我々が気づかないうちに・・・

 先日何気なくソファーに座ろうとしたら、思わぬ先客がいた。そう、ひなちゃんである。
 ひなちゃんはこれまで自分でソファーに上ることができなかった。ひなちゃんをソファーに一人残してママが離れるわけがない。
 「おーひなちゃん!一人でソファーにも上れるようになったんか!!!」
 びっくりしている僕をよそに、ひなちゃんはさぞ当たり前のことですけどと言わんばかりにすましてちょこんと座っていた。
 できることが増えると嬉しい反面、心配なことも増える。上って今度は自分で下りられるのだろうか。バランスを崩して落ちたりしないだろうか。
ソファーの前にはマットを置いてあるのである程度は大丈夫にしても、横はそのまま床である。手すりを乗り越えて頭から落ちたらまあまあ大変な高さだ。
 早速ソファーの上でも立ち上がって伝い歩きを始めているひなちゃんに触れながら、早急にママと対策を話し合った。そして数日後、なんとか予定を調整してIKEAに大きめのクッションマットを買いに行った。
ちなみにそのクッションマットを設置した数日後、僕の出張中ひなちゃんが横の手すりを乗り越えて落ちたらしい。クッションもこれで無駄ではなかったということが証明されたわけだ。
 ここ最近のひなちゃんの成長が目覚ましいことは前回の記事でも書いたが、昨日できなかったことが今日当たり前のようにできていることがよくある。そう、すましてソファーに座っていたように。
そこでもう一つ思うことがある。我々が一つずつひなちゃんに触れて気づく「初めてできたこと」は、もしかしたらひなちゃんにとっては初めてのことではないのかもしれない。
 「私たちが気づかないうちに、もしかしたらひなちゃんもう不通に歩いてるのかもしれないね」
ある時ママが言った。
ソファーにだって、実はもう何回か上っていたのかもしれない。我々が気づかないうちに。
でもそれでいいのだ。我々が初めて気づいた時に思いっきりほめればいいし、それが我が家の子育てのペースだから。
 我が子の成長に後から気づくのは、もう少し子供が大きくなってからというイメージが何となくあった。家や家族という世界を飛び出して、幼稚園や小学校に入ると自ずとそうなるからだ。
我が家の場合、それが少し早くにやってきたような感覚に近い。
 今こうしている間も、すぐ隣でひなちゃんの初めてがまた一つ増えているかもしれない。そしてそれに少し経ってから気づくのだ。
 「パパもママも遅いよ!」
というひなちゃんの声が今からもう聴こえてくる気がする。

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