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0128 子供達が通りを駆けてゆく日

保育園の子たちが、保育士さんと一緒に散歩をしている場面に出くわした。
二人一組で手をつないで、きちんと道の端っこを歩いていく。駆け出していく子はなく、楽しそうになにやら話しながら、何処へ行くのだろう。

私は幼稚園に通っていたのだけれど、当時、大人と言えば幼稚園の女性の先生と親しか知らない。
男性の幼稚園の先生というのが記憶がない。今ほどいなかったのだろうか。
そんなわけで、風邪をこじらせて入院した時、看護師さん(当時、こちらは全員女性だった。看護婦という呼び名も今では古いのだろう)
ドクターの方は、注射を打ったり点滴をされたりと、そちらの印象しかないのだけれど、看護師さんたちはみな優しくて、幼稚園の先生のようだった。
だから、私は看護師さんたちを先生、と読んでいたのだけれど、「先生だって!嬉しい!」と彼女らに言われて、なんでだろうかと思ったものだった。

どうして嬉しいのか、ドクターと思ってのことか、幼稚園の先生と間違えられてのことなのか、今となっては分からない。
点滴をずらして血だらけにしても、勝手に院内を探検し迷子になっても怒られなかった。単純に風邪をこじらせただけの私は、すぐに退院できたけれど、同じ室内には、内臓疾患を抱えた子たちがたくさんいた。
両親が帰った後、泣く彼ら彼女らをなだめるのも、看護師さんたちの役割だった。

小さい子を見ると、大昔のそんな一コマを思い出す。
阿部昭風に言えば、人生の一コマだ。
何故かついて回る、一瞬の記憶である。

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