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思考の蓋然性を取り込み、拡張していくツール(Roam Researchの魅力)

Roam Research(以下、Roam)とはアメリカの思考拡張ツールで、いわゆるリゾーム型ノートアプリとしては、先駆者としてのポジションを築いています。

※「リゾーム」に関しては後述します。

2017年にConor White Sullivan氏というアメリカ人が同ツール名を冠した会社を創設(ちなみに彼のTwitterがとても面白いです)。

このRoam Researchがどのようなノートアプリで日本でもお馴染みのNotionやEvernoteとどう違うのかに関しては、ネットで叩けばたくさん記事が出てくるので、そちらに譲ります。

このエントリーでは、より実存レベルでRoam Researchがどのような体験を及ぼすのかという観点で、このツールの魅力を書いていきたいと思います。

紙ノートに限りなく近いノート体験(縦横無尽な思考展開)

Roamは極めて高度なアウトライナー形式のノートアプリ。

ひと言で表現すると以上のようになります。その最大の特徴はタグ機能をあらゆる所に埋めることが可能だということです。

どのような小さなアイデアやワードでもタグ化させることが可能で、それを他のアイデアやプロジェクトに紐付けることが可能、もちろん逆方向も可能になります。

この縦横無尽なタグ付けによる思考展開が可能になると、コンセプト作りにおいてあなたの脳内世界の具現化がよりリアルになります。

タグつけによって様々なアイデアをつなげていく

情報のヒエラルキーがない

さらにRoamの特筆すべき点は、その独自な情報の扱い方です。

Roamでは情報やアイデアの関係性に優越がなく、すべてがフラットで同列に扱われます。

アイデアや引用など様々な情報をタグ感で結びつけられる

これはNotionといったツリー型ノートアプリには実現できないことです。

ツリー型の思考拡張法では親枝があって、そこから小枝にアイデアを派生させていくことになります。

対するRoamでは、この親枝⇔小枝というヒエラルキー的関係性はなく、あってもその関係性はつねに逆転可能であるということです。

ちなみに情報を同列に扱い、化学反応しあわせる情報処理はリゾームと呼ばれています。

リゾームとは根を意味する哲学概念で、大樹を育てるために養分を吸い取り、拡張していく世界を記述した言葉です。

リゾーム上に大きなアイデアに対して、あなたの小さなアイデアを混在させて、どんどん化学反応を起こさせ、あなた色に変容させていく。

大ざっぱにいえば、Roamの魅力はこのようになります。

NoteやEvernoteのようなツリー型ノートアプリは、上記のような細かい情報の紐付けができません。ツリー型の場合できることはせいぜい記事全体に対するタグ付けが限界で、Roamのように細部に降りることができません。

セレンディピティ思考が可能になる

あらゆる情報アイデアの双方向タグつけが可能になることで、あなたの脳内世界の具現性がより高まる。

これの具体的な意味はなんでしょうか?

私たちの脳は蓋然性を多く含んでいます。つまりは直感、思いつき、また半径5メートルのあなたの身の回りにおきる出来事から来る刺激に対する反応。

意識の潮が満ち、臨場感が高まれば、些細な出来事からでもなんらかのメッセージをくみ取るのが脳の神秘と言えます。つまり冴えている状態ということです。

私たちは自分の考えを形成するとき、何も大きなアイデアのみを拠り所にしている訳ではない。

オリジナリティ溢れる考えというのは、むしろあなたの身の回りの世界から来る刺激に対する反応が重要になるものです。

問題意識をしっかりと持ち、コミットし続ければ、あなたの意識の臨場感が上れば、例えば窓の外を見ていて枯れ葉が枝から落ちる風景を見るだけで何らかのメッセージを受け取ることができる。

そういうメッセージは、得てして思いがけないものに出会ったときの喜びと驚きがあるもので、だからこそ思考のレイヤーが上がっていく。

こういった心理現象はセレンディピティと呼ばれいます(一時シリコンバレーの起業家でもよく使われている言葉でした)。

そして、セレンディピティを取り込んで行く思考展開法こそが、唯一無二のアイデアを作っていく上で重要であり、Roamはそういったことが可能になるのです。

形而上と形而下の2つの頭を同時に使い分ける

と、ここまで少々エモい話になってしまいましたが、Roamはデスクトップ上で脳のあるがままの思考を最も再現できるノートアプリということです。

もちろん紙の上で思考することがやはり最強ではあるのですが、紙の上での思考における物理的な制約をとっぱらったという意味ではRoamにも一長の利があります。

さらにRoamの最大の魅力であるタグつけ機能があることで、言葉を連ねるだけでなく、タグという骨子で1つの建築物を構築していく醍醐味も体験できます。

つまりタグという形而上の世界を構築しながら、形而下の世界で意味を流しこんでいく。この2つの脳を同時に駆使すると脳がメタ状態に入っていきます。

そして、このメタ状態をデスクトップという小さな空間で味わえることこそが、Roamの最大の快感なのかもしれません。

当ブログでは、この思考拡張ツールの魅力についてもこれからも迫っていきたいと思います。

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