見出し画像

一番好きなアルバムの話をしたい──スピッツ「さざなみCD」

音楽的な知識の全く無い大学生が、自分の趣味について語るだけの文章置き場を作りました。基本的には、Twitterの140文字じゃ足りない! 語りたい! みたいなことを書く場所にしたいです。好きなCDや行ったライブの感想などなど。ほぼ備忘録的な自己満足ですが、よければ気長にお付き合い下さい……。

本稿はその一発目です! めでたいね。
最初に相応しいのは何だろうか、自己紹介とか自分の音楽歴とか? 何について書こうかと悩んだけど、これかなと思った。

一番好きなアルバムの話をしたい。

全アルバムを聴いたアーティストなんて両手くらいもいないけれど、各アーティストに一番聴いたアルバムがそれぞれある。ミスチルなら「SUPERMARKET FANTASY」、ユニゾンなら「Populus Populus」(ミニアルバムを含めていいなら「流星前夜」かも)、スカパラなら「Walkin'」、セカオワなら「ENTERTAINMENT」、サカナクションなら「sakanaction」などなど。狭く浅くながらもいろんなアーティストを聴き漁ってきたけど、一番聴いたし、一番好きなアルバムは不動で1つだ。それについて、つらつらと書き並べていきたい。


今から遡ること約10年、私はスピッツというバンドを知った。厳密にはその名を初めて聴いたのはきっと歌番組だっただろうし、有名な曲なら耳にしたことくらいはあったと思う。しかし、私が明確にスピッツを認識し、それと同時にハマったのは中学生になった頃だった。ラジオから流れてきたある1曲に心撃たれたのが始まりだ。が、今回のアルバムとは関係ないので、今回は割愛します。が、きっといずれまた書きます。

そうしてとある1曲からスピッツにハマり、少しずつアルバムを集めていた(といっても親に買ってもらっていたんだが)。好きな曲が入っているアルバムから選んで買っていったから、最初はCYCLE HITSを2枚買ってめちゃくちゃ聴き込んで、そのあと「ハチミツ」か「空の飛び方」を買ったかな。

そうして集めていく中で、私は衝撃の1枚に出会った。

スピッツ12枚目のアルバム、「さざなみCD」だ。

https://spitz-web.com/discography/album-12/

2007年10月10日発売、13曲入り。
私が手にしたのは発売から4年ほど経った頃ではなかっただろうか。だから、リアルタイムでの評判やタイアップは全く知らない。手にした当時の私は、中学2年生。このアルバムとの出会いが、私の音楽人生を大きく変えたと言っても過言ではない。このアルバムが無かったらスピッツにここまでハマることもなかっただろうし、ライブに行くようにもならなかっただろう。それくらい、私の音楽人生を豊かなものにしてくれたアルバムだ。


もちろん「さざなみCD」がいいアルバムであることは今でも自信を持って言えるけど、今から考えると何がそんなにハマったのかは分からない。他のスピッツのアルバムにも、「三日月ロック」とか「ハヤブサ」とか、好きなのあるし。けれど、元々幼い頃は激しいロックな音楽をあまり聴いてこなかった私にとって、ポップで可愛さのあるこのアルバムの曲たちは、いつまでも聴いていたいと思わせてきたものだった。13曲中12曲は何度聴いても飽きず、無限に聴いていられた。高校時代に愛用していた水色のWALKMANから、通学中に電車の中で何度聴いただろうか。再生回数が見れたら多分一アルバムだけとんでもない数になってるんじゃなかろうか。

スピッツファンが、一番好きなアルバムとしてこれを挙げているのはあまり見かけない気がする(単に私の情報収集能力の低さのせいかもしれないけど)。90年代とか、10年代のアルバムの方が評判というか評価が高いような気がするんだけど……。
そんな一枚ではあるが、私にとっては青春の一枚であり、一生聴き続けるものになると、今なお確信しているアルバムだ。


