOK」ね?

ついでに、「ぎらぎら」の方も導入しておきました。


私は小さい時に、実写の「バットマン」の再放送を見ていて、
戦うシーンになると、アメリカンコミックの字体で、

BAAANG! とか SPANG!とか、POM!

みたいなのが出るのが、ちょっとわけがわかりませんでした。

私は「バットマン」はシリアスなドラマだと思い込んでいたこともあり、
そんなところでふざけるとは思っていなかったからです。

英語の擬音は、

ノックは、動詞で「ノックする」= I knock on the door.
でありながら、擬音になっても、

Knock, knock!

であるあたりが、「節約している」と思ったりします。

そういえば、

バンとドアを閉めた。 は、

I banged the door.

ですが、擬音のバンバン!も、やっぱり
Bang bang!
なので、これも節約モードですよねぇ。

とか言いながら、日本語もそうではないでしょうか。

「くしゃみ」も、誰かの耳に、くっさめ!(狂言)とか、

クシャミッ! 

と聞こえて、そこから来たのは間違いないわけで・・面白い!

などと考え出すと結構きりがありません。


好きですオノマトペ。

また書きます。


元ネタ提供されている方、ごめんなさい、紹介させていただきますね。


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