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水たまりに突っ込んだくらいの趣味

駆け出しのライターとして出会ったメンバーたちが、毎回特定のテーマに沿って好きなように書いていく「日刊かきあつめ」です。

今回のテーマは「#ハマった沼を語らせて」です。

あまり沼にハマることがない。もちろん、好きなことはあるのだけれど、それが沼にハマった状態かと言われると、そんなことはない。だから、沼まではいかなくとも、水たまりくらいには足を突っ込んだかしらと思うことを書いてみようと思う。

私は、「趣味は何ですか?」という質問が苦手である。以前、初対面の人に質問されて正直に答えたら、「よく聞くなあ、その回答、どこかから持ってきたんだろう」ぐらいのつまらなそうな反応をされたことがある(こいつとは二度と会わないと決めた)。ちなみに、読書とヨガである。これで広がらないのなら、そもそも、私と合わないのだ。

始めて行った美容室で、美容師さんが「趣味は何ですか?」と質問された。ドライヤーの音で聞き取りづらかったのが一回目、二回目に聞き取れて面倒だなと聞こえないふり(嫌な奴)をしていたら、その後、何度も聞かれたので答えた。別に広がることはない。それもそのはず、こちらは、それ以上広げられないように答えているのだ。三回目で質問を変えてみるくらいの機転は持っていてほしい。

以前、少し仕事が立て込んで、なんとなく気持ちが忙しなくなっていた時、気分転換が苦手なことに気が付いた。割と思いつめてしまうのである。このままではまずいと思い、積極的に心を休ませる時間を持とうと決めた。一番は、人と話したり、出かけたり、自然の中でぼーっとすることで気分転換することが理想なのだが、いつもできるわけではない。一日の流れの中で簡単にできることを探した。私の「趣味」探しである。

雨の日でも風の日でも雪の日でもできる、つまり家の中で、一人でもできる、たとえ時間がない時でも短時間でできることはなんだろう?という視点で探してみた。……前に読んだ本の中で、みじん切りという回答があったな。料理を丁寧に作るとかもあった。頭がすっきりしたと感じるのは、何かに集中した時だな、であれば何だろう?と考えた結果、手芸がよさそうだなと思った。

さっそく、手芸用品の専門店、ユザワヤへGo!である。手芸の世界は奥深い。店の至る所に手芸用品が所狭しと並んでいる(当たり前である)。様々な簡単手作りキットがあったり、「へえこんなものまで手作りできるのか」と驚いたり、あっという間に時間が過ぎた。結局、私が買ったのは、水引と毛糸とかぎ針である。水引は、ピアスを作りたいなと思ったからで、かぎ針は、黙々と編み物に挑戦してみようかと思ったからである。期待に胸は高まった。……よ、ようし!

あれから、一か月くらいが経過した。

そう言えば、買ったはいいけれど、最近遠ざかっているな。買って満足しているのは、いつものことだな。あ、思い出した。昔、一念発起して作ろうとした蛙ちゃんのあみぐるみは、片腕も完成しないくらいで断念した。だけど、あの子が我が家で長きにわたり我らを癒してくれるのは、仕上げというか、全行程を母が引き受けてくれたからである。うーん。

……いいのいいの、「趣味」なんだから。

文:彩音
編集:アカ ヨシロウ

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