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上場企業の在庫日数から自社の最適在庫日数を考える

株式会社Bizgemでは「すべてのクリエイターに良質な経営を提供する」をビジョンに各種コンサルティングサービス、ECサイト開発サービスを提供しております。今回はその中で話題にあがる自社の最適な在庫日数の考える際に上場企業の在庫日数調べましょうと話をしているため、ここでも共有させていただきます。

在庫リスクは怖いものの、適切なモニタリングができているか、どういうオペレーションフローにすべきか悩まれている方はお気軽にサービス内容お問い合わせいただければ幸いです。

最適な在庫日数の考え方

売り逃しを防ぐ最小限の在庫を最適だと考えると、完璧に需要予測ができるのであれば、「最適な在庫日数 = 発注から納品までのリードタイム」となるはずです。一方で完璧な需要予測は存在しないためある程度バッファーを見込んでリードタイムよりは長い在庫日数を設定することになると思います。

欠品を恐れ、売上を追い求めて在庫日数に対する基準を緩めていくと過剰在庫に悩まされることになるので経営陣・現場含めて納得感のある在庫日数の基準を持つことが健全に在庫ビジネスを経営し続ける上では重要だと言えます。

アパレル上場企業の在庫日数一覧

早速ですがアパレル上場企業の在庫日数一覧は下記の通りです。なお、在庫日数は売上原価ベースで計算しており、期末棚卸資産 ÷ (売上原価 ÷ 365日)で計算しています。

在庫日数の優劣をある程度わかりやすくするために、在庫日数90日未満を緑セル、180日以上を赤セルで表現しています。

アパレル上場企業在庫日数①
アパレル上場企業在庫日数②
アパレル上場企業在庫日数③

期末時点で翌期の仕入をどの程度行っているかによって在庫日数がブレるので全てを鵜呑みにはできないものの、各社のビジネスモデルごとにある程度の特徴が見えてきます。

ベーシック・定番の比率が高く計画生産を行うユニクロでは在庫日数が多く160日程度となっており、同様にスーツや下着などカジュアル衣料品と比べると比較的賞味期限が長いと思われる商品を扱う企業の在庫日数は長めとなっています。アオキについてはスーツ企業の中では異様に短い在庫日数となっていますが、多角化戦略が奏功し、ファッション領域の売上構成比が全体の半分程度となっていることが要因として考えられます。

アダストリア・パルなどのカジュアル衣料をメインとしている企業では在庫日数が短くなっており90日を切る水準で推移しています。また仕入販売が多いと思われるしまむらやクラシコムは在庫日数がかなり短くなっています。

また国内生産にこだわり、「必要な時に必要な分だけ」を掲げるタビオも37日と優秀な在庫日数となっています。

上記の通り、各社ごとにビジネスモデルが違うものの、その中でできるだけ在庫日数を短くする努力は重要と言えます。アパレルに合わせて家具のニトリHDの在庫日数を調べたらカジュアル衣料を扱うアダストリアなみの73.66日でした。アパレルに比べれば賞味期限がなく長く保有しても問題なさそうな家具業界のトップ企業も在庫回転を気にしてIR資料に9回転(在庫日数40日)を主要経営指標として常に意識していることが伺えます。

2022年2月期ニトリIR

最適な在庫日数の設定と短縮の努力

在庫日数を気にせず売上を追い求めるあまりに、在庫を積み上げてキャッシュが尽きて黒字倒産というのが在庫ビジネスの怖いところなため、自社のビジネスモデルと特性から最適な在庫日数を経営・現場レベルで納得感を持って追い求めることが重要です。

一方で冒頭にて理論上は「最適な在庫日数 = 発注から納品までのリードタイム」と記載しましたが、リードタイムを短縮することができれば劇的に在庫日数の短縮 = リスク低減が可能です。物流の見直し、荷物の着荷から検品・棚入れの短縮、これまで半年に一度の発注を半年に2回、3回とできる体制への変更などリードタイム短縮できる要素を考えることも在庫ビジネスの醍醐味だと言えます。

株式会社Bizgemでは、現状の経営指標の整理から最適な在庫日数とそのモニタリングをできるだけ簡単にできるようなオペレーション設計からサポートしておりますのでお気軽にお問い合わせください。

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