以下、全曲感想。中学生~高校生~大学生と、約10年の思い出と共にあったアルバム故、思いが重すぎる。

━━━━━━━━━━━━━━━

01. 僕のギター

イントロからギターの音が特徴的な1曲目。ギターの話をしてる曲だから、聴くとギター弾けるようになりたくなる。ただ、私は中学時代に音楽の授業でクラシックギターを持ち、その重さと己の左手の無能さに呆れてそれ以来ギターを手に取っていない。コードとかいうの難しいですね。結局覚えられませんでした。バンドの音楽を聴くようになってからずっとベース始めたいと思っているんですが(スピッツの中では田村のことが特に好きなので)、そもそも楽器って値段が高い! のと、バンドやってくれるような友達がいないのとで購入に踏み切れていません。妹が2人いるので、ギターとドラムやってくれたら姉妹スリーピースバンドができるな、などと思いつつも誰もそれに乗ってくれないので……

話が逸れたが、ギターについてだけで1曲ってすごいな、って。ただ、ギター未経験者には共感とかはあまり無いね。もちろん綺麗でいい曲だとは思ってますよ。

一番好きな歌詞は「ずっと 君を歌うよ おかしいくらい」。他人からすると、もしくは“君”から見ても、君を歌っている姿はおかしいのかもしれない。それでも、それほどの思いが溢れてずっと歌うっていうことは、本当に“君”に対してたくさんの思いがあるんだろうなと思う。ステキね。


02. 桃

2曲目にして個人的ピークの曲。全てが好き。みんながみんな好きになる曲ではないだろうけど、とりあえず全人類に一度は聴いてもらいたい。各種サブスクで検索検索ぅ!

スピッツはFC限定ライブ「GO! GO! スカンジナビア」で「演奏してほしい曲アンケート」を取るんですが、迷わずこれを選びました。そして当日、やってくれた。2018年9月24日、私はZepp Nambaに墓を建てた。ついでに涙も落としてきた。イントロ2音で泣いたね。

桃っていうタイトル、果物のことではなくて、1Aで出てくるとおり「桃の唇」だから唇のことなのかなと思う。普通にスピッツが唇について歌うと多分エロく聴こえるようになる(褒めてる)けど、この曲に乗ってると可愛い感じになる気がする。
全然関係ないけど、ピンクのリップが似合う女の子って可愛いですよね。自分が絶対なれないタイプ故に憧れる。仕方ないので私は赤リップの女として生きていくわ。

色々と想いが詰まりすぎている曲ですが、曲も詞も好き。特に詞だと「つかまえたその手を離すことはない」というフレーズが好きすぎて、高校時代にLINEのひとこと(今や死語?)に登録していた。クラスメイト2人から「あれスピッツの歌詞だよね!」と声を掛けられ、クラス内にスピファンを見つけるきっかけにもなった。同年代にスピッツのファンってそんなに多くないからめちゃくちゃ嬉しかった記憶。
あとは、この頃付き合っていた彼氏が奥手オブ奥手で、「手繋いでいい?」と言うまでに数十分、そこから手を繋いでくるのにさらに数分かかるレベル(ちなみに通学時間は40分ほど)だったので、それを揶揄したひとことにしていたのもある。うわ、自分で思い出して甘酸っぱい。元彼とカラオケ行って、目を見ながらこの曲を歌った記憶もある。うわ、甘酸っぱい。ちなみに元彼にさざなみCDは貸したことがある。当時から私は自分の好きなものを布教したかったのね。どれくらい刺さったのかは今でもわからないけど……。

