Lesson 23 スパイダーガードパス

私が柔術を始めた2004年、コンバットベースの概念が存在しなかった。中井先生がかろうじてDVDで明らかにその技法を広めようとしていたけれどDVDの技法って議論の対象になりづらいのでひっそりと皆さん中井先生のこのスクワット動作に気づかないでくれよ、と運任せでいればスパイダーで無双できた時代があった。
しばらくして初めてのブラジリアン柔術という名著が早川先生の手によって産み出され、内容は初心者向けをうたってはいたものの身体能力や特殊な柔軟性や瞬発力を必要とせずにゆるりゆるりとスパイダーガードやラッソーガードをパスする方法が日本全国津々浦々の書店に並んだ。日本全国津々浦々の書店ってのが肝で、その日を境に日本のスパイダーガードの歴史はほとんど終わったと思っています。トライフォースにスパイダーガードユーザーが少ない理由もそれだと思っています。早川先生がスパイダーガードを怖いと思ってないのでだれもスパイダーにこだわろうとしない。一方早川先生も芝本先生もスパイダーガードの使い手でもあるという不思議。
初めてのブラジリアン柔術の衝撃をうけてもなお脈々とスパイダーガードを開発していったのは日本に数人じゃないかなという印象です。ソレ以外のみんなが路頭に迷った。

キックコントロールの解除

ということでコンバットベース。しゅごい。つよい。こんなことをされてスパイダーガードをし続ける人なんてもういなくなるんじゃないかっていうくらいの凶悪技法。つよい。
別の言い方をすると、スパイダーガードの天敵はコンバットベースなので、スパイダーガードを使うということは相手のコンバットベースといかに向き合うか、ということです。天敵であるコンバットベースをしてくるに違いないからそこにわなをはるもよし、コンバットベースの天敵であるデラヒーバガードをきわめるもよし、決めるのはあなたです。

レッグラッソーの解除

あいかわらずのコンバットベースから手首をくいっと外に出せばもう終わりだという極悪技法。ディフェンス力の高いはずのキックスパイダー&ラッソーの複合ガードにあえてプレッシャーをかけるのはじつはトライフォース奥義の一つだと思っています。ピュアトライフォースの人にとってはなんていうことのない動作ですが。

レッグラッソースイープへのカウンターパス

手首をくいっと返せばおわりだというのがラッソーの運命ですが、逆に言うと、ラッソーを使うということそのものが手首をくいっと返す人とのやりとりであって、この、手首をくいっとしてくる人と永久に付き合い続けた研究結果がこれ↓です。トライフォースのベーシックカリキュラムのアタックをされたら私はこう応えます、というのを考え続ける修行でもある。


レッグドラッグパス

どこかで、たしか、東京五輪の柔道軽量級王者の先生が最も得意となさっていたパスガードがこれだと聞いたことがあって、バシッというよりもバチコーンくらいのビシッとした動作ですが、それをある意味スマートにそして腕力なさげな人たちが特定のなタイミングで使うとこうなります。レッグドラッグと呼ばれていたかどうかは定かではありませんが、2005年くらいには私も明確に誰かから教えてもらってつかっていたので、ある意味スパイダーの天敵でもあります。そしていい技なのに誰も使いません。たぶん、ガードリテンションのドリルが柔術界隈に完璧に普及していて白帯ですら凡ミスがなくなったってことなのかもしれません。スポーツとしての成熟期に一歩一歩進んでいます。

レッグフォールディングパス

自分でやると失敗するけれど先輩にも試合の対戦相手からもたくさんやられる悲しい技法。フォールディングパスのかたち、フォールディングポジションはパスガードにおける一つの到達点であり一里塚なのでここを目指すといいですよー、と指導のたびに伝えるようにしています。
トライフォースの指導マニュアルでは一回のベーシックテクニックの指導で使える時間は3分(最大4分)で、長く話しちゃいけないんですがそれでもなお大切なエピソードだと思っているのでフォールディングポジション=一里塚学説を必ず伝えています。大切。

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