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変化し続けるクラブシーン/パーティ 目指していく場、そして社会

はじめに

自分のパーティーを始めて早半年経ち、”場”を作っていくことに対しての考えが増えてきたため、一度自分自身のためにも一筆したためようと考えました。
アンダーグラウンドクラブシーンが様々な派生をしていく中、人種差別や性別、思想などの問題を含めたモノへの抵抗やアンサーとも思えるパーティーが増え、それに対する一意見として以下に述べようかと思います。
(これは一個人としての昨今のクラブシーンへの考えに過ぎないので、へぇ〜くらいに思ってもらえればと。)


おはなし

順を追って意見をまとめていきますが、大きく3点に分けようと思います。
1点目は、日本国内における、現クラブ/クラブシーンに対する世間一般的な意見や考え
続いて、その観点に追随して、クラブ/パーティー自体の思想
最後に、現行のクラブシーンの希望


クラブ/クラブシーンに対するマジョリティ的な見方
現行のクラブへのイメージは、マスの時代に植え付けられた、チャラい・ナンパ・ドラッグのような、決して良いとは言えないモノが大半だと思っています。大衆の情報源だったマスメディアなどでの表現は、そういったイメージを根強く広げさせたと感じます。
(とはいえ、風営法のきっかけとも言える、戦後のクラブの実態を考えれば、表現が過激になるのも頷けますが。)
この偏見が、音楽への好奇心や探究心を妨げ、音楽の広がりを止めているように思えます。J-POPのようなビジネス・マーケットも絡んだ大衆的な音楽が今もトップを歩けるのは、こういった要因もあるのではないかと考えています。一概にすべて悪いものとは思いませんが。
そういった点も踏まえて、現状ダンスミュージックを聴くに至るまでには高い壁があるような気がしています。

また、先程少し触れた風営法の実態も、様々な音楽に出会う機会を減らす要因であると考えます。70年以上も前に制定された法律が、改正されたとはいえ、今でも大きな制限をかけていることは、理解の範疇を超えます。(高度経済成長の時代から変わらず同じ考え方で進んでいることも伺えます。企業や政治の体系が変わらないのも、日本が後退の一歩を辿っていく要因なのかなと。)
クラブを規制する風営法の実態など事細かく知っているわけではないので、気になった方は調べてください。
ともあれ、日本国内での音楽を聴く環境についても良いとはいえない現状です。と、同時に、今クラブで良い音楽を聴けるというのはとても嬉しいことだし、後世に残すために行動を起こしていくべきだと思っています。

少し海外のクラブ文化に注目してみます。
例えばドイツでは、テクノは重要な文化として、ベルリンにあるクラブ ベルグハイン(Berghain)を文化施設に認定しました。週末は三日間ほど休むことなく音楽は鳴り続け、多くの人が足を踏み入れます。
あらゆる人種・性別・思想の人が音楽を通して同じ場所にいること、そして交流することは、多くの社会問題に抵抗する一つの在り方でもあると思います。

また、ウガンダで主催フェスを行うアーティストコレクティブNyege Nyegeは、東アフリカでエレクトロミュージックの大きなムーブメントを起こしています。東アフリカの小さな一国に、多くの人間が集まり、人々が繋がり合っていく。そこには、自由と希望があり、多くの可能性が感じられます。

どんな国の内部事情をみても必ず問題はありますが、その中で如何に工夫して行動を起こしていくかがとても重要な気がします。


パーティー自体の思想
先に述べたように、日本国内におけるクラブシーンが前進していくには様々な壁が存在します。しかしながら、多くのアーティストが試行錯誤を繰り返し、素晴らしいパーティを作っています。
そんな中、ここ最近で目をひくパーティや集団を例に挙げて、意見を述べたいなと思います。

THE M/ALL
まず挙げたいのは、昨年WWW / WWW X / WWW β / Gallary X by PARCOで二日間に及んで行われた都市型フェス THE M/ALL 2019
個人が個人であること、そしてその個人はこの国で音楽やアート、ファッション、文学などの文化と共に生きていること、私たちは他人事ではなく自分事化してこれから生き抜いていかなければいけないことに改めて気付かされます。
フリーイベントだったこのパーティはのべ2000人を超える多種多様な人間が来場しました。これらの人々がステートメントを読んだという事実は、大変有意義なものだと思います。


