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何も求めない

俺は人に頼み事をするのが苦手だ。


なぜ苦手なのかと考えてみると、やはり断られた際にショックがあるからだ。

だからか、LINEでもメールでも終わり方は自分の返事が最後の方が心苦しくない。

自分が放ったらかしになるのは決して嬉しくはないが、相手を放ったらかしにするよりはマシだと思う。相手に何かを求めるのは苦手だが、自分が必要とされるだけで嬉しい。


でも、自分からは何も求めない。


すると、どうなるか?


自然と孤独になる。


だが、自分だけが人に求めるのを苦手だと思ってはいけない。同じように自分から人に何かを求めるのが苦手な人も多いと思う。

だから、孤独が嫌なら自分のショックは後回しにして、自分から積極的に人との繋がりを求めるべきなんだと思う。

しかし、現在の俺の問題点は孤独が苦しくないということだ。人と積極性に繋がろうする原動力がない。

人間だからサビシーダロエンジンは搭載されてるとは思うが、肝心のそのエンジンを動かす燃料が見当たらない。長年強烈なモラハラを受けたせいなのかも知れない。人に寂しさを埋めてほしいという願望が無くなってしまったようだ。

自分でも、どうやったら人間らしく戻れるのかが分からない。

でも、お金を少しでも稼ごう、人生の生きてきた足跡を残そうと始めたブログだが、現在お金にはまったく繋がってないが、見てくれる人が1人でもいると毎日文章が書ける力にはなる。

決して「アタイを見て!もっと注目して!」などと、承認欲求が爆発してるわけではいが、もう文章を書く動機にお金は関係なくなってる。


まだ寂しいと思う心があった時、ある場所で女性から積極性に話しかけられた。俺は内心は飛び跳ねるほど嬉しかったが、ここでヨダレをタラタラ流して対応してはダメだ。ここは余裕のある男を演じて、慣れた感じて対応しようと思った。


「あん?何か用事?」


まるで梨泰院クラスのパク・ソジュンのようにぶっきらぼうに俺は呟いた。


「名前はなんていうんですか?お友達になりたいです!」


俺の心の中は博多どんたくの如く踊りまくりの、しゃもじを鳴らしまくりのどんちゃん騒ぎだったが、極めて冷静に、


「ビタミン……ビタミン・ジョージ、人に笑顔と有機化合物を摂取させるために生まれて来た男だ!」


まるでワンピースのルフィのように、そう呟いた。


女性は「良かったら連絡先を交換しませんか?もっと仲良くなりたいです!」


俺の心の中は博多どんたくからリオのカーニバルにグレードアップして熱狂の渦と化していた、が、ここも慌ててはならない。大人の男に焦りは禁物だ。


「別にいいけど、あまり返事は返せないよ。俺は旅人。突然、携帯を投げ出して着の身着のまま旅をしたくなる時があるんだよ、時間っていう概念は所詮は人間が作り出したルールでしかない。そんなものに縛られたくないんだ」


旅は分るが、携帯を投げ出す必要はないだろとは思うが、これが余裕だ。俺は余裕がある男を演じるために携帯投げ出して慌てて旅に出るような矛盾した男を演出した。

そして、見事に連絡先を交換してやり取りをしていたが、俺が余裕のある男なんて演じられるわけもなく、相手から連絡来れば10分以内には返信して、寝る時はすぐに気付くように耳元に携帯を置いて寝る日々を過ごした。


2週間、毎日楽しくやり取りをした。


しかし、ある時からビタッと連絡が来なくなった。


俺は連絡を待った。


ずーーーーーっと待った。


どうしたのか本当に気になり、日中の頭の中は連絡が来ないことでいっぱいとなった。

そして、ついに待ちきれなくなって、ドキドキしながらこちらから連絡してみた。


しかし、相手からの返信は一切なかった。


向こうから連絡先を教えてくれと言ったのにさ…


そんな不満は、小指の先以外ほどしか思わなかったが、それでもいい。


2週間楽しかったのは間違いないから。


これ以上何を求めるんだ?


もう十分幸せは貰った。


でも、こんな思いをするなら、最初から幸せなどいらなかったのに…そんな女々しい思いも抱いた。

だから、もう、俺は人には何も求めない。

俺に出来ることはしてあげたいが、人には求めない。

でも、人に求めてほしい人も必ずいる。そんな人が目の前にいるのを気づいたとしたら?


俺は自分がショックを受けないように自分を守るだけなのか?


そんな人生のまま終わってもいいのか?


そんな自問自答を繰り返す夜。


寂しさを感じない心とは決して自慢できることではなくて、誰よりも臆病で傷付きたくない心を持ってるということだ。


人間らしくなりたいなら、自分から傷付くことを選ぶしかない。


愛する人に囲まれてる人は誰よりも傷付いて周りの人を守って来た人なのだと思う。


臆病で弱い俺は、今日も1人、それを実感する孤独な夜を過ごしている…

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