聖地巡礼
山種美術館の今開催中の展覧会。
『日本画 聖地巡礼』
今日、美術手帖の通知が来ていた。
無意識に聖地巡礼をしていたなぁ思った。
東福寺本坊庭園(方丈)(京都)
1964-1966年に描かれた作品で長野県の東山魁夷館に所蔵されている。
この庭を描いた《東福寺庭》も大好きで、実際に見たくて20代の頃から何回も見に行っている。
東福寺に行きたかったのは紅葉もさることながら、この絵の場所を見たかったからと言ってもいい。
写真は2021年で、そろそろ次の転勤があると思い、京都に通えるうちに通おうとコロナ禍だったが『京都に行こうキャンペーン』を一人で開催し毎月行っていた頃。
外国の人も少なく静かな京都を味わえた。
この日は誰もおらず東福寺を独り占めの時間がだいぶあった。
二条城(京都)
二条城の石垣を描いた絵も好きで何回も行っている。
石垣の写真はないがこの時も昼間に二条城に行き、石垣も見てきた。
この石垣の絵も《京洛四季》シリーズのひとつ。
石垣のみを切り取り描かれている作品で初めて見た時、お城ではなく石垣にフォーカスした感性が好き。
残照(千葉県 鹿野山)
東山魁夷は画壇に認められるまでに辛く暗い時期があり、そのことがあの落ち着いた画風(美しい色使いの中にも少し憂いというか寂しい静かな雰囲気)になっているのかと思う。
あっけらかんとした、明るい感じはなく常に落ち着いた静かな時間が流れている気がする。
このエッセイにも書かれた『残照』。
この絵も好きな作品の一つ。
千葉県の鹿野山で描かれたもの。
”かのうざん”と読む。以前ある人に、“しかのやま”と言われピンと来なかった。
第三回日展で特選となり政府買上げとなって、世の中に認められることになった東山魁夷39歳の作品。
鹿野山に行くと思い出す。
この作品が描かれる前に、東山魁夷のお母様が亡くなり、第一回の日展に落選し、その後弟が危篤になるという知らせが届き、とても苦しい時期があった。
このくだりは他の本でも読んだことがあったが、あの日本を代表する画家であっても日の目を見るまでに暗澹たる時代があったのだ。
たにま
以下の風景は聖地巡礼ではないが、東山魁夷の『たにま』という絵を思い出す。
実際の絵は、もっと単純で川の色はグリーン。
青森県の国道
行きたいと思って聖地巡礼ができていないところは多々ある。
代表作『道』のモデルとなった青森県八戸の種差海岸沿いにある国道もその一つ。
東山魁夷が国民的画家と言われるきっかけとなった作品で1950年の作品。
エッセイによれば、一度見たことがあり描くためにもう一度行こうと決めたがその記憶の風景が変わっていたらどうしようという懸念もあったようだ。
十数年ぶりに再訪した場所をこのように書いている。
今この絵が描かれてから73年。
どうなっているのか気になっている。
東山魁夷以外の聖地巡礼
椿が咲く頃に、地蔵院(椿寺)に行って速水御舟の描いた椿も見たい。
いろんな画家が描いているエトルタの断崖など、ヨーロッパの絵画の聖地巡礼もしたい。
ゴッホの跳ね橋とか、黄色いカフェ、モネのジヴェルニーの庭、ウォータールー橋は聖地巡礼した。
セザンヌのアトリエなども行ったりして、やはり聖地巡礼は楽しかった。
ヨーロッパでおよそ見る観光地は無意識に聖地巡礼していることになっていると思う。
聖地巡礼はヨーロッパまで広げると大変なことになりそうだがやってみたい。
若い頃、とにかくヨーロッパの有名な美術館は行っておこうと意識したがまだオランダとロシアは宿題。
やりたいこと、行きたい場所、見たいもの。
まだまだたくさんある。
美術館は行かないと、最後後悔することになりそうだ。
聖地巡礼に限らず、体力と気力があるうちに、行きたいところは行って、会いたい人には会っておきたい。
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