初恋という狂気の日々 第四十七章

第四十七章 持ちつ持たれつ

夏休みの終わり 学校が始まった

私は夏休み中に絢辻さんと考案していた ある計画を実行することにした

その計画とは
私が聞いた天狗の話を絢辻さん経由で先生に報告する→そこで、何かしら天狗がまた揉め事を起こしたら 絢辻さん経由で報告をする→そうするコトで 天狗に反省を促す狙いだ。

何故 絢辻さん経由で報告かといえば、私の様な凡人生徒よりも 学年No.2 正に優等生と呼べる 絢辻さんが報告した方が 先生の対応もより真剣になるはず と見越したためである。

そうして 計画実行して 数日経った日のコトだった

「ふざけんなよ」 

 いきなり後ろからキレられる 声の主は天狗だった

続けて天狗は「てめぇのせいで 長ったらしく説教されただろうが!」と怒り散らす 

私は 「何も言ってない」と発言する
向こうの怒りは収まらず 私を掴み壁際にガツンと当てる  

それでも 私が同じ対応をしていると、天狗は帰っていた。

私は帰りの時間 下駄箱で絢辻さんに出会ったので、この出来事を話した。
絢辻さんは とても心配そうな反応を見せたが、私は「平気だ」とだけ伝えて お互い帰路についた。

それから数日が経った ある日の朝だった

私はいつも通り 周りのクラスメイトより早めに登校をする。 教室に入ると先に着いていた温厚さんが座っていたので、談笑することにした。

そうして雑談をしていると、天狗が高圧的な態度で教室に入ってきた。

私は身構える 天狗が私の胸ぐらを思い切り掴もうとしてきたので、咄嗟にかわす

しかし 向こうは諦めず ゆっくり近付いてくる
私も後退りをしようとしたが、相手の動きの方が早かったので、掴まれてしまった。

そうして あわや…………という時だった。

「やめなさい」と大きな声が響く


担任の先生と他数名を温厚さんが直ぐ様 呼んで駆けつけてきたのだった。

私は呆然と立ち尽くしていると、先生に促されて別室に連れて行かれる。

そうして 数十分後に先生による 軽い事情聴取が始まった 聞かれたことを素直に答え 先生達には「詳しい話は放課後に聞きます」と言われ ホームルームに私は戻った。

戻る途中 絢辻さんとすれ違う その時 彼女は物凄い心配そうな顔をして「何があったか わからないけど……大丈夫?」と聞かれたので、私は心配させる訳にもいかないと考え「いや平気よw とりあえず 放課後 また事情聴取だわw」と軽く笑い飛ばす様に返答した。

そうして放課後になり 詳しい事情聴取が始まる。
だいたい2時間くらいだっただろうか?  聞かれた質問に淡々と答え、学年の先生達からは「私達の力不足で事前に阻止ができず、こんなコトになって申し訳ない」と何度も謝罪をされた。 
私は 「気にしてないですよ」と答えた むしろ何度も謝られると、こっちが罪悪感を感じてしまう

そうして 事情聴取を終えて教室に戻ると、私のクラスの前に絢辻さんがいた。

私を見ると、絢辻さんは安堵の顔を浮かべ「良かった……怪我とかは無さそうなのね」と呟く。
私は驚きを隠せず「え?なんで いるの? もう とっくに帰ってる時間……」と問う。
彼女はきょとんとした顔で答える「生徒会の仕事があったからね…… あとやっぱり……心配だったから…」

最後の発言を聞いて 私は嬉しさが頂点に達っして
「ありがとう……本当にありがとう…」と何度も放つ

彼女が少し恥ずかしそうに言う「そんな ありがとうとか言わないでよ…………ただ心配だっただけだもん」

私は感極まり 少し涙目で彼女を褒め称える 「詞って 頭が良いだけじゃなく、優しいし仲間想いだよな…… 当たり前だけど内面も優等生だよ 詞の優しさに何度助けられたことやら……」

彼女は困惑しつつ 謙遜する「いや……私のことを優しいとか仲間想いだなんて言わないでよ………私は薄情で捻くれた人間だからさ、そこの自覚はちゃんとあるつもりよ……… ただやっぱり……大切な人が傷つくのは嫌だからね……… 私の方こそアナタの優しさに助けられてばっかりだよ?」

そこで私は「じゃあ 持ちつ持たれつの関係ってことかな?」と聞いてみると 彼女も「そんなとこじゃないかしらw」と笑顔で話し、お互いに肩を叩き抱き締め合った。
しかしながら すぐに誰かが歩いて近付く音がしたので お互い サッと離れていく

歩いてきたのは 温厚さんだった。
温厚さんは少し驚きつつも私の様子を聞いてくる 「朝は大変だったね……大丈夫だった? 」

私は「平気よ」と答え 「それより 先生に言いに行ってくれて助かったよ アレが無かったらどうなっていたことやら…」

温厚さんは笑って応える 「いえいえ 私はあれくらいしか出来ないからw  ちなみに天狗はみっちり説教されて相当反省してるみたいだよw コレで懲りたんじゃない?」
絢辻さんは呟く「だと良いんだけどね…」  

私はふと疑問に思い話す「でも 彼の立ち位置はどうなるんだろう……もう役員からは外された扱いなのかなぁ?………」

温厚さんが教える「どうやら そうみたいよ〜」

その瞬間 絢辻さんが思いっきり 「よし!やっと目障りなアイツがいなくなった!」と喜びを露わにする 

温厚さんは少し驚きを見せる 
その時 絢辻さんも あ、マズイ という表情を見せるが 冷静に対応する「やっぱり 何かしらのペナルティはあるモノよね  私はそろそろ帰るね」

そうして 3人とも解散という流れになった。
私が帰ろうとすると温厚さんが絢辻さんの話題を出した「でも 詞ちゃん 相当 心配していたよ?」
私が驚くと 温厚さんは続ける「ゴタゴタが起きたって話を聞いてから、私の元にすぐ状況を聞きに来たし 役員の仕事してる時も、ずっと気に留めてる雰囲気だったよ」 

  私はやはり驚きを隠せないでいると、温厚さんから忠告を受ける「だからさ わかってるとは思うけど、詞ちゃんのコトは大切にしてあげなよ?」 

私はそれを聞いて食い気味に返す「そんなのは当たり前だよ だって詞は………」
ここで正直に言おうか悩み 言葉が詰まると、温厚さんが聞き返す「だって詞ちゃんは?……」 

私は自信を持って発言する「だって詞は 一番大切な人だもん」


その発言を聞くと やはり温厚さんは何かを納得した表情だった。

この記事の時点での時系列 中学3年生 夏〜秋 出会って五年以上

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