そんな思い出もありつつ、今でも本当に好きな曲だ。「つかまえたその手を離すことはない」に続く歌詞が、「永遠という戯言に溺れて」。永遠を「戯言」と言い切り、永遠なんて存在しないとしつつもそこに溺れたい、と言う。
「いつかは終わりが来ることも 認めたくないけどわかってる」(花の写真/スピッツ)にも通じるものがある気がしてならない(ちなみに「花の写真」は2010年発売のアルバム『とげまる』収録だから、リリース順で言えば「桃」の方が先になる)。
草野正宗の書く歌詞からは達観したような、それでいて現実を見ているようなところがあるように思える。永遠など存在しない、という誰しも頭のどこかで知っていても理解したがらないことを、あえて直接的にこちらに投げてくる。ある意味で残酷だとも言えるんじゃなかろうか。

そして2番では「他人が見ればきっと 笑いとばすような よれよれの幸せを追いかけて」と歌う。幸せを形容する言葉として“よれよれ”って聞いたことない。ささやかな幸せ、とはまた違うんだろうな。
人に羨まれるような生活ではないけど、自分にとっては幸せなもの。そういう生き方をしたいものです。

うわあ、めちゃくちゃ長くなってしまった。それだけの重い思いが詰まってるんです……。
単にメロディーとタイトルが可愛い曲、でありながら歌詞について考え始めると色々考察できる。1粒で2度美味しいタイプの曲だと思っている。


03. 群青

【MV】https://youtu.be/13jH7X4aKi8

この曲はMVが可愛いのでぜひ見て欲しい。大宮エリー監督、アンガールズ出演。ウサギのコスプレをしたアンガールズを見てみてほしい。ウサギのアンガールズと戯れるスピッツ4人、しかも謎に王冠を被って演奏している、というほのぼのした映像を見て。きっと和むから。

ちっちゃい話だけど、タイトルもそうだし、1サビラストが「青く染っていくよ」と“青”がテーマになっているのがとても好き。なぜなら名前があおいだから。単純明快〜!
それだけじゃなくて、普通に「青く染っていくよ」の部分は声に出したくなる楽しさがある。コーラスも入ってて音が綺麗なのね。

あと、この曲、「鳥を追いかけて 裸足で駆け出す」って歌詞があるんだけど、このあとの曲でも鳥を追いかけてるのね。鳥=空、と、海と、どちらも青だなって。まあMVの海の画面に囚われている感は否めないけど、やっぱり海感がある。その上に鳥という空感が加えられて、青さが強調されている、と思う。


04. Na・de・Na・de ボーイ

タイトルからしてちょっとエロい感じがするけど、さらっと聴いている分にはあまり分からない。歌詞を読み込めばいくらでも妄想できそう()

音で言うと、イントロで左→右に駆けていく音(?)がすごく好き。専門用語が分からないし多分いくら言葉で言っても伝わらないと思うので、ぜひサブスクで探して聴いていただきたい。なんか耳の奥が擽ったい感じがして、この曲への期待感が高められる。

冒頭の歌詞「彼女は野生の手で」の時点で全然意味がわからない。野生の手って何? というかタイトル「Na・de・Na・deボーイ」からよく分からないよ。歌詞中ではカタカナ表記で「ナデナデボーイ」になってるし。ナデナデしてるボーイの話なのか、ナデナデされてるボーイの話なのか。野生の手の彼女のことを考えると多分後者なんだけど。

サビの最後「流れ星見えた」でポーズを取りたくなっちゃうのは私だけでしょうか。

あとは、地名が入る曲ってあんまり多くないから、気になってしまう。「明大前で乗り換えて 街に出たよ」って言われても、行ったことないからピンとは来ないんだけど。昔、明大前が実家最寄り駅の友達がいたな。そろそろ卒業のはずだけど元気かな。


05. ルキンフォー

【MV】https://youtu.be/cyQckfvFcXI

シングルだったらしい。けど、もちろん当時の私は知らなかった。CMソングだったみたいね。
こんな言い方したらアレだけど、このアルバムの他の曲よりは“普通にスピッツ”って感じがする。王道っていうか、世間の人がイメージするようなスピッツ、って感じの曲。タイアップ曲と聞いて納得する。
それ故に、なんか普通だな、と思って個人的推し曲にはなっていない。他の曲に思い入れが強すぎるんだけどね……

