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もっと熱く、ガムシャラになってもいいんだ。日本一高齢化が進む県に「福祉留学」へ来てくれた学生との話

日本一高齢化が進む秋田県。内閣府の「令和元年版高齢社会白書」によると、世界的にも水準が高いといわれる日本の高齢化率28.1%に対して、その数字は36.3%となりました。

2045年には50%を超えるともいわれるこの県で介護施設を経営する弊社では、未来の介護のカタチを模索するため、新しい取り組みを始めています。

Web上での情報発信をはじめ、技能実習生の受け入れ、介護施設とすきまワーカーのマッチングサービス「Sketter(スケッター)」を活用した関係人口の拡大など。それらの一環で新しく始めたのが、「福祉留学」の受け入れ。福祉留学とは、NPO法人Ubdobe(ウブドベ)さんが運営する、学びと地域課題解決を掛け合わせた新しい留学制度です。

福祉留学を活用して2月17日から1週間、二ツ井で経営するショートステイ「輪」に来てくれたのは、山梨県立大学で学ぶ神山幸奈さんです。今回、福祉留学を終えた感想や将来について、ざっくばらんに語りあいました。

もっと熱くガムシャラになっていいんだと思えた――そう語る神山さんのまっすぐな目と仕事への姿勢には、弊社のスタッフも多くの学びをいただきました。ぜひご覧ください!

ずっと「現場にこだわりたい」という気持ちがあった

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(1週間を終えての「お疲れ様会」。前列の左から2番目が神山さんです!)

――1週間お疲れ様でした! 今回参加したのはどのようなきっかけだったんだっけ?

福祉留学を知ったのは、ゼミの研究室にチラシが貼っていたのを見たことが、最初のきっかけとなりました。ゼミの先生とUbdobe代表の岡(勇樹)さんが知り合いで。授業に講師として来てくれたとき直接話も聞いてみて「面白そうだな」と思い、参加してみたのが始まりでしたね。

――大学でも福祉について学んでいるんだよね。

はい。山梨県立大学の人間福祉学部 福祉コミュニティ学科に在籍していて、社会福祉士や介護福祉士の資格をとることを目指しています。資格の取得もそうですが、ずっと「現場に携わりたい」という想いがあり、卒業後はケアワーカーとして働きたいなと思っています。

――なぜ「現場に携わりたい」と思ったの?

弟が重症心身障害を持っていて、ヘルパーさんを利用していたことがきっかけですね。自分とそこまで年齢の変わらない方だったのですが、「介護は魅力のある仕事だよ」とか「自立してもらうという視点が必要」など、熱い話を聞かせてもらったんです。

当時私は中学3年生くらいだったと思うのですが、すごくステキだなと思って。自分も介護について勉強したら、弟のためにもなるし、両親が介護を必要としたときに役立つなと思い、「現場で働きたい」という気持ちが芽生えました。今でもその思いは変わらないです。

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(秋田に来る前に行ったオンラインMTGの様子)

――そんな経緯で現在にいたると。福祉留学への参加が決まってから、事前にオンラインで顔合わせもしましたよね。当時は聞けなかったけれど、秋田はどういう印象でした?

出身は栃木県で秋田県には行ったことがなかったので、正直あまり印象がなかったのが正直なところです(笑)。認識していたのは、お米の「あきたこまち」と「寒そうだな」くらいかも……。

――留学する施設の場所が秋田になったのも偶然なんだよね。

そうなんです。場所の希望は特に出していなかったのですが、自分で学費や生活費をまかなっているのもあり、「仕事を頑張るので、できればアルバイトとして参加したいこと」「交通費と宿泊費をできるだけ抑えたいこと」をUbdobeさんに伝えていました。

そこで、つないでいただいたのが阿波野さんです。「秋田か、遠いな」とは思いましたが(笑)、アルバイトとして1週間参加させていただいたこと、技能実習生やスタッフの方が住むシェアハウスでの滞在と交通費をサポートしてくれたのがすごく助かりました。

機会があったら、またスタッフの皆さんに会いたい

――そう言ってもらえて私も嬉しいです。この1週間で、神山さんから私たちも多くのことを学びました! 具体的にどのような業務をしたか、あらためて教えてもらえますか?

