見出し画像

ハンマーは中国製だった

 北米におけるアジア系市民に対するヘイトクライムは激化の一方をたどっている。被害者はほとんど女性。「護身用にハンマーを持ち歩くようになった」とネットで語る日本人女性も。ナイフや催涙スプレーを携帯する人も居るのだろうが心理的に追い詰められているのを感じる。法的な問題が生じる可能性はあるが、大抵の加害者は攻撃性を感じさせない人物を狙っているのでそうしたことも必要なのかもしれない。武器を持ち歩くだけで人間は攻撃的になる、というかなれる。ハンドバッグやファッション雑誌は刃物を通さないし物で殴っても衝撃を吸収してしまうが、真後ろから攻撃されたら少なくとも最初の一発は貰ってしまう。

 この前NYヘルズキッチンで起きた台湾人女性襲撃事件の容疑者はホームレスのシェルターで暮らしている風情の黒人女性(追記:逮捕された容疑者Ebony Jackson37歳はやはりホームレスだった)。夜の8時過ぎのNYは肌寒いはずなのにタンクトップ。麻薬の影響で感覚がおかしくなっていた可能性を挙げておくが、ともかく台湾人女性は頭の左側に7針縫う裂傷を負った。

画像1

 後に諸般の事情で動画が削除される可能性もあるがリンクを貼っておく。23秒辺りで黒人女性が取り落としたハンマーを台湾人女性が拾い上げ、黒人女性は警戒して後退。

 この動画を見て私は「犯行に使われたハンマーはそれほど重くないのでは?」と推測した。おそらく2~300グラム。成人男性でも1kgを超えるものを片手で振り回しながら動くのは結構辛い。試しに中味入りのペットボトルを振り回しながら走ってみよう。

 しかし。やはり実際にハンマーを振ってみないと分からないというのが正直なところ。そこで私は都内某所にハンマーを買いに行ってみた。被害者女性の心理はそこまでしなくとも想像がつく。だが加害者の心理となると曇り空を見上げて月を探すようなもの。

 何らかの被害妄想にとりつかれていたのだろう。晩飯を食えなかったのかもしれない。北米における新型コロナ罹患者の致死率は日本より高く、不況で真っ先に失業するのは黒人という事情も考えられるがそれは全般的な話で犯罪者心理にはたどり着けない。

画像2

 上の画像はハンマーを拾い上げた台湾人女性。彼女が握っているものに近いものを買うことに。ちなみにここで彼女が本格的に反撃に転じても正当防衛にはならない。NYPDも「マイノリティー同士の小競り合い」で片付けてしまう。黒人女性の行為は明らかに殺人未遂なのだが、米国の司法も常に客観的な判決を下すわけではない。強い方に傾く。

 都内某デパートではフィットネス用品も売られていた。アブローラーはともかく今時エキスパンダーが売られていたのには驚いたが、新型コロナ禍でスポーツジムも使用制限がある現状では案外需要があるのかもしれない。そしてエキスパンダーが入っている箱には筋肉質な黒人男性モデルの画像が。プッシュアップバーの箱には白人男性モデル。いまだに漠然と「ガイジン=強い」という偏見がある日本。これも失礼な話だと承知の上で書くが自称ヘビーウエイトで実はオーバーウエイトが多い欧米人が見たら何と思うか。

 現在ボクシングヘビー級世界チャンピオンは2人いてイギリス白人とヒスパニック系米国人なのだがどちらも「fit」と言える体型ではない。ミドル級世界チャンピオンの日本人のほうが「fit」した体型なのだが日本人は日本人になりたがらない、という歪んだ現実がある。

 話がそれる前にDIY用品売り場へ。NYヘルズキッチンに今行くことは出来ない。しかし犯行に使用されたものに似たハンマーは買うことが出来る。Amazonなどネット通販はあえて利用しなかった。やはり道具は触ってみないと分からない。ネット通販だと隣に並んでいる商品と比べてみるという当たり前のことが難しい。黒人女性がハンマーを持っていた当初の理由は護身の為だろう。それが凶器に転じた。どこで入手したものかは分からないが、アジア系女性襲撃目的でネット通販を利用したとは思えない。何故ならクレジットカードを持っていない、持てない貧困層出身者だろうから。

 そして「こんなものかな」と手にしたハンマーをよく見れば「made in china」。欧米に観光旅行に出かけ、土産物を買い、日本に帰ってからよく見たら中国製だったという話があるが、北米でも中国製品など珍しくないだろう。

画像3

 犯行に使用されたハンマーも中国製だったのかもしれない。いや、中国製だった。私の中に確信が生まれた。それが台湾人女性の頭に振り下ろされたと思うとやりきれない。犯行に及んだ黒人女性も日頃中国製品に囲まれていたのだろう。そして「チャイナから来たガイジン」が自分よりはるかに「fit」した体型で高値な晩飯を食べていたとしたら。

 殺人未遂は殺人未遂だが、苛立ちを持つなと言っても無理な話になる。動画には音声は無いが、台湾人女性達が話す閩南語または北京語を耳にした精神不安定な女性が「Take off your f***ing mask!」とブチキレた。そんなところだろう。

画像4

 ハンマーの重さは290グラム。ヘッドが黒いゴムでコーティングしてあるから切れないとは思うが自分の頭をコツコツと叩いてみると「あ、これは割れちゃうな」と実感。

 振り回して動いてみる。軽い。日本だと十徳ナイフでも職質されて見つかると銃刀法違反に問われるがこれなら言い逃れが出来る。作りがシンプルなぶん特殊警棒より丈夫。だからといって半グレや暴走族に愛用されても困るが......欧米ではハンマーや斧が武器として使われてきた伝統があるので普通にギャングも携帯しているのかもしれない。

 ところで「欧米」といっても広く、漠然とした概念だということを賢明な読者諸氏は理解しているかと。だが普通の日本人には「欧米人」といえばこんな人達が思い浮かんでしまうし「これが欧米人」と言われたら納得してしまう。

画像5

 実際には日本人みたいな、というかあなたみたいな顔をした欧米人も多い。もちろん黒人もいるが「色の濃い黒人」と「色の薄い黒人」との間の格差はここには書ききれない。「スパイク・リーのSchool Dazeという映画に詳しい」と書いておく。

 また「黒人は攻撃的」というネットの一般論について。彼等の名誉もあるので書いておく。メディアは「怒って暴れている黒人の画像」ばかり取り上げるが、普通に接しているとむしろ大人しい人が多い。

 力が強いかというと、体が大きいから握力も80kgくらいあるだろうと思いつつ握手合戦をしてみたら40kgくらいの私と大して変わらなかったこともあったので人それぞれ。ちょっと恐いことを書くと、目や喉が打たれ強いという人には会ったことがない。

 北米でのヘイトクライムの犯人が「また黒人か」と言われればその通り。ただ彼等も「チャイニーズはNinja(忍者とも違う)だからすぐ人を殺す」と警戒している。「日本人はチャイニーズじゃないよ」と言っても通用しない。何故なら英語のchineseは日本人が言うところの「欧米人」に近い漠然とした概念だから。ハンマーを持ち歩いてもいいが無理解ゆえの不安に駈られてNinja fightをやらかし加害者になることは避けたい。

記事作成の為、資料収集や取材を行っています。ご理解頂けると幸いです。