鯨はジャンクフードの味がするが

 ジャンクフードの味の定義とは何なのか。

 これはもらった肉ではありません。

 うちから徒歩三分のところに八百屋があるんですが、なぜかものすごく新鮮な魚も扱っています。昨日は岩ガキ(殻付き)売ってました。意外とそんなしなかったので今度買ってみようかと思いますが、それはともかく基本的に八百屋であるはずの店にどうしてクジラが売られているのかわかりません。これは岩ガキやホタテとは違い、常にあります。

 このクジラはいったいどこから来ているのだろう。

 そしてわたしの舌が肉に慣れたのかほんとうにおいしくなっているのかわからないのですが、久しぶりに買って食べてみたら前食べたときよりあきらかにおいしい気がする。クジラの旬をいま調べたところそれ以前の問題に行きつきました。

 そもそもこれは何クジラなのか。

 わたしは地元で鯨肉を見た覚えがありません(殻付きホタテも見た覚えはありません)。このへんならどこででも売っているのかというとそういうことはなく、少なくともスーパーには置いてありません。肉屋はあるけど魚屋は近所にないからわからない。

 八百屋にだけクジラが売られているのです。

 畑で採れたのか?


 さて鯨肉の売れ残りを150円で入手しました。ピーマンが安い季節になりました。ピーマンとにんじんを短冊に切って砂糖醤油で炒めてそんな感じに切った鯨肉を投入してさっと火を通します。鯨肉の竜田揚げというとパッサパサの印象があるので火を通しすぎないように気をつけています。あとクジラは味が濃いのでわたしは調味料あんまいらないと思うけどクセが気になる人はあれするのかもしれない。気にならないので火だけ通して止めます。とてもおいしい。

 おいしいんだけどジャンクフードの味がする。

 ジャンクフードの味というのがなんなのかさっきから説明しようと考えてるんだけどとりあえず胸やけがする、赤身なんだけど妙に味が濃い、若干マグロに似ていて、馬肉にも似てるんだけど、どっちにしろそれらより味が濃い。妙に甘い。そしてとにかく胸やけがする。いましている(昼に食べたから)。

 鯨肉というのはなんか食べたらあかんらしいで(本当は食うたらいけんらしいんよと言うんですが広く内包された地方性を表現するための関西弁ですご了承ください)という話をぼんやりと聞かされて育ったわけです。なんとなく、食べたらあかんもの、体に悪いからという理由ではなく環境保護とかそういう意味でのあかんものというのは、本当に何の根拠もないんですが、上品な味がするものだと思っていました。

 食べるたびに思います。

「体に悪い方の食べちゃいけんものの味がしよる」


小松正之「日本の鯨食文化――世界に誇るべき“究極の創意工夫”

※読んだということではなくて一応何か貼ろうかと思ったらこれくらいしかひっかからなくて……やっぱ米資本書店に鯨肉を置くのはアウトなのかしらん

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