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ブームの終わり。

先日X(twitter)にこのような記事が流れてきました。

ここ10年近く世間はスニーカーブームでした。

ハイストリートとも言える高価格帯のストリートファッションが支持され、そのメゾンとのコラボスニーカーが高額で取引される事態が常態化。

それに伴い、多くのメゾンがメゾンだけではなく有名デザイナーとも多くのコラボレーションを企画して多くの名作が生み出されました。

そのどれもが一瞬で完売し、市場では数倍〜数十倍で取引される事が珍しくありませんでした。

金額の面で最も注目を集めたのはDiorとNIKEがコラボレーションしてリリースしたAIR JORDANでしょう。

ほぼDiorの顧客だけに販売されたという事で、市場に普通に出回ったものはごく少数であった事もあり、価格が高騰。

リリース直後は600万円近い値段で取引されていたという事が話題にもなりました。

定価が幾らかも殆ど明かされないままでしたが、数十倍になっていたというのは予想に難く無い。

このブームに乗ってスニーカーメゾンは次々と90年代のモデルを復刻販売。

特にNIKEは90年代のハイテクスニーカーブームというものを担った事もあり、当時の人気モデルを次々に復刻。

AIR MAX95に関しては当時の人気カラーのイエローやレッドが高価格で取引されました。

昨今の復刻ブームの特徴は、消費者のノスタルジーを喚起させるものが多いという事です。

当時、青春時代を送った人たちが高額で手が出せなかったものを再び販売する事によって時を超えて夢を実現させようという願望を喚起する事が購買意欲に繋がっている。

恐らく、一般的に価値のある宝石や貴金属よりも、自分が当時手に入れられなかった思い出の物の方が今は価値が大きい。

作品というものに漸く時を超えた価値が出始めているという事なのでしょう。

そして、そのような昔のデザインが見直され、それに触れたことのなかった世代が格好いいものだと思う事から、現在のY2Kブームというものが加速した背景もあるでしょう。

そんな状態が急激に収束したと言うのです。

確かに、レアスニーカーと呼ばれるアイテムは一部のものを除いて価格が数年前に比べて落ち着いた印象があります。

BARENCIAGAやOff-Whiteなどのハイメゾンの物は未だに高額取引はされているものの、少しネームバリューが落ちる所のものに関してはかつてほどのプレミアが付くことはなくなりました。

発売前に話題になったとしても、一番価格が高騰するのは販売直後。

そこから数ヶ月経てば定価以下になる事も珍しくはありません。

その間に話題のあるものがリリースされ、そちらにも注目が集まるという事もあるのでしょうが、商品が多くなった結果、人気が分散してしまう事にもなり価格が落ち着いたということでしょう。

需要がひと段落ついた結果として、ブームと呼べるものから落ち着きつつあるのが現状なのでしょう。

個人的にブームというものは歓迎すべき状況であると思っています。

そのような文化がある事を世間に多く知ってもらい、活性化させる事は文化のブラッシュアップに繋がります。

その事でまた多くの文化が派生し、結果的にその根本が強化される事によってその後も残り続ける為の道が形成される。

それはまた新しいものが生まれる際に、自分にとって必要なものかどうかを見極める目も養われる事につながる。

何か文化的なものに触れている限り、それがブームに発展する可能性は非常に大きい。

ブームを避けて日々の生活を送るという事は限りなく不可能です。

しかし、ブームというものには終わりが来ます。

多くの人は必ず飽きます。

新しいものが出てきても特定のものを好きで居続ける事はまま難しい。

そのブームが大きければ大きいほど終わった時の反動が大きい。

そして、その反動はそのものの好きの度合いを如実に表します。

かつてほどの価値が無くなってしまったものを本当に愛せるのか?

本当にそのものが欲しくてそれを手に入れて来たのか?

そうやって考えて多くの人は一体何に情熱を燃やしていたのかと我に帰ります。

そうして結局はそのブームを楽しんだ事を自虐ネタにしか出来なくなる。

しかし、こういう生贄のような存在が多分に居て文化というものは継続していく。

そして、そのような人の中でもずっと愛し続ける存在が一定数残り、文化が継続していく。

そういうものだと思っています。

あと、ブームがいつ終わるかなんて事は誰にも分かりません。

後に何かが決定的な出来事だったという事は言えると思いますが、それが今だという事に気づける人というのはほんの一握りでしょうし、そのブームの最中にいる人間だと更に少ない。

それに気づける人は先物取引とか投資とかやった方がいいと思う。

私はブームというものに関しては何でもライトに構える傾向がある。

ブームは何かを知るキッカケにはなるが、それにハマることは皆無です。

「試してみるかー…うん!こんなもんか!」

で大体終わる。

それよりもブームがひと段落してから自分なりにアレンジして楽しむことの方が多い。

それは流行を意識したものが出切った後にどのような発想で新しいものが生まれるかに興味があるからです。

大きな事件が起こった後の対策によって生まれたものというのは非常に優れたものだと思うし、それがクオリティが最も高いものだと思うので。

市場価値としては一番ブームになった頃のものに価値があるのでしょうが、優れているものというのはそういうものでもないかな?という解釈で動いているので。

そうやって自分は今日も独自解釈で色んなものを楽しみながら生きています。

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