記事をシェア「AIロボットが話し相手に」

北東アジア諸外国では、そんな“親と子”を取り巻いた問題にテクノロジーが介入し始めている。例えば先頃、中国・武漢市に新設された保育施設・爱满荆楚保育園には、「留守児童」のための、AIロボットおよびシステムが導入された。

留守児童とは、親が仕事や出稼ぎに出かけてしまい、自宅でひとり取り残される子供を指す。「統計によると中国には7000万人ほどの留守児童がいる」(中国・ロボット業界関係者)そうで、中国を代表する社会的問題になっているという。

爱满荆楚保育園に導入されたAIロボットには、音声・感情認識機能が搭載されていて、子供たちの声や声紋から孤独感や抑うつ、焦りなどの感情を察知することができるようになっている。適切な感情を読み取った後、ロボットは子供たちの話し相手となる。

親が家にいない留守児童は家庭で話す機会がどうしても少なくなってしまうが、適切なコミュニケーションをとることで心理的なガス抜きの役割を担うというのだ。すでに、ロボットと会話をするようになってストレスが軽減され、成績も良くなった留守児童もいると報じられている。

一方、韓国では通信大手・KTが展開する「AI育児サービス」が好評を得ている。AIとARを駆使したサービスには、数学や英語、トイレトレーニング、歌とダンスなど、さまざまな事柄が学べるプログラムが提供されている。

ロイター通信の取材に答えた韓国の主婦は、「子どもがひとりでいる時間が多いのですが、AIが母親の役割を一部にない、友達のような役割もしてくれる」と利用した感想を語っている。

ひとつの選択肢として

それらテクノロジーは、虐待を防ぐツールにもなりうるだろう。中韓のサービスは、「いかに親が注ぐべき時間と愛を自動化するか」という点に着目されているが、それは裏を返せば、親が精神的ストレスから解放される時間をつくることにも繋がりうるからだ。

「機械に子育てをまかせるなんて」と異論も噴出しそうだが、親の時間がますます失われていく現代社会にあって、虐待をなくし、親と子の適切な関係と距離を維持していくための手段は限られてくる。上に紹介したアイデアやサービスも完ぺきではないだろう。それでも、テクノロジーの力を借りるというのも、ひとつの選択肢になりうるのではないだろうか。
文=河 鐘基 forbes Japan

#AI #育児 #シェア

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