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交渉人は振り返る 【ネタバレあり読書感想文BLR18】  芽吹の闇あるいは狂気

*BL本 多分R18です

★★★★★
amazonでレビューしたものです。

<あらすじ>
あんたの過去なんかどうでもいい 現在だって、どうでもいいくらいだ
元検事で元弁護士、そして優秀な頭脳と口八丁を駆使する美貌の男、芽吹章は、弱き立場の人を救うため、国際紛争と嫁姑問題以外はなんでもござれの交渉人として、『芽吹ネゴオフィス』を経営している。そんな芽吹が泣く子も黙ると評判のヤクザ、兵藤寿悦と深い関係になり、この頃では互いの存在に慣れつつあった。だが、生き方も違えば考え方もまるきり違う、おまけにヤクザなんて大嫌いだ、それなのに寝ている……ということに戸惑いがあるのも事実だった。そんなとき、芽吹はかつて関わっていたある青年と再会して……!?

Amazonのページより




A.安全な交渉


「交渉人は黙らない」CD動画でハマってしまい、本を読んでまたハマってしまい、全巻揃えて繰り返し読んでおります。


面白いー楽しい〜幸せーー

薬にホストときて、今回はオレオレ詐欺。
アロハは脱いで季節は秋に変わります。

さらに鵜沢に変わる兵頭の恋敵(?)、弁護士七五三野が本格的に登場。兵頭と火花を散らします。りんごで殴っても殺せない。そりゃそうだ。
なんでこの人もこんな芽吹に執着するかな、、友達でしょう?
芽吹フェロモンのせい?

前巻、本格的に体では結ばれた芽吹と兵頭でしたが、芽吹本人の兵頭への気持ちについては、なんともすっきりしないまま、、、で。
「流された」とか言ってアヤカちゃんに怒られる交渉人。

このアヤカちゃんとのやりとりやデートも面白いです。
主役の恋愛だけでなく、他の人間関係や友情もしっかり描かれています。
でも確かに性的な魅力満載の若くて可愛い女の子に対して、性的な魅力は認めつつも人間として対等に、しかも優しく接してくれる男性はそう多くはないでしょう。
芽吹は誠実ないい男だと私も思います。条件反射は起こるが、、

さらに、キヨにさゆりさん、智紀といったオフィスのメンバーもさらに仲良くなり、うまく芝居をして、事件の解決に協力するようになってきました。

優秀な交渉人なのに、兵頭への自分の気持ちはよくわからず、言語化できない芽吹。でも体は熱く互いを求め合う。

そんな状態で最初の詐欺を鍋で乗り越えた後、試練が訪れます。

B.芽吹の闇


芽吹は主役の割には結構複雑な人格の持ち主です。

表面的には優しげでいい声をしており、頭もスタイルもよく、特に男を惹きつける色気のある色男。検事に弁護士と申し分ない経歴。なのに今は交渉人。弁がたちひょうきんな物言いをするが、内面はとても頑固で仕事へのプライドも高い。さらに両親を自殺で亡くすという暗い過去を持っています。

本人の内面の文章を読んでいる分にはユーモアあふれる楽しげな性格なのに、その行動にはとんでもない落とし穴が待っています。
なかなか共感しにくい二面性というか奥深さがありますね。

前巻でどう見ても問題のある依頼人を信じることにこだわった芽吹。
今作では、信じる、信じたいという自己暗示をキヨに指摘されます。

自分で自分を傷つけ、恐ろしい声に責め立てられ、ボロボロになっても、彼は信じることに縋ろうとします。

他者と近づける方法を他に知らないから。

職場にも友人にも恵まれているように見える芽吹の、底知れぬ孤独が垣間見られます。

C.包む暖かい腕


そんな芽吹の悲痛な想いを受け入れ、一緒に朝を待つと決める兵頭。

兵頭の方が人格的にはシンプルです。
組と先輩が命より大事。以上。
って感じ。

ただ、彼の大事な大事な2つは時々対立します。
どちらも選べない兵頭は、心労を抱え奔走することになります。

前巻で人間は変われる、過去は関係ないと言った芽吹に対し、過去も現在も関係ない、どんな芽吹も受け入れると返す兵頭。

「信じちゃいないがーーー惚れてます」

こっちが惚れそうですよ。。

そんな兵頭に包まれて、芽吹は弱みをさらけ出し、安心して眠る。
芽吹の孤独な心を包み、癒すのは兵頭でした。

辛い経験と想いを分かち合い、乗り越え、気持ちを繋げた二人。

物語は続きます。

CD再販を引き続き続き希望します。

著者:榎田尤利 (著), 奈良千春 (イラスト)
ASIN ‏ : ‎ B07728CTKH
出版社 ‏ : ‎ 大洋図書 (2009/6/3)
発売日 ‏ : ‎ 2009/6/3
言語 ‏ : ‎ 日本語
本の長さ ‏ : ‎ 226ページ

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