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読書感想文:ほしとんで

ほしとんで(本田 著)最終巻が発売された。
ずっとコミックスで追いかけていて、ついに完結しちゃったわー!と思いながら日付が変わるとともに読み、寝落ちし、朝起きてすぐ読了。

ざっくりストーリーを説明すると、大学生が俳句を学ぶ話。タイトルの「ほしとんで」も秋の季語「星飛ぶ(流れ星)」から。
たまたま取りたい授業が取れなかった、などのきっかけで、俳句の授業を取ることになった学生たちが、季語やら何やらよくわからない俳句むずかしーーー!と懊悩する物語。

約2年、コミックスにして5巻、漫画だからわかりやすかったりするのかなと思いきや、主人公たちと一緒に「俳句って難しいなぁ」と思う日々。もう彼らと俳句ゼミの時間を共有することはないのだなと少し寂しくなる最終回だった。

そういえば、学生時代 年上の友人が毎月俳句だか川柳だかの雑誌に投稿していて、掲載されるとドヤ顔で見せられたが、その時も多くを語らないエモさ、想像の余地に任せる潔さが良いと思っていた。

ディレクターなんて職業をしてると、つい、正確に伝えようとしてメールやら仕様書やらで長文書きがちで、大胆な省略力に憧れる。

伝えたいことを残し、共通認識や相手の想像力に委ねる潔さって、コピーライティング的な部分にも通じているように思う。

ずいぶん昔のポケベルのCMであった「さて、誰にベル番教えようかな」というセリフには、新しいガジェットへのワクワク感、手に入れたことの高揚感、そしてポケベルを持つことのそのもののストーリーがあった。
キューピーの「愛は食卓にある」、キューピーが取り扱う製品がある食卓、その食卓での暖かいイメージ、「愛」と「食事」の言葉の組み合わせから美味しい・優しいなどのポジティブな印象を想起させる。

あえて多くを語らない、でもきっかけになるワードを入れると、受け取り手の記憶や空想を経由して、言葉が脳髄にダイレクトアタックできるような気がする。
必ずしも製作者の意図したものと同じにはならなくとも、受け取り手がフィルターになることで、咀嚼しやすくなるというか。

今もこうして長々と書き綴っているから、大胆に誰かの想像に委ねるなんてまだまだだが、意識して書いていきたいなと思った。

マルタ

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