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M&Aの後によく聞かれることについて回答してみる

今年の1月にパーソルプロセス&テクノロジー社に株式譲渡したので、あれから1年が経とうとしています。そのときにnoteを書いたのがもう1年くらい前になるのか。
早いものです。

あれから色々な方にお会いしているわけですが、M&Aに触れる機会ってそんなには多くないからか、本当に色々なことを聞かれるんですよね。
そして、結構同じようなことを聞かれるw

ということで、よく聞かれることの回答をnoteに書いてみようと思います。

ここ最近はスタートアップのIPOも多いですが、M&Aも増えてきた印象なので、M&Aを検討しているスタートアップの経営者の方に少しでも参考になればと思いますし、直接関係はなくてもそういうのがあるんだな、という情報としてもどこかで役に立てればいいなぁと思っています。

会社はどうなったの?

まずはこのあたりから。

今回のM&Aは「株式譲渡」になりますので、Bizer株式会社の株式(持っていたのは私個人や投資家のみなさん)をパーソルP&T社に譲渡したということになります。
ので、Bizer株式会社というのはそのまま今も残っていますね。

コーポレートサイトの会社概要にも株主の情報が記載されていますが、株主はパーソルプロセス&テクノロジー株式会社となっています。

まだ株は持ってるの?

今回は"全"株式を譲渡していますので、私は1株も持っておりません。

これは色々なケースがあるかと思いますし、目的も様々なんじゃないかと思います。
例えばM&A後にすぐに辞めないように一部の株を残しておいて、約束の期間がきたら売却できるようにすることもあるでしょうし、株とは別でアーンアウト条項をつけるなんてこともあるかと思います。

まぁそういう難しい細かい話が知りたい方は、調べるなり専門家の方に聞いてみてください。

オフィスは変わったの?

今も前と変わらず市ヶ谷のオフィスです。
(パーソルP&T社のオフィスにも入れるようにカードは支給されています)

これは当初は良かったんじゃないかと思っていて、やはり会社の文化の違いというのはあるので、いきなりパーソルP&T社のオフィスの一角にBizer社メンバーの島を作ると大変だったのではないかと思います。

あと気にしていたのは、Bizer社が柔軟にリモートワークをしているので、それがどう見られるのかなぁというのもありました。
ただ、結果的にはパーソルP&T社もリモートワーク推奨だし服装も自由度高いので、別にオフィスを統合しても良かったと思います。
(他にネットワーク環境の問題なんかもあるので、実際には検討事項はそれなりにありそうです)

このオフィス環境の話は他社さんのケースで統合が難しかったというのも聞いたことがあるので、働き方のギャップ度合いによるのでしょうね。

ちなみに、Bizer社の市ヶ谷オフィスは駅から遠いので、メンバーからも移転希望の声があがっております。。。
となると、そのタイミングでパーソルP&T社のオフィスに入らせてもらうっていうのも具体的な検討になりそうです。

サービス名は変わるの?

これについても、パーソルP&T社の方からそのままでいきましょうとのことでしたので、今も継続して「Bizer team」「Bizer」の名前を使っています。

これは目的によっては「パーソル XX」などにすることもあるでしょうが、Bizer社のサービスについてはそのまま残して運営しています。

あ、「Bizer team」が先月の2019年11月に2周年でした。珍しくオフィスでみんなで写真を撮影したのでした。

左手前の女性はパーソルP&T社から丁稚奉公で来ていただいている若手エースですが、ものすごい活躍をしていただいております。

パーソルどう?

これも結構聞かれるのですが、どうと言われてもなかなか回答が難しいやつ。
ただ、「Bizer team」の事業を大きく成長させてくれているのは、間違いなくパーソルグループの力が大きいです。

グループ全体で4万人もいるようで、まぁすごい規模ですね。
そして多くのグループ会社が「Bizer team」を使ってくれるし、売ってくれるわけですね。M&A前は営業はほぼ私一人でやっていましたから、営業リソースは何倍になったんだろうw

あとは明らかに導入していただく企業規模が変わりました。すごく分かりやすい変化で、数万名規模の大企業や金融機関でもご利用いただけるようになりました。
これはM&Aのときにこちら側の思惑でもありましたが、やはりスタートアップでなかなかリーチが難しい、いわゆるエンタープライズへの営業は劇的に変わったところで、本当に良かったと思っています。

その分、お客様からサービスに対して求められることも変わってきているので、特にセキュリティ関連や他システムとの連携などの開発を強化することになった1年ですね。
おかげさまでサービスもすごく充実してきていると思います。

他にあるとしたら、ものすごく自由にやらせていただいているところでしょうか。サービスを伸ばすために協力してくれるし、研修も充実してるし、それでいてやりたいようにやらせてくれるし、こうやって書いてると嘘くさい感じがしてきそうですが、とにかく自由にやらせていただいています。
あとはもっとうまくBizer社なり私を使ってもらうこともできそうなところがあるので、そのあたりはこれから取り組んでいきたいところですね。

サラリーマンに戻るの大変じゃない?

これもよく聞かれるのですが、結論全然大変じゃないんですよね。

というのも、先ほど書いたようにすごく自由にやらせていただいているので、なんというか、別にサラリーマンになってどうこうって感覚は全くないのですよね。

まぁあるとしたら、経費精算や各種承認業務なんかの煩雑さはどうしてもありますが、そこはそういう規模の会社なのでやるしかないですね(別にやりたい仕事ではないけど、やるしかないと割り切れる仕事)。

報告が大変じゃない?

