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高橋幸宏の歌を探して(前編)

市井の幸宏ファンの私的なあとがき。幸宏さんがボーカリストとして参加している曲を探す。


2023年1月11日は、特別な日になってしまった。それから1年…

「空が青い」と歌っただけで悲しく聞こえる…幸宏さんのボーカルをこう評したのは加藤和彦さんでした。
倍音多めの包み込むような声、ときには優しく、ときには切なく、ときには醒めたように楽曲の世界を表現する力。あくまでも個人的な感想ですが、90年代に入って、幸宏さんの歌はそれまでに以上に力を持つようになったと感じます。
2023年1月11日に旅立ってしまった幸宏さん。細野さんの言う通り、残されたファンは、あとがきを綴るだけなのでしょう。
メロディメーカーとして、ドラマーとしてスポット浴びることの多い幸宏さんですが、筆者はとにかく声が大好きなのです。筆者のあとがきのテーマは、ボーカリスト高橋幸宏。幸宏さんの歌を探していきましょう。
 

幸宏さんの歌を探すってどういうこと?

今年6月に「みんなのうた」で再放送された「子供だけの夏」みたいに、ちょっとレアで、聞き逃していたり、知らなかったりする歌はまだあるのか? Wikiに掲載されているもの、されていないものも含めて、ソロやバンドの作品以外で幸宏さんが歌っている曲を探してみました。
まだまだ知らない幸宏さんと出会いたい! という方の期待に応えられるかどうかわかりませんが…お時間あればお付き合いください。
ちなみに筆者は音楽的な素養も知識もゼロに近いので、あくまで印象や事実と思われることを中心に書いています。
 
※こんなのもありますよという情報も大歓迎というか、ぜひお願いします。
※公式の動画や記事があるものはご案内しています。
※リンクの確認は記事の投稿日です。リンク切れはご容赦ください。

今回の条件

●ソロ名義の作品(シングル、アルバム、ライブアルバム、カバーアルバム、ベストアルバムなど)に未収録の曲
●サディスティック・ミカ・バンド、サディスティックス、YMO、ザ・ビートニクス、Pulse、Sketch Show、pupa、In Phase、METAFIVE、The おそ松さんズなどの本人所属バンド、ユニット名義の作品(シングル、アルバム、ライブアルバム、カバーアルバム、ベストアルバムなど)に未収録の曲
●幸宏さんの歌声が聴ける曲(メインボーカルかそれに近いもの)
●スタジオ録音盤(ライブ録音以外)


幸宏さんのボーカルが聴けるさまざまな作品

1.  LEXINGTON QUEEN

アーティスト名:坂本龍一
アルバム名:──
1980年(?)

六本木にあった同名ディスコのオープニング時に配られたプレミアレコードだったそうです。教授の【WAR HEAD】のプロトタイプ的な曲。ボーカルが幸宏さんです。2023年2月にオンエアーされた細野さんのDaisy Holiday!の中でテイ・トウワさんが紹介していた音源なので聴いた方も多いかもしれないですが、こんなものが残っていたなんて…というお宝音源。現時点で動画サイトに上がっているようです。配信でもいいので、正規ルートで聴けるようにならないものか…
 

2. THE GREATEST SONG OF ALL

アーティスト名:松尾貴史&THE BEATNIKS(高橋幸宏+鈴木慶一)withちわきまゆみ
アルバム名:ヤマアラシとその他の変種
1990年

プロデューサーはケラリーノ・サンドロヴィッチ。【ヤマアラシとその他の変種】というアルバムの1曲。一言でいえば“スネークマンショー・ケラ版”ですかね。コントと楽曲で構成されています。幸宏さんはコーラスという感じなのですが、サビの部分ではほぼメイン。伸びやかな声を聴くことができます。本当に声と曲が合っていて気持ちいい。
ちなみにこの曲は松尾貴史による「一人朝まで生テレビ」が展開されていて、いわばコミックソングです。松尾貴史によるモノマネは登場人物が懐かしい(大島渚とか小田実とか)感じ。そのほか斉木しげる、大人計画、爆笑問題などのコントも収録。知久寿焼が歌う曲もあります。配信はなさそうでしたが、CDは買えるようです。ちなみに再発盤というのがあってコントの内容が違うとのこと。
 

