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大人の着る病みカワ服(KIDILL)

最近になってKIDILLの洋服をよく着るようになりました。

KIDILLは2014年にデザイナー、末安弘明氏が設立したメゾンです。

名前の由来は「KID(少年)」と「ILL(不安定な精神」を組み合わせた造語。

その名前の通り、少年がストリートで格好良いと思うような文化(パンクやスケートボード、グラフィックアートなど)をベースとした作品を数多く制作しています。

特にファッションに於いてはVivienne Westwoodに影響を受けたと公言されており、パンクの要素を組み合わされたものが非常に多い。

思春期に誰しもが抱く不安や理不尽を少し病的に表現した世界観を表現しているものが多いと思っている。

とても興味深いメゾンです。

個人的に私はパンクファッションが好きです。

それはVivienne Westwoodのクリエイションが好きだという事に繋がってしまう。

しかし、パンクファッションというものは既Vivienne WestwoodとSid Viciousによって完成されたものになっている。

シド・ヴィシャスが活動したのが僅か3年にも満たないが故、パンクファッションというものはバリエーションが少ないが故、完成されたものになってしまった。

しかし、パンクという音楽は残り続けたが故に現在までその精神的な要素は受け継がれ、それを愛するファッションデザイナーが要素として取り入れているという現在の状況が作り上げられている。

故に、パンクファッションをそのまま打ち出すメゾンもあるが、そうするとデザインが画一化されてしまい、商業的には根強いファンだけを相手にするしかなくなり、結果的に先細り、規模をどんどん縮小するしかなくなっていく。

かつてのSEXY DYNAMITE LONDONなどがいい例だと思います。

そして、現在でもパンクファッションを愛好する人はごく少数である上に、音楽としてのパンクが流行の兆しがないが故に、需要としても少ないのでしょう。

パンクファッションは消滅はしないものの、決して大ブレイクすることも無いのです。

しかし、それを進化させて行ける存在というのがKIDILLだと感じています。

前述したようにパンクファッションの永遠のアイコンはシド・ヴィシャスです。

元祖パンクのベーシスト。

ベースは弾かない、ステージ上でも暴れまくる、ドラッグは当たり前という存在。

その精神の不安定さにフォーカスして更に深化させているような印象がある。

その精神的な部分を掘り下げて行く事は実は非常に現代の社会の状況にマッチしている。

その大小はあれど、皆が様々な事で思い悩んで抱え込んでいるという現代。

その精神状態を可視化させるという意味でとても優れたクリエイションをしているメゾンだと感じています。

このメゾンのことを知ったのは、DIR EN GREYの京さんがキッカケでした。

昨年のバンド25周年のツアーでKIDILLのチェックのワンピースを着用されていたのを見て、とても面白いと感じて調べたのがキッカケ。

「病みかわいい」なんて言葉が用いられるようになって久しいですが、これを見た時に病んだ状態が非常に強い印象を受け、その歪な美しさが面白いなと感じました。

そうして探していると運良くショップが京都にもあり、実物を見に行った所アイテムは少ないものの非常に面白い展開をしているのが目に留まりました。

このショップに入った時、それこそ自分がファッションに関して興味を持ち始めた頃を思い出しました。

元々、ファッションに関してはミュージシャンの装いから興味を持ち始めた自分としては、気になるものは一般的にはかなりアヴァンギャルドなものが多かった。

普通にJ-POPや洋楽、ジャニーズなどの日本で溢れている音楽を聴いていたら絶対こんな洋服着ない!っていうものばかり。

しかし、そんな洋服を扱っている店に行くと心はトキメくものの、

「これ…素敵だけどどうやって着る…?の…?」

と実際自分が普段着る事を想定して様々に思い悩みながらも、目の前にある服の美しさに抗えず、自分が似合う似合わないを後回しにして購入する。

しかし、それが底抜けに楽しかった。

お金も持ってる額が限られる中で、経済的な事を考えながら思い悩んだのもいい思い出です。

現在でも経済的な状況は変わらなかったりするんですけど…(報酬は入社後平行線なモンで…

しかし、それを年月を重ねた自分が体験できるとは思ってもいませんでした。

よく見ると面白いラインをしていたり、使っている生地が面白かったりと、ファッションを楽しんできたが故の要素も沢山あり、とても刺激的でした。

正直いい大人がこんな服着てるってどうなん?ってなりますが、それが堪らなく楽しい。

そういう洋服って多くの場合ティーンズを意識していたりして、生地や縫製にあまり力を入れていなかったりするのですがそうではないのがいい。

ちゃんと大人が着る事を想定されているのがとても好印象でした。

ま、お値段はとてもいいんですけどね!!!!!!

KIDILLの正面にはCOMME des GARÇONSがあるのですが、そこで普通に同種のアイテム買えますからね。

ある意味で試されている感がハンパないです(笑)

一般的なオシャレな人はCOMME des GARÇONSで買うんだよーーーー。

という声が聞こえてくるんですが、そこを振り切ってKIDILLで買うのは一種の爽快感があります。

幼い頃の夢を大人になってから叶えているような感覚とでも言うのでしょうか?

そしてその壁の高さがまた大人用に調整されているのがズルかったりします。

普通にトータルコーデしたら20万円とか行きますから。

結構なハードルじゃないですか?これ?

しかし、だからこそ面白いのに加え、そのシーズンだけでコーディネートしてもつまらない展開なのも面白い。

だからこそ、気に入ったものだけを購入して自分なりに合わせて行くのが良かったりする。


そういう自由度の高さも個人的には気に入っています。

という訳で他人の金でKIDILLで好きなだけ定期的に買いたい!!!!!!

という欲望が出来たのは精神衛生上もとてもいいと思っています。

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