朝8時30分からの掃除に始まり、食事や水分補給の介助を学んだだけでなく、各行事のお手伝いなどもしました。たとえば、利用者様が中心となってカレーをつくる会があったのでそのサポートをしたり、大きなボールを使って野球をしたり。おむつを販売する業者の方がいらっしゃって、サイズの測り方やつけ方を学ぶ会議に参加したのも貴重な機会でした。

また、他の施設に見学して話を聞いたり、1日休みをいただいて秋田の観光もしたりしました。なまはげ館や寒風山、秋田の温泉を堪能できたのも良い思い出になりましたね。

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(神山さんと技能実習生のみんなは同じシェアハウスで過ごしました!)

――どれが一番印象に残っているとかはある?

どれが1番かは選べないのですが、インドネシアから来ている技能実習生の女性3名とシェアハウスで過ごしたのはあまりない経験だったので、貴重な時間でした。

家の中がインドネシア語とインドネシアの音楽であふれていたり、食事をするときも旦那さんとテレビ電話で話しながら私のことを「日本人だよ」と紹介してもらったり(笑)。最終日にはインドネシア料理をふるまってもらうなど、とにかく皆さん優しかったです。

昨年の10月に初めていらっしゃったらしく、スタッフの方が日本語を教えるだけでなくインドネシア語を学んで会話をしていたり、LINEで気軽に相談できる体制を作っていたりと、受け入れ側が技能実習生を温かく受け入れる体制を作っていたのも印象的でした。

――弊社はミッションに「心を創る」という言葉を掲げていて、特にスタッフ間での支えあいや多様性を受け入れるチーム作りを通して、成長し続けることを大切にしています。そうしたスタッフの姿勢も、1週間の中で感じてもらえたことはとても嬉しいです。

施設に初めて入ったときも、「雰囲気が温かいなあ」と思ったんですよね。これまで大学の実習で訪問した先には圧迫感を感じたり、忙しそうで話しかけづらいこともあって。

ここでは情報が細かく共有されていたり、ICTを導入して事務作業を効率化されていて、スタッフの皆さんがそこで生まれた時間で利用者様との関わりを大切にされているような感覚がありました。会話をしながら相槌をうったり、トイレでピンポンが鳴ってもすぐに駆けつけたりと、忙しいとなかなかできないことを徹底されていたのがスゴイなと思います。

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(利用者様の誕生日をみんなでお祝いしました!)

――スタッフが喜ぶと思うので後で伝えておくね(笑)。「ケアワーカーとして働きたい」という気持ちには、何か変化はありましたか?

私の中で“大きな変化”があった1週間でした。皆さんとの出会いを通して、「もっと自分の理想や夢に向かって、もっと熱くガムシャラになっていいんだ」と思ったんですよね。

他の実習先では、縛りを感じることもあって。より良くしようという新しい試みは批判の対象になりやすいイメージがありますし、私自身も周囲に理想を語ったときに「なんかスゴイね」と冷めた目で見られたこともありました。ただ、ここの施設の皆さんは親身に聞いてくださり、私よりもよっぽど熱い想いを持って介護に携わる方ばかりだったんです。

「ああ、上には上がいるんだ。頑張っていいんだ」と思えたのは、大きな変化でした。

――私たちの施設で働いてほしいと本気で思うほど、ステキな志を持っているよね……。卒業したら、今のところはどうするつもりなの?

今は高齢者か障害者向け施設で迷っています。あとは弟の介護のこともあるので、就職は栃木県でしようと思っているのですが、もし「輪 in栃木」ができることがあったら、そこにオープニングスタッフとして就職したいくらい(笑)。色んな施設を見ながら決めようと思っていますが、機会があったらまた皆さんに会いに秋田へ行きたいと思っています。

後日談

福祉留学を終えた後、丁寧な言葉がつづられた手紙が神山さんから届きました! 本当にステキな想いと感性を持つ神山さんの将来を、秋田県から応援しています。また私たちの施設に遊びに来てね!


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(福祉留学の方からのメッセージにも嬉しい言葉が。秋田のお父さんは、いつでも相談に乗るよ! スタッフ一同、また会えるのを楽しみにしています)

あきた創生マネジメントでは、今回の福祉留学をはじめ、sketterや仕事旅行社といったサービスを通して介護や地域づくりを気軽に体験できる機会を秋田県で作っています。2回目の福祉留学受け入れも3月に予定していたのですが、コロナウイルスの関係で中止にしました。

 ただsketterでは、3月16~18日に利用者様の傾聴をオンラインMTGツール「zoom」を活用して行う取り組みに挑戦します。ぜひご参加ください!

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