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おでんを炊く

 仕事の打ち合わせの予定が急遽キャンセルになったので、金曜日を休みにした。木曜日の夜に、「明日休むことにした。」と妻にお知らせしたところ、「じゃあ、明日、娘の受験の面談で塾に行かないといけないから、晩ごはん作っといて。おでんの下準備はしとくけど、こんにゃくとじゃがいもと、餅巾着ようの油揚げが足りないからスーパーで買ってきたて、それと、灯油も買ってきて、そうそう、クリーニングも出しっぱなしになってるから取ってきて。」と止めどなく用事を言いつけられる。せっかくのんびりしようと思ったのに、結構忙しくなりそうやなと、半分ムッとしながらも、「わかったよと。」答えておく。

 金曜日は朝から、石油ストーブの上に土鍋を載せて、大根と牛すじの下茹でから始める。まずは、麦茶を煮出すための袋にかつを節を詰め込んで、水を張った土鍋に投入する。昆布と干し椎茸も適当に土鍋に投入。牛筋は夜のうちに妻がゆでこぼししておいてくれたので、そのまま土鍋に投入。大根は厚めに皮をむいて5cmくらいの厚さの輪切りにする。むいた皮は、マッチ棒くらいの太さに切って、きんぴらにした。ごま油で炒めてから、醤油、砂糖、みりんを煮る。最後に一味唐辛子といりゴマをパラパラとふってできあがり。

 ストーブの上で、1時間半ほどコトコト煮込んで大根と牛すじが柔らかくなったところで火からおろす。牛すじは小鍋に取り分けておく。いつもは、大きい鍋でそのまま煮込むのだが、金沢のおでん屋さんは牛すじは他の具材とは別に煮て、お客に出すときも別の皿に入れネギをたっぷりかけて出すところがおおいので真似してみた。このほうが、牛すじが鍋の中でとっちらかることもなく、ちゃんと味わえる。ごぼ天などさつま揚げ系の具材を油抜きのためゆでこぼしておく。

 午後に、近所のスーパーでいなり寿司用の油揚げと、糸こんにゃく、じゃがいも、車麩を買ってきて、4時ごろからおでんの仕上げに取り掛かる。油揚げを一度ゆでて、しっかり水気をしぼり端を切って袋状にする。そこに切り餅を1/2をいれて爪楊枝で封をする。糸コンは食べやすいように、ひと分をくるくると結わえる。じゃがいもは皮を向いてまるごと茹でる。車麩はぬるま湯に20分ほど浸して、柔らかくもどしてから、ギュッと水気をしぼっておく。ゆで卵は昨晩のうちに妻がつくって殻をむいて冷蔵庫に入れておいてくれた。

 具材を種類ごとに集まるようにして土鍋に入れる。だし汁が足りなかったので、水を追加してだしパックを投入。塩と醤油で味付けする。あとは夕食までの2時間くらいストーブでゆるゆると温めておく。

 その間に、おでんの付け合せように大根の漬物をつくる。いちょう切りにした大根を30分ほど塩しておいてから、水気をしぼり甘酢につける。一緒に昆布の細切りと鷹の爪もいれる。あつあつのおでんの口休めにと冷たく冷蔵庫で冷やしておく。

 鍋にだしパックと具材を放り込んで、適当に煮込んでもおでんになるのだが、せっかくだからと少しでもおいしくしてみようと、いろいろ考えて手をかけはじめたら、案外時間がかかってしまった。(これも楽しみのうちだけど。)

 妻と娘は、牛すじと餅巾着、じゃがいもを気に入ってくれた。牛すじはいつも鍋のなかからカケラをすくい上げて食べていたが、別皿でしっかり味わえてよかった。じゃやがいもも、いつもは鍋の中でグズグズに崩れてしまうので、今回は気を使って食べる40分前に投入しちょうどよい塩梅の煮え具合に仕上がった。

 でも、一番美味しかったのは、シメのおでんだしの汁かけご飯だったりする。

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