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【シカゴでバードウォッチング!】 赤い雀???

庭のバードフィーダーの常連さんである雀たちに混じって、前掲記事のDark-eyed Junco (ユキヒメドリ)だけでなく、赤っぽい雀のような鳥がよく来ます。留鳥なので季節を問わず見かける鳥ですが、冬枯れの茶色い世界の中で、木の枝にほんのり赤い小さな鳥が止まっているのは心温まる景色です。

House Finch (メキシコマシコ、日本にはいません) という鳥です。

日本にいるベニマシコ(Siberian Long-tailed Rosefinch)によく似ています。ベニマシコを漢字で紅猿子と書くのは、顔が猿のように赤いからだとか。ひどい命名の仕方ですね。

House Finchの日本語名はメキシコマシコで、マシコの部分が同じですし、雄の頭と顔が赤いからベニマシコと同じ種だと思ってしまいますが、実は違う種なんです。分類学的には、ベニマシコはスズメ目アトリ科ベニマシコ属の唯一の種で、House Finchはスズメ目アトリ科マシコ属で、オオマシコアカマシコの近縁だそうです。

House Finchのオス      ©Dan Lory

英語のインターネット上では、雀とHouse Finchは似ているけど、どうやって見分けるのかとか、同種の鳥かという記事がたくさん出ているくらい雀に見えますが、雀とも違う種です。

Dark-eyed Junco (ユキヒメドリ)は雀には見えないけどスズメの一種で、House Finchは雀によく似ているけどスズメとは全く関係ないということで、鳥の分類はややこしいですね。

House Finchの雌は雄よりずっと地味で、赤い部分がなく、全体的に茶系ですから確かに雀と見間違いやすいです。

House Finchのメス      ©Dan Lory
ほんのりとした赤い色が綺麗なオス(左)と、雀のようなメス(右)      ©Dan Lory

House Finchは、元々アメリカの西海岸やメキシコに生息していた鳥でした。1940年代にニューヨークのペットショップで "Hollywood Finch" (この命名の仕方がいかにもNYらしい)として鳥籠に入れて売ろうとしたらしいのですが、違法だということで警察の取り締まりが始まり、ペットショップのオーナーたちがHouse Finchを鳥籠から放したため次第に野生化して増えていったということです。ハワイでは、1870年以前にサンフランシスコからオアフ島に紹介され、1900年ごろまでにはハワイの島々でも一気に増えました。ですから、今では全米の至る所に一年中生息しています。どの家にもいるからということで、House Finchと呼ばれているそうです。これはまたずいぶん短絡的な命名の仕方ですね。

食べた物の色によりHouse Finchの雄の羽色が赤になったり、黄色やオレンジになったりするそうで、雌はなるべく赤い雄を選ぶそうです。雌は、自分の雛たちに栄養豊かな赤い実を運んできてくれる雄がいいと思っているからだとか。本当かな?

種を食べる鳥たちの中には、春から夏にかけてたくさんいる虫も食べる鳥がいるそうですが、House Finchは厳密な菜食主義者で、蕾、種、実しか食べないらしいです。そして、普通菜食主義者の鳥は穏やかな性格なのにHouse Finchはかなり攻撃的で、特に在来種でない旧世界のHouse Sparrow (イエスズメ) がバードフィーダーにいると追い払うと書いてありますが、我が家の庭のフィーダーでは雀たちと円満な関係を作っているように見えます。ほぼ毎日会っているから仲間意識が芽生えているのでしょうか。

もう一つ、面白いことを学びました。全米に生息しているHouse Finchの鳴き声は、地方によってアクセント、方言が違うという研究があるそうです。カリフォルニア辺りにいる雄の鳴き声は二秒ほどの長さで、4~26の音節があるのに対して、ウィスコンシンやコロラドでは鳴き声はもっと長く、音節ももっと多いとのことです。ニューヨーク州では、わずか1平方マイル (約1.6平方キロメートル) 内で顕著に異なるなど、様々な方言が溢れているそうです。All About Birdsのこのサイトに、カリフォルニアとニューヨークとアリゾナで録音した鳴き声がたくさんありますので、もし興味があったら聞き比べてみてください。音感が優れていらっしゃる方は違いがお分かりになるかもしれません。私はもう耳が遠くなってしまって無理です。(笑)

鳥の鳴き声に方言があるのは、他の鳥にもあるそうですが、私は今までそんなことを考えてみたこともありませんでした。このように鳥を通して自然の奥深さに触れることができるのは、私にとっての毎日の大切な喜びの一つです。

今、これを書いている窓際から見える庭には、フィーダーの餌を食べにくる鳥が飛び交いとっても忙しいです。それを見ていると、浮世の憂さが晴れていきます。
House Sparrow (イエスズメ)とEurasian Tree Sparrow (スズメ)があわせて20羽ぐらい、Dark-eyed Junco (雪姫鳥)とHouse Finch (メキシコマシコ)がそれぞれ3、4羽ぐらい。そして、リスが3匹。その他もう一種類いますが、それは次の投稿にしようと思います。



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