初恋という狂気の日々 第四十六章

第四十六章 才色兼備

 夏休みが始まり 模試を受けたりするなど 本格的に受験モードになりつつある時期となった。
優等生である絢辻さんは当然 忙しいし、私も前より忙しくなってきて 夏休みに会う頻度は全く無かった。

しかしながら 生徒会主催の校内清掃ボランティアイベントが8月の中頃にあったので、私はそれに参加して 絢辻さんと喋る機会を作ることにした

ボランティアは絢辻さんと温厚さんの二班に分かれて行動をする形となる
絢辻さんの図らいもあって 私は絢辻さんの班に配属された。
スタコラと掃除や片付けを行う隙を見て 絢辻さんが私に話しかけてきた
「今日は参加してくれて ありがとうね やっぱりアナタがいると気楽で良いわ」 

久しぶりの絢辻さんとの会話だったので、お互い 近況報告等を話しだす。そんな中で、私は恐る恐る絢辻さんに質問をした「そういえば 部活のいざこざとか……今は大丈夫なの?……」

絢辻さんは呆れた表情で答える「あぁ…その件ね…
少しは飽きて収まるとおもきや…… まだまだ私を無視する方針みたいよw 私も生意気な部分があったと思うけど 少しは大人な対応をして欲しいわ……」

私は心配な表情をする。

その時 絢辻さんが衝撃の発言が出る

「温厚ちゃんは結局 表面だけね…… 優しい人というよりも……日和見なだけ……」


私は取り乱す 「えっ ?!……どういうこと?」

絢辻さんはポツポツと話す「だって あの子は多分 気付いてるのに、私に何もしてくれないもの…… まぁでも………そりゃ厄介な揉め事には関わりたくないと思うから普通か……それに私の人徳の無さが原因だし自業自得か…… アナタもそう思うでしょ?」

私は物凄く困り果てる「え……いや…… 多分 温厚さんは気付いてないだけと思うんだ……やっぱりちゃんと助けてほしいって伝えるべきじゃないかな?」

絢辻さんは即答する「いや それは私のスタンスとしてやめておくわ  だって それって貸しを作るってコトでしょ? イヤじゃない?」 

私は何か良いアドバイスは無いかと ゆっくり考えながら喋りだす「たしかに その考えも わからなくはないんだけど……ねぇ…… たしかに詞は優秀だから”自分一人で何とかしよう“するのもわかるけど……」

その時 絢辻さんは毅然とした態度で発言する

「私が優秀なのは当然 何故なら そこら辺の連中とは努力も苦労も実績も桁違いだもの」

私はその発言を聞いて 絢辻さんを励ます
「そうだよ お前は正に才色兼備 って言葉がぴったり似合う 天下無敵の優等生 絢辻詞なんだから ”人徳がない“とか”自業自得“とか言わないでくれよ」

そうすると彼女は今度 後ろめたそうな雰囲気で「いや……私に才色兼備なんて言葉を使わないでよ…… 才色兼備って言葉は温厚ちゃんみたいな子に使うべきだよ 私は結局 彼女に対して 何をやっても勝てないからさ……」

私は即座に「そんなことはない」と否定するが 彼女にはお世辞と捉えられてしまった。

そうして時間が過ぎて 終わりの時間となった。

私は帰り道
ずっと悩み続けていた ❨やっぱり……俺は温厚さんを嫌わなければいけないのか……でもたしかに絢辻さんをここまで悩ませる存在だもんな… だけどあの人は本当に素晴らしいから嫌いになるのは気が引けるのも事実……❩

この記事の時点での時系列 中学3年生 夏 出会って五年以上

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