初恋という狂気の日々 第五十五章〜第五十六章

第五十五章 安寧

前章から少し時間が経ち、合格発表の日となった。

私はさくさくと発表の場へと赴き、結果を確認しにいく、私の結果は合格であった

しかしながら 私の内心は ❨自分の結果よりも絢辻さんの結果の方がよっぽど気になるし、彼女が受かってないと本心から喜べない……❩ といった具合で、あまり喜びに実感が湧かなかった

 愛嬌さんも近くにいたので、話しかけられた「とりあえずお互い受かって良かったね〜」 
私が 「そうだな お互いおめでとうだな」上の空な表情で応えると 愛嬌さんは不思議そうな顔をした。

そうして手続きを済ませると、私は中学校に合格の報告をする為に足早に向かったのであった。

先生達に報告を済ませ、下駄箱に向かう途中で後ろから私を呼ぶ声が聞こえる。

振り向くと満面の笑みの絢辻さんだった。


 私はその表情から、彼女の結果はすぐにわかった
絢辻さんがハキハキとした声で結果を話す

「受かっていたよ!心配かけてごめんね 私の不安は取り越し苦労だったみたい」


私も思わず本音を出す「なら良かった 正直 俺自身
自分が受かってることより、詞が受かってるコトの方がよっぽど気になっていたからな」

それを聞くと彼女は「いやソレはやりすぎ………それよりもアナタも受かっていたのね 良かったわ!
正直 アナタにあの日たまたま出会った後から 吹っ切れることが出来たのよ。 アナタのおかげで辛い思いから解放出来た側面があると思うわ それに私が辛いコトがあっても努力出来た一面にアナタの優しさもあるかな 本当にありがとう」

私は予想外の感謝をされて驚く 「えっそんな 大げさだよ 詞は詞なりに努力しただけやん 俺はただ話を聞いただけだから そんな褒めること無いよ でも受かって良かったわ」

そうして お互い数十分 談笑をした後に帰宅したのであった。

第五十六章 お似合い

 そうして いくつかの日が過ぎて 卒業式まであと数日となった。
私はこの頃になると、周りの目も気にせず ひたすら隣クラスの絢辻さんに話しかけに行っていた。

その日も相変わらず 時間が許すまで 絢辻さんと喋っていた。
今までは 周りの視線や(何でアイツと絢辻さんが話しているんだ?)といった雰囲気や下手に噂が流れないかと、気になって あまり大っぴらに人前で学校で話しかけにくかった。しかしながら もうこの時期となると、私は欲望の赴くままに話しかけていた

そうして 愛嬌さんら温厚さんらも美人さんらも交えて談笑をし終えると、私は自分のクラスに戻った。

教室に戻ると、温厚さんが私に質問してきた。

「そういえば ずっと気になっていたんだけど詞ちゃんのこと好きなの?」


「あぁ そうだよ 俺の好きな人は絢辻詞だよ」私は今まではぐらかしてきたが、正直に答えた。

「やっぱりかぁ〜」
私は思わず質問する「やっぱり わかりやすい?」 

「いや実はね 詞ちゃんと恋愛トークになった時に小学生の時 告白された話をしてくれたの ソレを聞いた時は“誰に”までは教えてくれなかったんだけど……… 今までの二人の関係性を見てると『もしかしたら』 って思ってね」 少しニヤつきながら温厚さんは話す

私は少し苦笑しつつまた質問する「あははは……
その『もしかしたら』が『確信』に変わったタイミングとかはあるの?」

温厚さんは嬉しそうに説明する「うーん 最初は『美人ちゃんが好きなのかな』って思ったのよね。でも修学旅行前後から『詞ちゃんかな?』って予想になったよ。だって近くに詞ちゃんがいる時は、気にかけてる様な雰囲気がしたからね。そこから 二人の様子とか見てると『やっぱりかぁ〜』ってなった」
 
私は恥ずかしくなりながら話す「いやまぁ……そうですよね あんなに二人で話してるトコ見られたら、予想されますよね  ってかアイツ告白された話したのが意外だな」

温厚さん「あーソレは気になるから、そういう話を私からフッたからねw でもその話をした時って二人きりの時だから安心して」

私「良かった……まあアイツは思慮深くて優しくて賢いからな 心配は無用だな」

温厚さん「お熱いねぇ〜 まぁ御二人はお似合いだと思うよ 頑張って応援してるw  そうだ この際だから聞くけど、詞ちゃんの魅力はどこに感じたの?」

私はもう吹っ切れて語りだす「そりゃ…まず思慮深くてリーダーシップがあるのに、少し意地っぱりで無理しがちなトコにギャップが感じるかな…… これ以上長く語ることも出来るけど、さすがに引かれそうだからやめておくよw」

長く語ったコトが予想外だったようで
温厚さんは驚いた………というか若干引いた表情で「やっぱり好きなんだね……中々そこまで語れる人はいないだろうから 尊敬するよ」

そうして 温厚さんとのぶっちゃけトークを話してその日は終えた。

この記事の時点での時系列 中学3年生 冬〜春 出会って五年以上

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?