3.子供だけの夏

アーティスト名:高橋幸宏
アルバム名:─
1990年

NHKみんなのうたで1990年6月ごろに放送されていた曲。ファンならご存じなのでしょうが、筆者は不覚にも2023年の再放送まで知りませんでした。作詞は森雪之丞。これはある意味ソロ作品なので、今回の趣旨とはちょっと違いますが、音源化されていないのでいれておきました。配信でもいいので、販売してほしい作品です。こちらも現時点で動画サイトで聴けるようです。
 

4.ALL YOU NEED IS LOVE

アーティスト名:高橋幸宏、高野寛、延原達治 (The Privates)、桐島かれん、佐木伸誘、稲葉智&笠原敏幸 (PaPa)、和田加奈子、田中一郎、村田和人、日野皓正
アルバム名:ALL WE NEED IS LOVE 愛こそはすべて
1991年

当時の東芝EMI所属ミュージシャンによるビートルズトリビュート・アルバム。【ALL YOU NEED IS LOVE】は、YMOのツアーでもよく演奏されていた曲で、ファンにもおなじみの曲ですよね。言わずもがなですが、ビートルズの名曲です。YMO時代の幸宏ボーカルはライブ盤やライブビデオなどで聴くことができますが、こちらは貴重なスタジオ録音盤です。ボーカルは幸宏さんだけではないですが、YMO時代とは違う幸宏さんの歌唱が聴けるのではないかと思います。このアルバムには【We Can Work It Out】も収録されていますが、こちらは幸宏さんのソロにもあるので、紹介は割愛します。
 

5.NEW LIFE

アーティスト名:尾崎亜美
アルバム名:Ami-Phonic
2001年

尾崎亜美デビュー25周年記念のアルバム。尾崎亜美とのデュエット曲。作詞が幸宏さん、作曲が尾崎亜美です。不覚にもつい最近までこの曲の存在を知りませんでした…動画も上がっています。ジャケットのイラストが可愛い。
尾崎亜美さんのブログ
 

6.SOMETHING

アーティスト名:川上つよしと彼のムードメイカーズ
アルバム名:moodmakers' mood
2003年

スカパラの川上つよしのユニットで2001年から活動している【川上つよしと彼のムードメイカーズ】によるビートルズのカバー。幸宏さんがファンだと公言するジョージの曲です。スカパラと幸宏さんのつながりは、1995年のコラボ曲【WATEMELON】や竹中直人の番組【デカメロン】での共演で知っての通りかと思いますが、川上つよしはフライフィッシング仲間でもあるそうです。
こちらの曲はレゲエ調のアレンジで幸宏さんのボーカルがいい感じに揺れています。幸宏さんのカバー曲集【Colors】に入っていてもおかしくないような感じもしますが、幸宏さんのカバーはオリジナルに忠実なので、こんな風にはならないのかな。筆者のように幸宏さんの声が好きな人は必聴。
 

7.RADIO JUNK

アーティスト名:高田漣
アルバム名:12notes
2006年

Pupaのメンバーであり、細野バンドの一員でもあり、2000年代のYMOのサポートメンバーでもあった高田漣のアルバム【12notes】に収録された1曲。
YMOのワールドツアーでこの曲を歌う幸宏さんの音源はみなさんも聴いていると思いますが、これはおそらく幸宏ボーカル唯一のスタジオ録音版(たぶん)です。
ご存じの通り、オリジナルはシーナ&ロケットに幸宏さんが提供した曲。ロックでタイトな原曲とは違い、どこか牧歌的な雰囲気。その分幸宏さんのボーカルがじっくり味わえます。ちなみにこのアルバムでは、高田連本人が父親である高田渡の名曲【私の青空】をカバーしています。♪〜狭いながらも楽しい我が家〜というフレーズで有名な曲ですね。星野源が歌う【薔薇と野獣】もありますよ。
 