そんな中でも、個人的に刺さった歌詞がいくつかある。「めずらしい生き方でもいいよ」っていうのが一番好きな部分だ。ちょっと人より遠回りして変な生き方をしてきた私にとって、今となっては沁みるなあ。こういうふとした瞬間に、自分を肯定してくれるような言葉があって、そういうのに救われてきた。スピッツはそういう歌詞を大げさにではなく、さらっと歌うからこそ、心に入ってきて肯定してくれる気がする。


06. 不思議

「桃」の次に好きな曲。
スピッツらしい、よく分からない歌詞だと当時から思っていた。「恋の不思議」と「生きた証」を連続させるサビ。この2つの関係性は? 同列? 対比? など色々考えたけど、よくわかんないや! と考えるのを放棄した。
昔カラオケで歌ったことがあるけど、男女が海辺でキャッキャしてるイメージ映像が無理すぎて、それ以来歌ってない。MVが無い曲は自分の脳内でイメージ映像が作られちゃうからね、他人の作ったものを見ると拒否反応を示してしまう。良くない癖ね…………

歌い出しの「目と目で通じあえる 食べたい物とか 今好きな色は 緑色」までは情景が浮かぶ(仲良くて長続きしてるカップルとか、気が合う友達とか? 以心伝心的な)んだけど、そこに続く「雨上がり」が未だによく分かってない。雨上がりだから緑色が好き、ってこと? そんな天気で好きな色って変わる? と、中学生から今までずっと考えてる。ちなみに私の好きな色は生まれたときから青色です。理由は名前があおいだから。単純明快〜!

サビの「君で飛べる 君を飛ばす」は思春期の幼心(語義矛盾か?)に、なんかエロいことの隠喩か? などと考えていた。真相は分からないし、知らなくていいけど、一度そう考えちゃうとそれ以外の可能性が考えられなくなってしまった。なので多分これはそういう意味なんだと思います。全然違ったらごめんなさい。

サビラストの「はぐれ鳥追いかけていく」についてはずっと考察してる。時々考察サイトみたいなので他人の考察を見るけど、結局しっくりこなくて自分で考えようと思うんだけど、やっぱり無理で今に至る。どういう意味ー!
上述の「群青」にも鳥を追いかける、という歌詞があるけど、そことの関連性は分かってません。すごく適当なことを言うと、はぐれ鳥を君に見立ててるんじゃないかとは思ってる。追う恋ですね。全然関係ないけど、中学時代に通っていた塾の塾長が授業で、「勉強に追われてはいけない。追いかけるんだ。恋は例外だ。追う恋をするな、追われる恋をしろ。」と言っていたことがある。未だにその真意はわからない。当時の同級生と時々思い出しては議論するけど、まあ答えなんて無いんでしょう。どういう意味なんだ、マジでわからん。

まあ、歌詞の意味なんて分からなくてもずっと好きなんだなあ、と思いながら聴いている曲だ。スピッツって、そういうのが多い。なんかよくわかんないけど好き。田淵がよく言ってるやつね。共感する歌詞よりも、意味はわからなくとも曲に乗っていて耳の心地が良い歌詞。

2番サビの「セットミーフリー」の意味が中学生当時の私は分からなくて、一生懸命英和辞典で探した記憶がある。お陰様で辞書で成句を調べる方法が身についた。結局何だったかあんま覚えてないんだけど。setが動詞でmeが目的語でfreeが補語? SVOC型か? 私を自由にする、みたいなことか? などと、英語を勉強しなくなって久しい文系大学生がてきとーなことを言うておる。恋はフシギで、自分を自由にしてくれるようなものだ、ってことかしら。知らんけど。まあなんでもいいや。