これも似たような話ですが、パーソルP&T社への報告は隔週でやっていますが、別に報告というよりも予算に対してどう数字を作っていくかという同じ目線の作戦会議のような感じなので、これも大変じゃないですね。

こういう質問を結構されるということは、世の中の報告業務が大変であまり意味がないと思われているということなのかもしれないな。

他、このあたりも聞かれますが、だいたい同じ感じですかね。

- 大手企業の中に入るの大変?
- 上から色々と言われるの?
- 毎朝9時に出社しないといけないの?

ロックアップあるの?

これもよく聞かれますね。

ロックアップとは何かの詳細については気になる人は調べてもらうとして、簡単には「私がパーソルP&T社を一定の期間は辞めないでね」という契約ですかね。
ちなみに私はこれが2年間になります。
周りでも同じように2年のケースが多いように思いますが、1年だったり3年だったり、またはロックアップなしのケースもあるようなので、契約内容や目的によるのでしょうね。

ただ、これはあまり私は気にしていなくて、Bizer teamをきちんとパーソルP&T社の中に根付かせて、ちゃんとした事業規模に成長させていくと考えるとそれなりの期間は必要だろうと思っています。

また、これはパーソルP&T社側から見ると、ある程度安心材料になるのかとも思います。明確に最低期間は決めることができているので、その期間は一緒にやっていこうぜ!というスタンスで取り組めるでしょうから。

そしてこの流れで聞かれるのが次の質問。

ロックアップ期間が終わったら辞めるの?

これ本当に別に2年経ったら絶対に辞めるぜ!なんて思ってないので今は分からないんですよね。
普通に今勤めている人たちも、2年後にどういうことを考えていて何をしているかなんて、もう分からないですよね。なのでこれは分かりません。

あとこれは、パーソルグループから必要とされている状態かどうか、というのも大事な問題w
私がそこで価値を出せてなかったら、クビにはできないでしょうからちゃんと自ら去ると思います!

また起業するの?

これも続いて質問されますが、同様に全く分からないですね。

まぁ何かしらやりたくなりそうな気もしますが、例えば同じようなB2B SaaSをやろうってゼロから組織を作るかを考えたりするとなかなか重たい。。。

今のメンバーで何かやるとかはあるかもしれないですが、そしたらパーソルP&T社の新規事業でやるのもあるだろうし、共同出資もあるかもしれないし、ということで色々な形がありそうだからまだ全くの未定です。

やる気あるの?

これもたまーにですが言われるので、やる気ないように見えてるのか!w

というのも、やり切った感じがしないのか?というのを聞かれますね。これはM&Aの形によるのかと思いますが、Bizer社のケースはこれからBizer teamを伸ばしていくためのM&Aなので、やり切ったというよりはここからもういっちょやらないと!という感じですね。

暇なの?

これなかなか深い質問かもしれないです。

というのも、今までベンチャー企業の社長としての仕事をやってきたのですが、その中でも大きなウェイトを締めていたのが資金調達だったりしたのですよね。
これはデット、エクイティ 、M&Aも含めてですが、常に会社の銀行口座残高を気にして生きていたわけです。

これがM&A後の今、もう銀行口座に触れることがないんですよ。
(これはパーソルグループで経理業務を取りまとめてくれており、支払い業務もグループでまとめて行っているのでそもそもBizer社の銀行口座のお金が減らないから見ても仕方ない)

ということで、今は一人の営業マンですね。
(Bizer teamは田中という敏腕PMが仕切っているので、私はプロダクトに関する一切の意思決定はしていない)

しかしこの営業も、パーソルP&T社から若手エースが投入されたり、パーソルグループの人が売ってくれたりしていて、営業マンとしての仕事もそこまでないかもなぁとか思ったり。

なので、なかなか深い問いなのですw

自分が生んだ会社やサービスを売るのはさみしくないの?

ということで、これもより大きくしていくためのアクションなのでさみしくないです。

が、これは人によるのかもしれないです。起業した会社を我が子のように捉えている経営者の方に会うこともあるので、そういう感覚だとまた違うんだろうなぁとは思います。

社員はどう思ってるの?

これはメンバーに聞くしかないのですが、今のところM&A後も全員が引き続き一緒に仕事してくれているし、むしろ新しいメンバーも増えています。
(このnoteを公開したときに辞めてる人がいるかもしれないが)

正直、メンバーにとっては今回のM&Aに関しては、株主が変わろうがあまり影響ないのではないかと思っています。
むしろ、今までのいつ潰れるか分からないベンチャーから、少なくとも大きな資本の母体になったことによる安心感はあるんじゃないかと。

これが例えばプロダクトの方向性がすごく変わったり、意思決定が複雑になるなど何かしらの変化があればまた違うでしょうが、そういうのもおそらく感じてないと思うし、むしろ顧客の規模も変わって求められるレベルも高くなってきているのでポジティブな変化なのかもしれないですね。
(本人たちに一切聞いてないので本当のところは不明です)


ざっとこんな問いでしょうか。他にも思い出したら追記していこうと思います。


最後に、

おめでとうでいいの?

というのも聞かれますが、これは確かに株式譲渡っていうのがなんかネガティブに捉えられることもありそうだし、スタートアップ界隈の人からすると譲渡金額によってはおめでたくないっていうのも考えるポイントになるのでしょうね。

まぁここはさすがに細かい数字の話はできないので、とにかくハッピーに楽しくやっているので「おめでとう」でいいですよ!w

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