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『多様性』で呼ばれることのない誰かの話

大分前、文フリ(「文学フリマ」の略)用の原稿を書いていた。
…まあ、ちなみにいうと締切はとうに過ぎてたんですけどね…。本当に校閲担当の望月氏、大変大変失礼しました。本当にごめんなさい…。土下座します…。ついでになんか請求されるようでしたら、今すぐにでも何かしらのお菓子を献上いたしますので…。

さて。志賀が締切破りなのがばれたところで、本来綴りたい話を綴って行こうと思う。


今回の火樹銀花の文フリテーマは「恋愛」
さらに、登場人物は自分以外のインカレ仲間が考えた人を使う。性格や特徴は他の人の「性癖」に基づいているのだ。…ここまで読んだ皆様、面白そうと思いませんか?面白いんです、事実。是非「火樹銀花」に遊びに来てくださいね。

志賀は四人の人物を引き受け、それぞれ2500字前後の短編を綴る事にした。ちょっと他のメンバーとは違う書き方。せっかくなら、それぞれの人物をフォーカスしたくて、こんな書き方にしてみた。

それぞれの短編にはタイトルはついているけれど、それとは別に大きなタイトル、全体にかかるタイトルを付けた。それは「『多様性』で呼ばれることのない誰かの『好き』を」だ。


今、この世界は「多様性社会」という。昨今、「多様化」が進んでいるとも言われる。けれど、その「多様性」という言葉で表せるほど、実際に生きている人々は単純な生き方をしているわけじゃない。
一人ひとり人格があるし、好きな物も、嫌いな物もある。グラデーションっていうのが正しい。白か黒かとか、そういう明確な基準はないのだ。

僕等の世界はしばしば呪いに溢れている。ニュースでバズるのは多くの場合聞くに堪えないような話ばかりだ。危険な話、人を不快にさせる話ばかりだ。まるで生きている限り、どこかで必ず誰かが傷ついて居なくちゃいけないみたいな感覚にさせてくるものだ。そんなの、本当は誰も見たくないんじゃないのかと思うほどなのに、そんなあり方は止まない。無くならない。

分かり合えない人もいるし、大切にしたいと思える人もいる。
「嫌い」だとも、「好き」だと伝えたいものも、人もいる。そういう世界だ。
世界は単純じゃない、シンプルで明快じゃない。言葉に出来ないことが山ほど存在する。障害もある(ここではあえて漢字の表記を使う。形だけひらがなにしたところで、感覚は結局「差し障り」であり「害」であると思うから)。
その中で僕等は生きている。そういう単純ではない世界の住人として、決して一人ではなくて、多くの人と共に生きている。

このnoteを書いている志賀という人間もその一人だ。僕の仲間もそうだ。そして、このnoteを読んでいる貴方も、貴方の大切な人も、きっとそう。
皆、少しずつ違うあり方の中で、今、この世界を生きている。「多様性」という一言で片づけられてしまうけれど、決してその一言では収まらない人生を生きている。だからこそ、嬉しい時も、悲しい時も、苦しい時も、楽しい時も、様々な時が存在する。

そんな世界の中で、自分の大事にしたいと思う人やものを大切に出来ること、好きな物を心から「好き」と言える事、心惹かれることに正直になれる事、好きの感情を大切に出来ること、それらが本当に大事なことだと思えることは、僕等に与えられた最上級の幸福だ。

祝福、なのだ。

呪いに溢れたこの世界の中で、この世界を愛そうとする理由になってくれるであろう、そんな希望を含んだ、祝福。

そんな祝福の一部を、ほんの少しお話の中に詰め込んでみた。

もしよろしければ、火樹銀花へと遊びにいらして下さい。素敵なお話を準備してお待ちしています。

そんなわけで。本日のnoteはこれにてお終い。
文フリでお会いできる皆様は、ぜひその時に。そうでない、ここで会ってくださった皆様も読んでくださってありがとうございました。
皆様の日々に溢れるほどの祝福あれ。

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