8.プラシーボ・セシボン

アーティスト名:冨田ラボ feat.高橋幸宏+大貫妙子
アルバム名:Shiplaunching
2006年

冨田ラボは、音楽プロデューサーである冨田恵一のプロジェクト。2枚目のアルバムが【Shiplaunching】です。
大貫妙子との掛け合いが楽しい、大人のデュエットソング。「お医者さんでも草津の湯でも…」っていうのがテーマです。大人になっても恋したくなりますね。このアルバムの中には【アタタカイ雨】という名曲もあるのですが、こちらは幸宏さんの作詞です。
 

9.Limbo

アーティスト名: Señor Coconut and His Orchestra feat. Yukihiro Takahashi
アルバム名:Yellow Fever: プレイズymo
2006年

【Limbo】はあのYMOの【SERVICE】に収録されている【Limbo】のことです。なので幸宏さんが歌っているのは当たり前に思えますが…
こちらは、ドイツ出身のアーティストであるAtom HeartがSeñor Coconut名義でリリースしたYMOのラテンカバーの1曲。YMOのカバーはアコースティックだったり弦楽四重奏だったり数限りなくリリースされていますが、夏におすすめするのはこの【Yellow Fever: プレイズymo】ですね。Señor Coconut名義ではクラフトワークもラテンカバーでリリースされているので、晴れた夏の日にあわせて聴いてほしい(笑)。
このカバーアルバムの最大の特徴は、YMO本人たちが参加していること。幸宏さんはLimboのボーカルで参加です。
Atom Heartの当時のインタビュー
 

10.スポーツマン

アーティスト名:高橋幸宏
アルバム名:細野晴臣トリビュートアルバム-Tribute to Haruomi Hosono-
2007年

細野さんへのリスペクトが詰まったトリビュートアルバムの1曲。オリジナルは82年の【フィルハーモニー】に収録。みんな大好きなあの曲です。近年の細野さんはカントリー風のアレンジでやったりしていますが、こちらはエレクトロニカ風味。この曲も幸宏さんの声が素敵です。当時、HASYMOやYMOのステージで演奏されていたアレンジに近いかな。
 

11.シャボン玉

アーティスト名:高橋幸宏
アルバム名:にほんのうた 第二集
2008年

あの童謡の【シャボン玉】です。幸宏さんが歌うエレクトロニカな【シャボン玉】です。このレビューのために久々に聴きましたが、記憶していたよりよかった。あらためて好きになりました。原田知世さんの【あめふりくまのこ】も個人的にオススメ。

高橋幸宏著 心に訊く音楽、心に効く音楽 PHP新書より


 

12.Thatness And Thereness FEAT.高橋幸宏

アーティスト名:バジュン・トベタ
アルバム名:青い蝶
2008年

バジュン・トベタのことはあまり詳しく存じ上げないのですが、幸宏さんに【Thatness And Thereness】を歌わせた(?)という功績は素晴らしい。筆者は拍手喝采を送るのでありました。とにかく、聴いてない人は聴いてほしい。幸宏さんのちょっと醒めた感じの歌い方とエレクトリカルな曲がとても合っていて、いまでもそれなりの頻度で聴いています。
 

13.White Christmas

アーティスト名:高橋幸宏
アルバム名:Christmas Songs
2010年

幸宏さんのクリスマスソングといえば【ドアを開ければ……】にはじまり、【X’mas day in the next life】や【神を忘れて、祝へよ X'mas time】ですが、誰もが知っているスタンダードナンバーも歌っています。これも時期的に音響系ですかね。1月にクリスマスソングを紹介するというタイミングの悪さはご勘弁ください。
このクリスマス・アルバムは83年の【WE WISH YOU A MERRY CHRISTMAS】に匹敵する素晴らしさ。細野さん、教授、原田知世、トクマルシューゴ、コトリンゴ、嶺川貴子などが参加しています。

後編につづく

だいぶ長くなったので、今回はこれまで。後編に続きます。後編は1月15日に公開予定ですので、よかったらまた覗いてください。

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