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身につけよう、フェイスリフトの正しい知識

東京都内で美容外科医をしてます、酒井形成外科の酒井倫明(さかいみちあき)です。
本日は美容外科でも非常に難易度の高いフェイスリフトについてお話をしたいと思います。

「フェイスリフト手術を受けたけど、ぜんぜん効果がなかった。」
こういったことで私のところに相談にいらっしゃる患者様は少なくありません。

さらに、「傷跡がすごく目立って困る!」というケースもあります。
最近では、フェイスリフトを行うクリニックがとても多くなった気がしますが、大抵が糸を使ったスレッドリフトだったり、入院をさせない、2時間くらいで手術が終わる簡易フェイスリフトだったりするようです。
フェイスリフトといっても実に簡単な手術もあれば、かなり複雑な手術技術を要する本格的フェイスリフトもあります。形成外科専門医の中には、6時間以上かける精密な手術を行う医師もいるのです。

効果もあり、傷跡も目立たない、そんなフェイスリフト手術とはどんなものなのでしょう。実際の症例を交えてお話ししたいと思います。

[症例]

実際の症例

他のクリニックでフェイスリフトを受けられた方の写真です。術後ちょうど1年になります。この患者さまいわく、
「効果がほとんどなかった。ほうれい線も、口もとの弛みも、昔のままです。しかも、耳の前の傷跡がすごく目立つんです。耳たぶも、下に引っ張られて、丸みがなくなってしまったんです。すごく変です!」

と大層悩まれているようでした。

確かに、写真でわかるように傷跡はしっかり目立っていますね。もう手術を受けて1年経過していますので、本来であれば、傷跡はかなり目立たなくなっているはずです。
実際のたるみチェックをしてみても、ほうれい線もまだしっかり出ていました。ジョウル(マリオネットライン)も長いです。頬の中心が少しえぐれた感じで丸みが出ていません。この患者さまが言うように私もフェイスリフトの手術評価として、エイジングの改善の評価は少ないと感じます。

受けられた手術の流れを確認していくと、どうやら、この方が受けたフェイスリフトは皮膚だけを引っ張り上げた、簡易的フェイスリフトだったということがわかりました。
本来のフェイスリフト手術では、皮膚と皮下のSMAS(表情筋を含む筋肉と筋膜の層)は別の方向に引き上げていきます。SMASは深部のリガメントで固定されているため、これを外すかリガメントの付着部でSMASを釣り上げなくてはなりません。その上で皮膚を伸展させ、余剰皮膚を切除するわけです。
耳たぶのところでは、引き込まれやすくなりますので、耳介後部とこめかみの部位でしっか皮膚の固定をします。こうすると耳が前に引っ張られて伸びてしまうことはなくなります。
また、傷跡が目立つのは、縫合技術が足りなかったのかもしれません。私たち形成外科専門医は、傷跡を目立たなくする特殊な縫合法を用います。これには多少の訓練が必要なのです。

前置きが長くなりましたが、この症例、修正することはもちろん可能です

まず、傷跡は切除してしまいます。そして、皮下の脂肪層でほうれい線近くまで剥離を進めます。これはちょうどAMASの表面ということになります。
頬のもっとも高いところからエラの先に向かって 深部リガメントが並んでいますので、そこを超え、皮膚を剥離します。この深部リガメントの並びを挟む様にSMASを縫縮、または切除縫縮していきます。すると、ほうれい線やマリオネットラインはSMASにより引き上げられていきます。同様にエラ部の下のSMASも縫縮(切除縫縮)を行います。つづいてこめかみの部位(側頭部)のSMASも縫縮しながら釣り上げていきます。これで、SMASは皮下でピンと張りつめた事になりますね。
この後、皮膚を上方向に釣り上げ固定していきます。けっして外側に顔を引っ張る様にはしません。外側に引っ張るといわゆる「フェイスリフト顔」という怖い表情になってしまうのです。
酒井形成外科で行なっている手術は、安全性を第一に考え、さらに理論的SMASや顔の皮膚が十分伸展されそれが長期間持続するように考えられています。

そして、実際に当院で再度施術を行った時の写真がこちらです。↓↓

手術後、抜歯前の状態

傷跡も1年後にはほとんど目立たなくなっています。

術後1年の傷跡の様子


術後半年の検診時点で、患者さまは非常にといきいきされた感じになっておりました。
ヘヤースタイルも、ファッションも、お化粧法も・・・見違えるほどです。


フェイスリフトは美容外科医が行う施術の中でもトップクラスに難易度の高い施術です。それゆえに術式や術者も玉石金剛になります。
せっかくお金をかけて行う自分へのご褒美ですから、しっかりと事前に下調べをして、施術者(医師)と信頼関係を結んでからのぞんでくださいね。

「身も心も美しい人生で」

引き続きよろしくお願いいたします。

酒井倫明(さかいみちあき)

https://www.sakai-keisei.gr.jp/


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