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【心霊体験】系列店から幽霊を持ち帰った話

霊感ある人が手伝いに行く事を嫌がる系列店での怖い話。

ある年の6月頃のことだった。
パートが休みだった私は買い物に出かけることにしたが、前々から少し気になっているお店に行こうかどうか迷っていた。

私のパート先の系列店だ。
そこは従業員の間ではちょっとした噂になっている幽霊が出るお店である。
私がその話を初めて聞いたのはパート先の先輩からだった。

その先輩曰く「2階の倉庫が別次元のように怖い」とのことだが、当時の私はパート先に入ったばかりで系列店の従業員しか入れない場所に立ち入る機会はなかった。
系列店に応援に行ったことがある先輩から話を聞くくらいしか様子が分からなかったことで、半信半疑だった。

系列店は売り上げが多い、熟練パートの売場作りがどのようなものか見てみたい、私の勤務先には売られていない商品がどのくらいあるのか・・・様々な事情から恐怖心より好奇心の方が勝ってしまい、思い切ってその日は噂の系列店に買い物に行くこと決めた。

車を走らせている間は何の不安も違和感も感じることはなく、駐車場に車を止めてお店に入った。
その瞬間にドッと冷や汗をかいてしまった。

姿は見えないが視線を感じる、これは確実にいるな・・・。
店舗の左奥の角っこが明らかにおかしい。
そこだけ異質な空気で淀んでいる。
ここに居るよと言わんばかりのダークなオーラが漂っている。

いや・・・待てよ。
確か先輩は他の場所が気味悪いと言っていたな。
じゃあ、幽霊は様々な場所で待ち構えている可能性が高いのかもしれない。

感じ取れないものは無視するとして、まずは買い物に集中することにした。
最初は店舗の右側から商品をチェックしていったが、そこで感じられるものはなかった・・・はずだったのだが、やはり左側からの視線が気になる。

次に店舗の中央部分の商品を手に取って確認してみる。
こちらの商品は私の勤務先のお店には売られていないものだ。
買い物に来るとこういう楽しみを味わうことが出来る。

・・・それにしても、左側からの凍り付くような気配が異様に怖い。
絶対、それは私のこと認識しているな。

最後に店舗の左側に移動して商品を眺める。
ああ、段々おどろおどろしい気配が強まっていく。
これ、無事で済まされない気がするんだけど。

今ならまだ間に合うか?
このままレジへ行って買い物終えて知らないふりして帰宅した方がいいかもしれない。

とはいうものの、異様なオーラを醸し出している一角にある商品が見てみたい。
見るか辞めるか迷ったものの、足はそちらに動いていく。
近づけば近づくほど突き刺さるような冷たい視線と気持ち悪い感じが強くなる。

何とか左奥の角まで行きついた時にはありえないほどの寒気が私を襲ってきた。
吐きそうなくらい気分が悪い、意識が飛びそうなくらい頭痛がしてきた。
受けたダメージが大きすぎて居ても経ってもいられなくなった私はその場を離れようとしたが、突き刺さる姿の見えない幽霊の視線は相変わらず私の方を向いている。

違う売場まで避難しても視線は私を追ってくる。
首筋が何か変な力で抑えられている感覚、視界がおかしくなりそうなほどの頭痛は治るどころか段々悪化してきたではないか。

ここは・・・感じやすい人が近寄ってはいけない場所だ。
これ以上ここで買い物をするのは体力的にも精神的にもよくない。
身に危険を感じた私は買い物を終えて逃げるように店を後にした。

車を運転している最中もずっと寒気と頭痛が収まらなかった。
それどころか舐めまわすような冷たい視線とちくちくする奇妙な感触。
厄介なことになった・・・絶対ついてきている。

これ以上体調が悪化するとまずい。
事故を起こさないように慎重に運転しなければ・・・。

何とか自宅まで戻ってきた私はすぐさま台所に入る。
調味料入れを確認してみたが、悲しいことに荒塩は切らしていた。
お母さん、使い終わったら買っておいてよ。
その時ばかりは少し恨んでしまった。

ふっと温かい視線を感じた。
愛犬のコニーだ。

近くには愛犬の寝床があり、高齢犬のコニーはよぼよぼで歩くのも困難な状態でいつでも眠っているか大人しく横たわっている。
そのコニーが私の顔を見た瞬間に顔を上下に動かして合図をしてくるではないか!

その合図の仕方は・・・まるで私の後ろに何かがいる!と教えてくれているようだった。
もう体を動かす体力もないコニーが必死になって私に何かを教えようとしている!

うしろ、うしろだよ、うしろに居るんだよ!
必死になって私に訴えてくる。
コニーの訴えを一瞬で理解した私はスマホを取り出してお祓いの動画を流してみることに。

動画を全部聞いたその後は特に何も変わったこともなく、コニーも落ち着いてくつろいでいたのだが・・・実は異変は母の方に起きてしまった。

母の身に異変が起きたのは次の日だった。
私がパートで出勤中の時間帯の出来事だったという。
母が晩御飯を食べ終えて曰く付きの和室でくつろいでいた時のことだ。
かなり近くに何かが居る。

姿は見えなかったが、居間で苦しそうに前かがみになっている何者かの気配を察知する。
すぐにそれが幽霊であると気付いたが、間髪入れずに母に突撃を繰り出してきた。
幽霊の突進は母に直撃してしまい、胸に強い衝撃を受けた。
倒れそうなほどの勢いと激痛で母はしばらく動けなかった。
幽霊はどこかへ逃げてしまったのか、気味悪い気配はなくなっていた。

私が系列店から連れてきた幽霊と母に突撃した幽霊が同じ存在であるのかは分からない。
ただ、幽霊がとても苦しそうにうずくまっていたのだけは感じ取れたと。
私が流したお祓いの動画の影響で幽霊が苦しんでいたのか、それとも母に突撃した幽霊はまた別のところから偶然家に迷い込んだ者だったのか。

霊の正体は未だに不明のままだ。

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