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「風立ちぬ」

優しさなんてひとかけらもない午前二時の濃い紫の夜は風立ち、
ささくれたる私ごときは醒めてしまった青い目の前、

琥珀に浮かばせたる氷、グラスに垂れた雫を舐める、
それから割いた果実に歯を立て吸い尽くす、
窓ガラスに浮かび上がるは痩せこけた吸血鬼、それが自らたるを知るに数秒、

嗚呼、暗闇にしか生きられぬ、そんな顔になった気がした、
昼間になれば昼間の面を下げられるのか、好都合に相槌なんぞもうてるのか、
吐き気がするが現実なんぞはそんなものだと思いも老ける、

紛い共が正論ぶら下げ訳知り顔で路をゆく、
見上げる空が青かろうが高くあろうが、それがお前にとってどうなんだと問いてみようか、
私なんぞ痴れた魂担いで歩む、
やがては散ると知るか知らぬか、どこ吹く風に晒されて、
天上天下、青ざめたる虚空に揺れる、

相変わらずの軽い心も持て余して影の続きに引き摺った、
見上げた空が泣いてようがなかろうが、そんなの俺にゃ関係ないって知っているから野良猫でも見ててやろうと、
やがては散ると知っているから、どこ吹く風で古めかしい歌を舐める、
天上天下、青ざめそうな空でぽつんと、



photograph and words by billy.

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