ラスサビでは「恋のフシギ 恋はブキミ」と、ここまで使ってなかった「ブキミ」という言葉を出している。このふた言で、“恋”っていうものを言い表せるんじゃないかと思える。不思議で不気味なもの。
まあ、恋ってなんなのかは私にはわかんないけどね。そういうのから遠ざかって久しいので。


07. 点と点

イントロでテンションが上がってしまう。ライブでもイントロ一小節でめちゃくちゃ興奮して、隣にいた妹に「さざなみCDの曲! ねえ! さざなみCD!!」と叫んでしまった。さざなみCD、やっぱ好きすぎるんだよなあ。

このアルバムでは珍しく、ロックな感じ。マサムネの歌い方もちょっと挑戦的な感じがする。ライブで映えるね。﨑ちゃんのドラムがよく聴こえるし。

でも、サビに入ったら曲調が変わって、やっぱりポップで可愛い感じがある。「まっすぐに君を見る」っていうストレートな言葉を使いながら、「ナナメの風ん中」と、角度を感じさせてくる。

最後、音が無くなった中で「一緒に行こうよ」って締めるの、ホンマそういうとこやぞ惚れてまうやろって感じです。一緒に行こうよって言われたい。割と誰にでも言われたいわ。は?
あとここは「よ」の抜き方が好き。書道で言うところの終筆(書道で言うな)。文字では表せないけど、よォ-… みたいな感じ。めちゃくちゃ好きなんですよねー、ここのマサムネの声が。憂いを帯びた声質がめちゃくちゃ刺さる。最後まで聴いた人にだけ聴こえる、小さなご褒美みたいな感じがする。好きー!!


08. P

1個前の「点と点」とはうってかわってゆったりした曲。時間の流れ方が全然違う感じになるね。
音楽的なことは本当にわかんないけど、Wikipedia先生によるとローズピアノなるものの音が基調らしい? 全然分かんない。そういえばピアノは小5で挫折したんだった。左右の手で全然違う動きをするのが無理だったんです。

「君はお天道様」っていう言葉、なんか既視感というか既聴感(?)があったんだけど、『君は太陽』(スピッツ/アルバム「とげまる」収録)と言ってること一緒なんだよね。まあちゃんと聴き比べたり考察したりはしてないんだけど。
そのうちなにか閃いたらまた長文で書きます。

09. 魔法のコトバ

【MV】https://youtu.be/gPTFyx2R46w

「桃」、「不思議」の次に好きな曲。個人的にはこの3曲はさざなみCDの三大傑作だと思ってる。
これもシングルだったらしい。Wikipediaで知ったけど、ハチクロ映画の主題歌だそうで。ハチクロ全然見たことも読んだこともないんだけど、その情報だけで甘酸っぱいな〜と思わされるね。青春ソング!

サビの歌詞が青春の甘酸っぱさ全開。「魔法のコトバ 二人だけにはわかる」って。2人にしかわからない言葉とか共通言語とか合言葉? 高校生カップルがやってたらめちゃくちゃ可愛くないですか? 初々しいカップルって、2人だけの世界を作りがちじゃないですか。
“二人だけ”といえば、スピッツだと言わずと知れた名曲、「ロビンソン」ですね。誰もさわれない二人だけの国。そこの言語が魔法のコトバなのかなー、なんて、結びつけて考えちゃう。

ラスサビの最後が切ない。
「また会えるよ 約束しなくても 会えるよ 会えるよ」
そこまでのサビ終わりは「また会えるよ 約束しなくても」なのに、最後には「会えるよ 会えるよ」と付け加えて、しかも繰り返している。これって、また会えると自分に言い聞かせてる感じで、多分会えないけどそうしないと生きていけないってことなんじゃないかなと。約束しなくても会える人なんてなかなかいないような気がするし。


10. トビウオ

この曲も歌詞の一部をLINEのひとことに登録してました。「うれしいってもっと素直に言えたなら」という部分。昔から見た目のせいで冷静だとかクールとか言われるおかげで、割と感情が見えにくいまま過ごしてたから、この詞にはハッとさせられた。それから嬉しい感情は出すようにしてるし、親しい友人には、私は全身から感情が溢れてる人に見えてるんじゃないだろうか……(笑)

