初恋という狂気の日々 第五十二章


第五十二章 自分にとっての一番


前章から一ヶ月半が経ち、季節は冬を迎えようとする時期だった。

私達の学年は最終学年としての自覚をテーマにした作文が課題で出された。最終的には投票で学年一番が決まる。 

その為 まず始めにクラス代表の作品を決める。私達のクラスで選ばれたのは、言うまでもなく温厚さんだった。 そして 絢辻さんのクラスでは、案の定 絢辻さんが選出された。

そして学年での投票の際に、集票係が募集された。

私はこの時 “悪魔の考え” が思い浮かんだ

❨私が集票係になれば、絢辻さんを1位にすることも容易ではないか………❩

そうして 私は集票係を担当することになった

投票の当日 私は集票を1枚 1枚 数えていく 


そして、最終的に絢辻さんと温厚さんが僅差で勝っていた。

私は一瞬 何枚か捨てようかと悩んだ。
しかし先生が確認しに来たので それはできなかった

けれど 合計で確認を取ると、なんと絢辻さんが勝っていたのだ。


そうして 結果発表が始まり、最優秀に絢辻さんが呼ばれると、彼女はびっくりした表情を一瞬見せた後に、いつもの毅然とした凛々しい雰囲気で壇上に向かった。

そうして表彰が終わり、解散の時間になると 生徒それぞれが帰路につく。私はすぐさま 絢辻さんの近くに駆け寄り「おめでとう」と祝う

彼女は「ありがとう」と答える。私は続けて「やっぱり俺にとっては詞がNo.1だよ。 前は卑屈になっていたけどさ、こうやって結果が残ってるんだから自信持って良いと思う」

そうすると彼女は「たしかに 私も自信はもう少し持つべきなのかもしれないわ……ありがとう あなたのおかげだわ でもコレからはより本格的な受験モードの時期になるから 話す機会も少なくなりそうね…」

私も同意する 「そうよなぁ……まぁでもラインとかで会話はできるし、お互いに本気出して入試が終わったらすぐに会おうよ」そう話すと、絢辻さんは うん と頷き お互い帰る準備にとりかかりその日は解散となった。

この記事の時点での時系列 中学3年生 秋〜冬 出会って五年以上

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