初恋という狂気の日々 第五十三章

第五十三章 年賀状

前章から時が過ぎ、真冬の時期となった。 

私は冬休みの間受験勉強に勤しんでいたが、やは絢辻さんのことが気になってしまう 
(そういえば 詞とは入試の話とか今までしてこなかったな…… いやでも 私と超優等生の絢辻さんじゃ格の違い過ぎるし、意味ないか…… 向こうにとっても凡人のモノサシで話されてもつまらないだけだよな

昔からだが、やはり 彼女と自分の出来の違いを認識する度に“自分自身の情けなさ”を痛感する。
そして同時に自分の様な無能が、あんな素晴らしい女性を好きになってしまって申し訳ないという気持ちでいっぱいいっぱいになる。

そうして私は冬休みの間 絢辻さんに対する尊敬の念と彼女と話したい気持ち そして好きになってしまったことへの罪悪感で 少し精神的に不安定になっていた。

そんな気持ちを紛らわせる為にも、私は年賀状を書くとき、絢辻さん宛には 本気で書くことを決めた。
絢辻さんと年賀状は 毎年交換していたが、彼女が「今年は忙しいから 多分送れないかも ごめんね」と言われていた。そうして 時間をかけて 自分なりに高クオリティの年賀状 (内容はたしか お互い共通して好きなアニメのイラストだった気がする)  をクリスマス前後 ポストに投函した。

そうして 数日が過ぎて、正月の時期となる 親が年賀状の整理をしていいると、私に話しかけてきた「アンタ宛にも来てるよ」

私は誰からだろう?と気になり すぐ確認する。

なんと驚いたことに、絢辻さんから 年賀状が届いていたのだ。 私はすぐさま絢辻さんにお礼のラインをする。

数十分後 絢辻さんから返信が来る 「忙しくて送れないかと思ったけど、長年 親しくしてるのに送らないってのはどうかな?って思ったからね もしかして迷惑だったかな?」 

私はすぐさま返信する 「そんな訳ないよ 貰えて凄く嬉しいし、詞にあけましておめでとうって言われたことも嬉しいよ とりあえず入試 お互いに頑張ろう」
と何件か会話をした

私はその会話と絢辻さんの年賀状を糧に最後の踏ん張りで、受験勉強を真剣に取り組むのであった。

この記事の時点での時系列 中学3年生 冬 出会って五年以上


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