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初恋という狂気の日々 第二十九章

第二十九章 哀愁

 場面は中学三年生に進級した初日(前章)が終わり次の日の朝となる

私は中学1年生の頃から朝のホームルームが始まる20分前には登校するので、教室には一番最初に入ることが多かった けれども 中3からは全く違った

私は誰もいないと思い込んで教室に入ると 昨日喋った温厚さんが既に教室にいた 
 お互いに「おはよう」と挨拶を交わし 私が 「登校時間 早いね」と話かけると世間話をする流れとなった
 
さすが成績 学年一位の温厚さん 様々な分野の話題に精通していて、会話の表現力が豊富で内容がとても趣き深い 私は凡人なので話を合わせることしかできていなかったと思うが知的好奇心がとてもくすぐられるので、時間を忘れて話した 
その中で思わず私は「温厚みたいな教養ある人が修学旅行とかで同じ班なら面白いかも」と話す
その発言に温厚さんは笑顔を見せる

そうして その日は終わり 帰る途中ばったり廊下で絢辻さんと遭遇したので話しかけた

私「久しぶり〜 詞(絢辻さん)のクラスはどんな感じなん?」 
絢辻さん「うーん まぁ真面目もおフザケ連中もどちらもいる感じね 私が嫌いな輩がいるのは目障りだけど…… 同じ部活のラジオちゃん(第九章初登場)とか愛嬌ちゃん(次の章で紹介します) がいるから そんな酷いってことはないかしら?」
私「あー 可もなく不可もなくってトコか」
絢辻さん「そうね テツバド(私)のクラスは?って聞く必要ないかw だって映画先生が担任だし、何よりも生徒会長の温厚さんがいるんだもん 私もあのクラスが良かったなぁ〜」
私「わかる 去年より絶対面白いクラスになると思う ってか 温厚さん素晴らしい人だね! 」 
その瞬間 絢辻さんは一瞬戸惑いつつも 同調する
私はそのまま褒め続ける
「みんなが絶賛する理由 まだ二日しか関わってないけど、わかった気がする! 美人さんとの掛け合いも面白いしなw」
絢辻さん「楽しそうねぇ」
その時 彼女の表情はどこか哀愁を漂わせる雰囲気だった 
私は少し心配になったので 様子を伺うと
絢辻さんは「いや 羨ましいと思っただけ」と軽く受け流しお互い用事もあるので会話はそこで終わった

そうして数分後 私はふと気づいた ❨そういえば
さっき廊下で出会うまで絢辻さんのことをあまり気にしていなかったな…去年なら進級初日にすぐ新クラスの印象聞きに行ったのに………絢辻さんのコトもっと気にかけないといけないな

こうして 絢辻さんのことを気にしつつ
一日が終わった

場面は代わり次の日  私はまた早めに教室に入った

そうすると やはり温厚さんが先に座っているので、 昨日と同じ様に話し始める

そうして5分くらい時間が過ぎた時に 絢辻さんが廊下に歩いて私を呼びに来た

要件としては 貸していた漫画の返却と家族旅行のお土産の手渡しだった
 漫画の感想を語り合い 土産物にお礼を言った
 別れ際に 私は絢辻さんに聞いた「温厚さんと話したいこととかある それなら呼ぶよ?」 そうすると絢辻さんは 「いやいいわ 忙しいだろうし」といって自分のクラスに戻っていた 戻っていく時の表情も どこか諦めた様な雰囲気だった

私は 何か気に障る発言をしたのだろうかと不安になったが、考え過ぎかもしれないと言い聞かせることで気にしないようにした

 自分の机に戻ると、クラスの人達と私は話し出す
そうしていく内に私は絢辻さんのことは気にしなくなっていた

しかしながら この表情と雰囲気が伏線になっているとは、この時知る由もなかった

この記事の時点での時系列 中学3年生 春 出会って五年以上


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