曲は、イントロからギターとドラムがよく聴こえる。というか、ギターとドラムは聞き取れるけどそれ以外の楽器はよくわかんないから聴こえるとかジャッジできないんですけどね。イントロ数秒聴こえただけで体が動き始める。テンション爆上げ。落ち着いた曲が続いたところにこういうテンポ早めのが来るとまあ楽しくなっちゃうね。

歌詞で言うと、サビ終わりの「替わりがきかない 宝を取り戻せ」は、なかなか心にくるものがある。この次には「君を」と続くから、宝=君、なんだろうけど、自分にとって替わりがきかないものってなんだろう、なんて考えちゃうね。単に自分の大切なもの、というわけでもなく、“取り戻せ”だから一度失ったものなんだろうな。
なんだろう、青春とかかな?(ふわっとした概念としての青春だから、正直自分でもあんまりわかってない)


11. ネズミの進化

冒頭で「13曲中12曲は無限に聴ける」と書いたけど、そこに含まれない1曲。なぜかこの曲だけは好きになれなかった。なんならこの曲だけ飛ばして聴いていたレベルだった。
もちろん、今聴くと全然問題なく聴けるから、当時の自分の気持ちはよく分からない。
けれど、なんかイントロが流れた時点でスキップを押して次の曲にしていた。
ネズミっていうものが個人的にあまり好きじゃないからか、イントロが好みじゃないからか、和音の都合(?)でちょっとファニーに聴こえるからか? まあ色々あったんだろう。聴き進めると全然そんなことないのにね。単純に自分の理解不足のせいである気がしてならん。

「目覚めたネズミ」という表現を使って、“進化後”のネズミを歌う歌詞だ。目覚めたネズミが何を指すのか、なんてことはわからない。というかこれまであまりちゃんと聴いてこなかったからなんだけど。
とはいえ、主題をネズミにしようと思いつくのが普通じゃないし、しかもネズミの進化に注目してるし、進化といってもいわゆる人類の進化みたいなのとは違ってどちらかといえば成長って感じだし、そういうチョイスのセンスみたいなものをとても感じる。さすがマサムネ、さすがスピッツ。


12. 漣

まずタイトルから格好いい。漢字一字で、訓読みで、4文字。さざなみ。意味も格好いい。小さな波、みたいな意味らしい。格好いいね。

この曲にも鳥が出てくる。「なぜ鳥に生まれずに 俺はここにいる?」
なかなか持つことの無い疑問ではなかろうか。とはいえ、鳥になりたいと思わなくはないけど。サビで「翼は無いけど」と言っているから、鳥になって翼を手に入れたいんだろう。ここにも空と海と波、というものを感じる。

サビのメロディーがめちゃくちゃ好き。可愛さを感じつつも、切なさを含んだような。繊細な感じ。
……うーん、どれもしっくり来るようで来ないなあ。己の表現力の無さに悲しくなる。一度聴いてみてとしか言えないな……

2サビの「現を見つつ 夢から覚めず」って表現がとても好き。メロディーとも相まって、切なさと美しさをこちらに届けてくれる。素敵だなあ。
現実を見つめながらも、夢の中にもいたいという相反する気持ち。色んな場面で色んな人に当てはまるんじゃなかろうか。
ちなみに割と現実から目を背けて生きている私にとってはちょっと耳が痛いわ。世の中の闇や大人社会の汚さとか直視できない。社会に出たらきっと必要になるのに。でも、そういう私の考え方もアリじゃない? と思わせてくれる歌詞だ。

