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「不良の森」

森が燃えてた、森が消えてく、
そこには良いも悪いもない、ひたすら時間を経て消える、
灰になるのを俺は見てる、灰になるから見惚れてる、
嫌いじゃないよ、終わりを見届けられるって、

狂ってないよ、「心身共に健やかに」って、
ヘブライ語で書かれたノートの切れ端を、
毎日、朝夕、眠る前には音読してるよ、
だからさ、お天道様の下、
俺は今日も笑っていようと思うんだ、

雨で散らされたる花を、拾い集めようとして俺は、
なぜだか踵で捻り潰した、そいつの淡い赤が滲んだ舗装は、
シャチが片足食い千切って波の上に赤が混じる、ドキュメンタリに見た風景を思い出す、

森は燃えてた、いまこのとき焼けて墜ちる、
猿やリスやら爬虫類さえ骨まで焼かれて消えてゆくのを「終わりが来るのは早くても」って俺は思う、
なぜなら嫌いじゃないからさ、最期を見届けられるって、

狂ってないと思うんだけど、そんなのあんたがどう思おうが俺は知らない、
呼吸不足で倒れた奏者が二度と鳴らせず隣に死んでゆくのを知っているから俺はただ、
抗うことなく眠ればいいって思うんだ、
あんたもだろう、終わりを見届け続けているなら同じように思うはずなんだ、

焼けてく森は不良が溜まっていたからね、
倒れる樹々には麻薬の吸殻だらけだからさ、
堕ちゆく森は誰かが今日も死を寄与してる、
倒れる生き物、いつかは俺らも同じ路をたどるんだ、
良いも悪いもなく、好きも嫌いもなく、

photograph and words by billy.

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