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ラヴェル、エルガー、リヒャルトシュトラウス、幅の広いプログラムで。3月20日パリ管弦楽団

2019年3月20日(フィルハーモニー・ド・パリ)

■出演
トルルス・モルク(チェロ)
デイヴィッド・ジンマン(指揮)
パリ管弦楽団

■曲目
モーリス・ラヴェル:海原の小舟
エドワード・エルガー:チェロ協奏曲ホ短調
(休憩)
リヒャルト・シュトラウス:英雄の生涯

パリ管弦楽団の定期演奏会を聴きに行きました。
今回は客演指揮者のデイヴィッド・ジンマン氏を迎えた演奏会。

1曲目は、ラヴェル:海原の小船。ピアノ曲集「鏡」の中の一曲で、ラヴェル本人によって管弦楽編曲がされました。

さらっとした音色。細かいところまで丁寧で、きらきらとしていて、繊細な演奏でした。

前日にモントリオール交響楽団を聴いていて、オーケストラの個性とは?フランスらしさとは?と思っていたところでもありました。パリ管がやるフランスもの、けっこういいと思うのです。実際はそんなにやらないので、今日聴けて良かったです。

2曲目はエルガー:チェロ協奏曲。現在ではチェロのための協奏曲の代表作とも言われる作品。シンプルなオーケストレーションで書かれた作品です。

こちらはラヴェルのときの音色とは変わって。ほんのり分厚めの温かい音で、しっかりとした伴奏を。かっこいい。

ソリストのトルルス・モンクさん、すごかったです。この音は、表現は、どうやって生まれているんだ……と思って手を思い切り見つめてしまいました。見つめたからといってわかるわけではないけれど。

休憩をはさんで3曲目は、シュトラウス:英雄の生涯。数々の交響曲を作曲したリヒャルト・シュトラウスにとって、最後の交響曲。笑われたり、愛を知ったり、戦ったり。波乱に満ちた、一人の英雄の生涯が描かれている作品です。

フルートがかっこよかったです。フルートというやわらかい楽器でもって、嘲笑のモチーフ(だと思うのです)という角ばった旋律を吹く。これがすごくよかった……。

戦争のシーンが終結して、シンバルを4人で一緒に叩くところがわたしの感動のピークでした。シンバルを複数人で叩くの、特別な音がする。一発を合わせるのが大変そうなのに、そこを完璧に合わせていてぐっときました。

英雄の生涯は、もっと、物語をしっかり覚えていたら絶対に楽しかっただろうな……という後悔だけが残っています。でも楽しかったです。

今回みたいに、それぞれ違う性格を持った曲をプログラムに入れてくれるの、とてもいいです。こうやって一度にいろいろなものを聴けるのは嬉しいです。また次の定期演奏会も楽しみです。

■パリ管弦楽団(公式ホームページ)