ラスサビの「匂いがかすかに 今も残っているこの胸にも」は心がキュッとなる。
ちなみに本当にどうでもいいんですが、私は視力と引き換えに嗅覚が鋭くなったので、他人より匂いに敏感です。結構自信あるレベルには鼻が利きます。知人を匂いで覚えている節があり、懐かしい友人とか元彼の匂いを街で見つけるとキュッとなるし同時にこの歌詞を思い出す。


13. 砂漠の花

先述のFCライブ投票でかなり上位だった曲。好きな曲ではあるけど、皆がそんなに好きなものだとは思ってなくてビックリしたゴースカの思い出。マサムネはそのライブのMCで「キー高いからあんまセットリストに入れてなかったのかもね」みたいなことを言っていた気がする。ぜひまた思い出したようにセットリストに入れて聞かせてほしいなーなんて思います。

ここまで海とか波とか、水を感じさせる歌詞や曲名が多かった中で、突然の砂漠の登場。ちょっと不思議だし驚きもあるね、なんとなく。

「君と出会えなかったら モノクロの世界の中」
これはいろんな時に感じる。私にとってはいろんな“君”がいるんだけど、スピッツももちろんそのうちの1つだ。“君”が私の世界を彩ってくれる、色を与えてくれる、なんてよくある言葉かもしれないけど、本当にそう思うんだ。

そしてこの曲、このアルバムは、「砂漠の花の 思い出を抱いて ひとり歩いていける まためぐり合うその時まで」という言葉で終わっていく。
この曲、そしてこのアルバムを聴いた人に対して、生きていくようにと言われているようだ。

このアルバムあたりから、スピッツのアルバムのリリースペースは3年に1枚に落ち着いていく。次のアルバムが出る時まで、このアルバムを聴きながら元気でいるようにと背中を押されているような気がするのだ。
そうは言いつつも、スピッツは毎年必ずツアーをやるし、対バンイベントを3都市で開催している。そういう定期的な活動もやっているから、そこで会うまで、という意味も含んでいるかもしれない。
そうやって、リリースがない期間や会えない間もしっかり生きるようにと、励まされてこのアルバムは終わっていく。「その時まで」の歌い方が切ないのだが、私たちは彼らがまた絶対に曲を出す、会いに来てくれることを知っているから、不安にはならない。

さざなみCDを聴き終わる頃にはいつも、私はこのアルバムと共に、しばらく生きてみようと思うのだ。

━━━━━━━━━━━━━━━

さて、以上、全曲感想でした。
思い出と歌詞解釈とその他諸々、って感じでごちゃついた文章ですね。マジでただの自分語りね…… ここまで我慢して読んでいただいて本当にありがとうございます。今後もこんな感じでぬるっとした文章を置く場所としてここを活用していく所存です。

このアルバム、発売は2007年だから私は10才なんですよね。でも、当時に出会わずに、ある程度日本語力がついた中高生になってから出会ってハマることができてよかったと心から思ってます。スピッツって歌詞が難解だし、一聴どころか歌詞カード見てもよく理解できない。それを、何かを探すように歌詞カードを貪るように読んでいた日々を思い出します。歌詞カードのフォントが独特で今でも記憶に残ってる。ぜひ手に取れたら見てみていただきたい。
こないだ「歌詞派? 曲派?」っていう話を某ラジオで聞いたけど、私はわりと歌詞派なのかなーとこの一連の文章を書いてみて思いました。歌詞に意味を見出そうとしてしまうことが多いかも。まあ、わかんない! と投げ出すことも多いんだけど。

私が最初にハマったバンド、スピッツについて話したい、知ってもらいたい、特に一番好きなアルバムを勧めたい、という思いでひたすら書いてきました。
スピッツは去年のいつからかサブスクで全曲解禁してるので、よければ「さざなみCD」を検索して聴いてみてほしいのです。私の青春の一枚と呼べるアルバム。一度聴いてみて、気に入ったらあなたは私の同士ですわ。気に入らなかったら他のスピッツのアルバムを勧めます。
ぜひ! よろしく!!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?