プロテストレイヴ
続いて挙げたいのは、プロテストレイヴ
第二回目が2020.01.12 つい最近行われましたが、第一回目の方が個人的にはしっくりきました。その理由についても少し触れたいと思います。
レイヴに関する説明や歴史は詳しい記事がちらほらあるので探してみてください。
プロテストレイヴは、Mars89さんとyayhelのメンバーである篠田ミルさんが中心となり行なっているサウンドデモで、ステートメントは以下の通りです。

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プロテストレイヴの始まりや、主催の想いなどは、SNS(Mars89 / 篠田ミル)やi-D Japanさんの記事などに詳しくあるので、そちらも是非読んでいただきたいなと思います。

それを踏まえた上で思うのは、使命的なものを感じさせられるなと。
音楽を手段・きっかけとして、自らを行動で示すという行為は、続けていくことに意義があると思います。
しかし、こういったデモは、参加する人も通りかかった人も含め、良くも悪くも意図しない人間がたくさん来ます。このデモにいる人間を、大きく主催側・参加者・通りかかった人の3つに分割すると、その三者の中では音楽・プロテストレイヴ自体への意識には大きな乖離ができていると思われます。
特に主催側と通りかかった人では、はじめのほうに述べたように、音楽に対する考え方や思想が大きく異なり、その乖離はまたさらに別の偏見が生まれてしまうきっかけになるかもしれません。
一般的にデモというと、ある意見を集団で叫び行進するようなイメージを持つと思います。実際そういったデモを間近で観たとして、なんのデモなのか、なにを主張したいのかがある程度認識できますが、音楽とダンスによる抵抗は一見なんの主張なのかはわかりにくいかと思います。
先日行われた第二回目のプロテストレイヴでは、主催団体が3つあり、それぞれの主張が混じり合った結果、悪い意味でめちゃくちゃになっていたのかなと感じました。

また、音楽(問題に対する抽象的な問いかけ) × 踊る(身体的な自己の行動) = 主張という構図は、確かに納得できるし、自己肯定や声を上げるというきっかけとしては凄くとっつきやすいものだなと感じました。一方で、音楽や踊るという行為に慣れていない人たちにとっては、飛躍しすぎた考えなのかなとも思います。
ただ大きな音が鳴り響いて、目に止まった"だけ”では本質の部分が伝わらずに、参加者の満足感だけが先行したままになってしまうのではないかなと危惧する所もありつつ、本質が広がりさえすればとても大きな前進になるとも感じます。本質の部分をどう伝えていくか、言葉ではなく音楽という選択をした中で、工夫のしかたは沢山あるのかなと思います。


CYK
パーティそのものではないですが、4人組のDJコレクティブ CYK も例に挙げたいと思います。CYKについてもいろんなインタビューや記事があると思うので、そちらを参考にして調べてみてください。
以下の先日年明けにSNSで投稿されたあけおめポストに綴られた2つのメッセージは、とてもいいアプローチのしかただなと思いました。

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ステートメントもさることながら、ディスカウントの撤廃はこれまでの日本のクラブへのアンチテーゼでもあり、ステートメントを実現するにあたって欠かせない要素でもある、素晴らしい試みだと感じました。


3つ例に挙げましたが、それぞれがそれぞれの手法を使いつつも、目指すべきパーティは同じだと思います(きっと)。自由と平等、そして誰しもが尊重され楽しめる空間を作ることは永遠のテーマなんじゃないかな〜。


クラブシーンの行き着く先と希望
現行のクラブシーンがどうなっていくのか。
様々な社会問題に対して、いち早く反応するアーティストやDJたちは、すぐさま行動を起こし、それを音楽という手段を使って世間に問いかけていく。そのサイクルのスピードは更に増していくはずだし、パーティ自体も増えていって欲しい。いろんな問題は孕んでいるとしても、一つ一つに音楽による答えは示していけます。

その結果として、表現の自由によるあらゆる差別や社会問題への抵抗が一つのパーティとして形となり、安心して楽しんでいける世の中になっていくのがとても理想だと思っています。

しかしながら、そういったシーンでの音楽や、考え方・思想はあくまでもマイノリティーだと思っています。マイノリティーであるということは絶対に忘れてはいけない。その上で、どうメインストリームの中に組み込んでいけるかが鍵となると考えています。

つらつらと書き綴ったけど、なんだかんだ自由で安心できるパーティで楽しくしていたい〜〜〜〜〜〜〜〜!がベースにはあるので、ひたすらに良いパーティに行きたいし良いパーティを作りたいな〜パーティ!!
そんでもってこの記事をきっかけにパーティに足を運んでくれるひとがいたらそれはまたとても嬉しいです。

言葉足らずだったり、情報が少なかったりすると思いますが、勘弁〜!!



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