リーガルテックのビジネスモデル図解まとめ4個

ビジネス図解研究所(通称:ビズケン)のハマダショウです。研究所メンバーの総力を注いだ「ビジネスモデル2.0図鑑」。おかげさまで好評を博しているようで、友人・知人からも、感想やフィードバックをいただく日々が続いています。発売から増刷を重ねており、ついに第6刷が決定!書籍の内容は、note上でも公開してますが、よかったら店頭で手にとってもらえると嬉しいです。

「ビジネスモデル2.0図鑑」の発売を経て、メンバーの意欲も高まっています。すでに発表されているものもありますが、ビジネス図解を通じて「いまの世の中」のトレンドや、その本質的な面白さを伝えられたらいいなと考えています。

そんな研究所としての活動の一環として、このたび、月ごとに新たなテーマを特集するnoteマガジン「月刊ビジネスモデル図解」が始まります。

第一弾のテーマは「リーガルテック」ということで、弁護士ドットコム株式会社に勤務しており、法分野のビジネスに関心のある私が、事例の選定を担当することになりました。大事な初回にもかかわらず、ギリギリまで自由にやらせてくれた研究所メンバーの懐の深さに感謝します。

「リーガルテック(法×テクノロジー)」や「フィンテック(金融×テクノロジー)」のような「◯◯テック」は、「xTech(クロステック、エックステック)」と総称されます。これは、まだ十分にIT化が進んでいない「専門分野」に「テクノロジー」をかけ合わせることで、新たな価値を生み出そうとするもの。このテクノロジーは、たとえばAIだったり、クラウドだったり、ビッグデータだったりするわけですが、対象を絞り込むことによって、各テクノロジーの特徴が際立ち、それぞれの分野において解決すべき課題が浮き彫りとなります。

これは、いままで業界内に閉じていた専門性を、テクノロジーの観点から一般化しようとする試みであり、専門家にとっては業務効率化につながる一方で、高度な知的作業(とされていたもの)を陳腐化させるものとなるかもしれません。とはいえ、それは専門性が無価値化することとイコールではなく、より多くの人が、その専門性へ手軽にアクセスできるようになるということなのです。

そこで、本稿においては、xTechの意義を「テクノロジーによって、専門分野の知見を、より広く一般的に活用すること」だと捉えており、この視点は、事例の選定から解説まで一貫させています。

今回の事例選定にあたっては「ビジネスモデル2.0図鑑」と同様、「Social(ソーシャル)」「Business(ビジネス)」「Creative(クリエイティブ)」からなる3つの円、研究所が提唱するSBCの基準をもとに検討しました。

「リーガルテック」においては、その特性上「リーガル」という分野に向いていること自体で社会性(Social)を有しているといえ、創造性(Creative)、つまり問題解決のための工夫は「テック(テクノロジー)」が担っています。

法分野は、人と人の関係や社会を構成するルールに関わるものであり、自ずと様々なステークホルダーを考慮に入れて動かねばなりません。そのため、そもそもの発想が社会性からスタートしているといえます。また、専門性の高さゆえに、相対的に参入のハードルも高く、新規性のあるビジネスが生まれづらかった中で、課題解決を技術面でサポートしていくアプローチは馴染みやすく、テックによって逆説的な仕組みを生みやすい土壌がありました。

実際に、国内でも裁判手続きのIT化に関する議論が始まり、e-Taxをはじめとした行政手続きのオンライン化が推進されるなど、正確性、安定性が求められ、変化に対して慎重にならざるを得ない業界とはいえ、多くの分野でテクノロジーが活用されつつあります。

ただし、これだけだと、営利を目的としない(主に行政目的の)サービスが含まれ、Businessが抜け落ちやすい。ビジネスが経済活動に限られるわけではないため、それ自体はネガティブではありませんが、研究所の目的や、再現性(のヒント)を有する「ビジネスモデル」の観点から、SBCを満たす必要があると考えました。

そのような背景もあり、今回取り上げた「リーガルテック」事例は「(現時点で)ビジネスにおいて実用的であるか」を重視しています。「これは使えそうだな」という個人的な感覚に拠っているところがある分、普段は法分野にあまり携わっていない方でも、サービスの魅力が伝わりやすいのではないかと思っています。

以上を踏まえて、図解する事例として選んだのが下記の4つです。

1. Cotobox(商標×AI)
2. クラウドサイン(契約手続き×クラウド)
3. Hubble(契約書作成×クラウド)
4. Draft Analyzer by Bloomberg Law(契約書レビュー×ビッグデータ)

ここから実際にビジネスモデル図解で各事例を紹介していきます。

1. Cotobox

商標調査・申請 x AI

Cotoboxは、ガイドに従って情報を入力するだけで、商標登録に関する事前調査や出願用書類の作成、特許庁への出願ができるオンラインサービス。AIを活用したシステムにより、一連の手続きがほぼ自動化されているため、スピーディに出願が完了する。

商標とは、自身が取り扱う商品やサービスと、他人が取り扱う商品やサービスとを区別するためのマーク(ネーミングやロゴ)のこと。すなわち、商品やサービスのアイデンティティであり、競争力の源泉となるものである。これを保護するための制度が商標登録であり、商標を独占的に使用することのできる商標権は、知的財産の一つに数えられている。

自身の商品やサービスのネーミングやロゴが、他人によって自由に利用されてしまうと、せっかく獲得した競争上の地位を揺るがしかねない。そのため、商標登録は、ビジネスにおいて重要な手段である。

しかしながら、特に小規模ビジネス、いわゆるスタートアップにおいては、事業拡大や製品開発に注力するため、知的財産に関する担当者がいない事が多く、商標に関する手続きは後回しにされがちだった。商標の登録は、ドメインの取得にも似て早い者勝ちであるため、いわば法的リスクを抱えた状態にさらされていることとなる。

登録の壁となっているのが、登録調査の手間や、書類作成に必要な知識、対応にかかる待ち時間などだ。Cotoboxは、こうした課題にフォーカスし、シンプルなUIと、AIを活用したシステムを通じて、手続きの省力化に取り組んでいる。ボタン一つで事前調査が行えるだけでなく、出願用書類の作成から出願までをオンラインで完結。登録した商標はサービス上で一元管理されるので、更新の手間も少ない。また、プランに応じて、提携弁理士による専門的なアドバイスを受けることもできる。

手軽に商標登録できるということは、法的リスクを取り除くコストが抑えられるだけでなく、すばやくビジネス上の基盤を築くことにもつながる。攻めの意味でも、守りの意味でもメリットが大きい。

今後は、国外の商標登録にも対応予定。業種を問わず、競争がグローバル化している現代においては、小規模ビジネスであっても、商標を含む知財戦略を意識せざるを得ない。そんなとき、Cotoboxは頼りになるサービスとなりそうだ。

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