見出し画像

なんでも行政に頼らず、最初は自分たちでやって見た方が良いのでは? というお話し

先日、NPO森の教育プロジェクトでアレンジした、デンマークについてのシンポジウムを奈良県三宅町で開催させていただいた。

イベント開催チラシの一部(デザインは筆者自身による→予算削減(笑)

〜ヒュッゲの国デンマークに学ぶ〜
と題して、デンマークの社会システムや教育理念や哲学、また地域の子どもたちへの取り組みかたなど、小国でありながら、様々な世界一を持つ国のその秘密を学ぼうというものだ。

他の自治体が注目する活動に

2016年以降、美山でずっと僕らが培ってきたデンマークとの国際交流を軸に、地域資源を最大限に活用した子どもにとって最高の生活および教育環境を作り出そうという、僕らのNPOとしての、初めての対外イベントだったのだが、果たしてそれは他の自治体にとっても有意義なものなのだということを改めて感じるものとなった。

シンポジウムには、人口8,000人の三宅町と隣接する川西町の町長、行政担当者、教育長、学校関係者などもご参加いただいたようで、デンマークの社会システムや教育の考え方などは、参加者に大きな衝撃を与えていたようである。

後半のクロストークにご出演いただいた森田浩司 三宅町長からも、この町に活かせるヒントがたくさんあったと、高い評価をいただいた。

実は、私事ではあるが、今年からこの三宅町の地方創生推進委員を拝命し、今後2年間、三宅町の教育や子どもたちの環境整備などについて議論検討していく役としてご協力させていただくことになった。

これは、森田町長をはじめ、町役場の各担当の方々に、実際に美山に足を運んでいただき、CYCLE SEEDSに集まった子どもたちの様子をみていただくなど、僕らのリアルな活動を視察いただき、この活動の理念や方向性が間違いではないということを、評価していただいたことだと感じている。

町の子どもたちが熱狂的に自転車にハマって、あらゆる地域をくまなく走り、その親御さんたちを巻き込んで活動が大きなうねりになりつつある今の状況や、こうして他の自治体にも、興味を持っていただける状況が生まていることを考えれば、改めてこれまで僕らが続けてきたことが、正しい道だったと確信する。

なぜか地域では認められていない活動の「?」

だが残念ながら、美山町内をはじめ、南丹市では、僕らの活動は<公式には>あまり取り上げられることはない。

6年前に、小学校の統廃合を機に、地方の田舎町に、全く新しい教育環境をつくることこそが、地域課題を解決する未来の地域振興であると掲げ、住民で国際交流を作り、大切に育て続けてきた。
しかし行政や、町内の地域振興会、また地元に一つずつしかない小中学校に声をかけても「良いことだ」とは言ってはもらえるが、興味をもって<積極的に>関わってくださるところはほぼないと言っても過言ではない。

これは、これまでの僕の「強引な」進め方にも大きな問題があったかも知れない(笑)
確かに「美山の教育は良い、なのになんでデンマークなのか?」と言われたこともあるし、「君はイベントはつくれても、教育はまだまだできない」と謎のレッテルを貼られることもあった。(もう長いこと自転車教育に関わっているし、教員免許も持ってはいるのだが…)教育者(として仕事をしてないから?)でもない自分が、なぜ教育を語ってはいけないのかと首をかしげる。

とにかく結果論として、この6年間、例えばデンマークの町と京都の片田舎の町が、どこでもドアで繋がり、子どもたちが双方の学校を通じて交流を深め合うという、シティプロモーションとしては、抜群のネタを、町の、ひいては市のものにできなかったことは、町の将来に対して、地域振興のテーマにするべき機会の損失だったことは否めないだろう。
それは今回の三宅町が、こうした動きを速やかに自らの行政からのメッセージとしている事例を取ってみても明かだ。
進め方がどうあれ、「結果」が残せる(実際残している)事業を押し進めない理由など、どこにもないのに。

助けてもらえないからこそ、わかったこと

しかし、こうして公の理解を得られないまま進めてしまった活動は、反面、そうした既存の社会システム、つまり行政主体であったり、または公的支援を受けたり、さらには地域の昔ながらの集団的合意形成システムの判断を通さずとも、いち市民レベルでやりたいことが、ある程度実行できるということを証明してしまったのだ。
やる気さえあれば、市民たちだけでも、公的機関を通さず、大使館やデンマークの学校等を巻き込んだ、国際的な交流や、そこから生まれる友好関係を築き上げられると言うことを、やってしまったのだから。

とにかく誠意を持って地域の子どもに対応していれば、子どもたちは、いつのまにかこんなにもCYCLE SEEDSに集まってくれるようになったし、さらには、活動に対し公的支援を受けていないため、例え資金がなくても持続可能なやり方を構築できたこと。
また、やる気さえあればいつまでも続けられる無尽蔵の継続性と、拡張する可能性を持てたと言うのがとても面白い結果そのものだ。

要は市民自身が問題意識を持って、自らが動くことが、実はとても大切だということ。
そして、へたに最初から行政頼み、公的支援頼りではない方が、資金調達の方法も、その使い方も自由だし、なにより判断や決定のスピードも速いため、機を逃さない上に、フレキシブルな対応も可能だったという、まさに良いことづくめ。
確かに、資金的にも、情報的にも難しいこともあるかもしれない。
でもやっぱり、最初は、自分たちで動こうよ、と僕は思うのだ。

森の教育プロジェクトの考え方をもっと全国に広げたい

そんな、僕らの経験、知識、活動の幅広さ、
例えば自転車の教育や、様々なスポーツイベントの立ち上げと運営、多くの人を集めての田んぼ保全活動、積極的な国際交流、地域の子どもたちの居場所づくりなど、様々な活動が、市民レベルで実現できたのか。
さらには、それらは全部バラバラではなくシームレスに繋がっていること。
そして、僕らは一体何を目指しているのか。

この社会にとって「教育」がいかに大切か。
その教育の場こそが「地域社会」であるということ。
なにより市民自らが立ち上がり行動することが大切だと言うこと。
こうした僕らがもつ情報を一刻も早く、多くの地域や自治体に届けたい。

あらゆる地域で、こんな動きが生み出せたら、この国は少しはよくなるようにも思うのだ。

興味のある方には、ぜひわれわれのホームページをご覧いただきたい。

〇NPO法人 森の教育プロジェクト


子ども向け自転車教室 ウィーラースクールジャパン代表 悩めるイカした50代のおっさんです。